2022年3月31日木曜日

日本一働きがいのある職場、働きやすい職場をめざして

 
 稲村晴夫弁護士が退所されると聞いて、もと事務局が3人で遊びにきてくれた。3人とも退職してから15年ほどは経っている。

みな転勤族で、1人はわざわざ東京から、2人は福岡から。2人はお連れあいの転勤先がたまたま福岡なのだそう。

いずれも小・中・高校生の子育て中で、忙しいながら。ランチをともにし、近況報告のほか、昔話に花が咲く。そんなことあったっけと思う。

そのあと、3階会議室に場所を移し懇親会。顔見知りの事務局どうしで旧交をあたため、記念撮影。

卒業した事務局がたまにであれ訪ねてきてくれるのはありがたい。わが事務所で働いていた経験や記憶が楽しいものであったか、すくなくとも嫌な気持ちを持っていないことの表明だと思われるから。

わが事務所は事務局が働きがいのある職場、働きやすい職場づくりに力を注いでいる。それでも顧客の紛争を解決し、その幸せと日常を回復するための仕事であるから、言動がきつくなったりすることもある。

そうした言動が受け流せるかどうかは、やはり日ごろの信頼関係があるかどうかだろう。少なくとも15年前までは、そうした信頼関係がたしかにあったのだ。

いまはどうだろう。さすがに在籍しながらでは本音は語りづらかろう。しかし春の合宿へ向けて、若手事務局からはそのようなレポートが複数でてきている。ありがたいことだ。

決意をあらたにし、今後とも日本一働きがいのある職場、働きやすい職場をめざしていきたいと思う。


2022年3月30日水曜日

「カムカムエヴリバディ」


  NHKの朝ドラはいよいよ最終回がちかづいてきた。大正時代から現代まで母娘三代(上白石→深津→川栄)の悲喜劇を描く。

深津は回転焼屋を営んでいるが、ライバルとして「団子3兄弟」の曲が流れる。この曲がヒットすると客が回転焼から団子に流れてしまう。でもドラマのほうも曲にあわせて、上白石、深津、川栄の時代のいろんなエピソードが串団子のように一本にまとまる展開になってきた。

「カムカムエヴリバディ」はわが事務所のスローガンとしてもぴったり。昭和の時代、稲村弁護士は裁判所前の門前町を離れ、お客さまのなかに飛び込んた。それまで福岡市内の赤坂や城内に事務所をかまえ、来られる人は来なさいというやり方だった。それを180度転換し、カムカムエヴリバディというやり方に変えたのだ。

虚無蔵さんの名セリフも、若手弁護士に聞かせたい。

「日々鍛錬し、いつ来るとも知れない機会に備えよ」

虚無蔵がこのセリフを言うと、アーヴィングの『オウエンのために祈りを』を思い浮かべてしまう。主人公2人は何の役にたつともしれぬスラムダンクの練習に日々励む。このような日々の鍛錬が意味をもつ日は来るのか。

むかし駆け出しの弁護士だったころ、水俣病の裁判で会場の場所とりや弁当の手配など、弁護士の仕事とも思えぬ下働きをやらされていた。その後、ハンセン病裁判を主導するようになった。下働きを一緒にしていたK弁護士は「この日のためにやっていたんだ。」としみじみと言った。後になって下働きの経験が役にたったのである。

カムカムでは母娘三代にわたり、あんこを作っている。その場合のスタンスが他のあんこ屋さんと違っている。人間側の都合ではなく、徹底してあずきの側に立っている。その呪文。

「あずきの声を聴け、なにゅうしてほしいか、あずきが教えてくれる。
おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ・・・」

当職の弁護士としてのモットーは「人事を尽くして天命を待つ」である。人事を尽くす際には、やはりおなじように祈っている。「よい結果になれ、よい結果になれ、よい結果になれ」。

2022年3月29日火曜日

『地域弁護士を生きる 稲村晴夫弁護士三十八年の軌跡』(ちくし法律事務所・編)発刊


  長いタイトルだ。本ブログ史上最長かもしれない。38年の軌跡だから長いはずだ。

 稲村晴夫弁護士が本事務所を退所されるにあたり、また古希を迎えられるのを祝し、『地域弁護士を生きる 稲村晴夫弁護士三十八年の軌跡』という本を刊行した。巻頭グラビア8頁付き、全278頁。頒価2000円+税。

本書のなりたちは、冒頭の「本書のなりたち」に書かれている。2020年8月、事務所の研修の際、稲村弁護士が本年3月末をもって退所されることを表明された。事前には何も聞かされていなかったので、まさに晴天の霹靂。みな驚いた。すすり泣く人もいた。

若手弁護士を中心に稲村晴夫弁護士の話をもっと聞いておきたいという声があがり、7回の連続講話を開催した。この講話を原稿に起こしたのが本書の核となっている。

7回の連続講話は次の5つの項目に整理された。
1 私と集団訴訟
2 地域における弁護士活動
3 思い出に残る人々と事件
4 地域事務所を目指して
5 弁護士を生きる

せっかくだから、これまで稲村晴夫弁護士とともに裁判や地域の活動をされてきた方々にも寄稿をお願いした。弁護士を中心に研究者、ジャーナリスト、元公証人、士業ら32人、多彩な顔ぶれが並ぶ。

カバー写真はよく撮れている。誰が撮ったのだろう。ははは。読んでみようかと思われるかたは、当事務所までお問合せください。

2022年3月28日月曜日

第26回九博デー


  土曜は第26回九博デー。九博は国立九州博物館の略称。デーの開催は26年前、東京、京都、奈良についで太宰府に4番目の国立博物館ができることが決まったことを記念して。

NPO法人国立九州博物館を愛する会の主催。太宰府ロータリークラブ共催。当クラブ45周年記念事業を兼ねて。

国立博物館なんて、ほっておいても設立・運営されているものだと誤解しがち。でもそうではない。たくさんのボランティアのかたがたの不断の努力に支えられている。あらためて頭がさがる。

わが事務所も地域に根ざす事務所として、このような活動にできるだけ関わりをもち、できるだけ支援していきたい。

無情にも天気予報は春の嵐、豪雨・強風注意報ということで最悪。特別展も天台宗・最澄が終わったばかり。北斎展までには間があり。客足が心配された。が、雨は午前中であがり、薄日が差す天候に。

メインイベントは筑紫野市在住の八尋さんが主催する「聚」さんによる津軽三味線の演奏。長く厳しい冬を耐え忍び春を待つようすが今日の状況にぴったり。

演奏終了後には博物館横にある「雲海桜」へ。窪地をめぐるように多種類の桜が植樹されている。ちょうど見ごろ。クラブが植樹したばかりの株を囲んで記念撮影。帰りには参道で梅ヶ枝餅を買って帰った。うまし。

2022年3月27日日曜日

ご予約の弁護士は誰ですか?

 

「午後2時20分に予約してきました。」


当事務所は、平日午前9時から午後5時までが営業時間です。

例外的に、ご相談者、ご依頼者の要望に応じて、休日にご相談をお受けすることがあります。


先日、土曜日の午前中に2件のご相談をいただき、やっと終わったと思ってひと息ついていた昼過ぎのことです。


ピーンポーン。事務所のインターホンが鳴りました。


誰だろうと思って出てみると、ご高齢の方から、冒頭の言葉。

おかしいなあ、自分に相談の予定は入っていないし、他の弁護士は誰も出勤していません。


「ご予約の弁護士は誰ですか?」と尋ねると、

「いや、弁護士さんのお名前とか言いよらんかったですもんね。」とのこと。


おかしいなあ、そんな予約の入れ方はしないはずだけど、うちの手違いだろうか・・・。

というか、午後2時20分の予約だったとしても、まだ午後1時。いらっしゃるのが早すぎますよ!

と心の中でツッコみつつ、


「すみません、うちの手違いかもしれません。今日は私しか弁護士がいないので、私でよければお話をお聞きしましょうか。」

と、とりあえず中に入っていただきました。


「紹介ですもんね。」と言って差し出された紙をみると、

”二日市法律相談センター”とあります。


ははーん。どうやら弁護士会の法律相談センターと当事務所を間違われたよう。


「これ、うちではないですよ。徒歩1分でつくから一緒に行きましょうか。」


これまで色々なご相談をお聞きし、色々なご回答をしてきましたが、回答が道案内になったのはこれが初めて。


今度はぜひ当事務所にご相談にお越しくださいね。


富永


2022年3月25日金曜日

ひさびさの飲み会

 
 昨夕は月に1度の弁護士会議。年度末に予定されている稲村晴夫弁護士の退所にともなう事項、退所後の事務所運営にあたっての事項等をあつく議論した。

稲村弁護士の退所により大きな穴があくことは避けられない。その穴をだれが埋めるかというと、どうしても若手弁護士が成長して埋めるという議論にならざるを得ない。年長者のほうは伸びしろが少ないから(笑)。

おもえば、当職が入所したころはのんびりしていた。いまのように、先輩弁護士から手取り足取り教えてもらうこともなかった。いきなりお客さまと対面し、失敗を繰り返しながら成長させていただくことの繰り返しだった。いまとなっては笑い話ですむけれども、当時の顧客には多大なるご迷惑をおかけしてしまった。すみませぬ。

逆に、いまの若手弁護士には気の毒なところもある。たくさんの先輩からあーでもない、こーでもないとアドバイスが飛び交う。

先輩がたは親切心から言っていることは間違いない。だが、流派がちがうものだから、一見逆方向に思えるアドバイスも多い。ま、そのなかから自分にあったものを見つけて習得し、成長につなげていくしかない。

会議後は近所の居酒屋でひさびさの飲み会。困難事件、わからずやの相手方、独善的な裁判官の愚痴をいい、聞く。自分たちのなかに溜まっていた悪い成分が溶け出していく。

また新年度からはじまる新体制へ向けての期待や不安でも盛り上がる。どうなることやら。がんばるしかない。


2022年3月24日木曜日

面会室を探せ!


国選弁護で、勾留中の方に会いに、久留米拘置支所に行ってきました。


久留米警察署の留置は行ったことがありましたが、久留米拘置支所は初めて。

久留米の裁判所の隣にあります。


外国籍の方のため、通訳人の方と一緒です。

通訳人の方も、久留米拘置支所は初めてとのこと。


入口をはいって玄関ホール。右手に職員事務室の窓口があるほか、広めのホールを見渡しても、弁護人待合室、一般待合室、トイレくらいしかなく、何とも無機質な空間。


通訳人の方とともに受付をすませ、弁護人待合室にはいります。

福岡拘置所の待合室より、せまいけどきれい。


しばらく待つと、「弁護人面会室におはいりください。」との天の声。


「では、行きますか。」と言って、先ほどの玄関ホールに出たものの、弁護人面会室がどこか分かりません。


だって、弁護人待合室、一般待合室、トイレくらいしかない、何とも無機質な空間なのですから。


通訳人の方とともに、推理をはじめます。

「ここですかね。」とドアを指さすと、

「そこは(多目的)トイレですよ。」とツッコまれました。


わ、わかってますよ。ちょっとボケただけです。


しばらくうろうろしていると、見かねた職員さんが出てきて、教えてくれました。

な~んだ、そんなところにあったのですか。


無事、面会できて、帰宅の途についたのでした。


富永

 

ある家明け事件ー左の頬を打たれたら


 7年前は山梨県にある二百名山、御正体山に登っていたようだ。Facebookがそう教えてくれる(写真)。まだ雪山で、ブナだろうか、春待ちげな古木である。

さてきのうは2件、事件が解決した。1件は賃貸マンションの明渡請求事件。賃料の滞納がつづいたため契約解除。裁判所も明渡しを命じた。

しかしこれに応じない。執行官に依頼して明渡しの強制執行を申し立てた。1度目は任意の明渡しを求める督促。それでも明け渡さない。

しかたがないので断行かと思いきや、前日になってあと少しとの連絡。執行官とも連絡を取り合い、裁判所に依頼して月末まで断行を延期してもらう。

その後も連絡が途絶えたり、いろいろあったが、ようやく鍵が返ってきた。鍵の所在は重要である。『ユリシーズ』でも、鍵こそがその塔や屋敷の主であることの象徴となっている。家屋の明渡しにおいても、家財を撤去し、部屋を掃除した上、鍵を戻してはじめて明渡し完了となる。

きのうはさらなるドラマがあった。マンション内部の状況を確認するため、家主の息子さんに立ち会ってもらった。その際、借主とはじめて対面がなされた。

これまでの約束違反、受けた迷惑の数々。普通であれば、暴言、叱責、苦情の連呼は避けられないだろう。しかし家主の息子さんが述べたのは感謝の言葉。「断行しないで任意に明け渡してもらい、ありがとうございます。」

これには驚いた。35年間弁護士をしていて初めての経験だ。右の頬を打たれたら左の頬を差し出せという教えは知っている。しかし実践するのは難しい。

でもやはり教えはすごい。深い知恵にもとづくものと実感した。というのも、感謝の言葉により、その場にいた人みなが幸せな気持ちになったのである。まさに魔法の言葉である。暴言、叱責、苦情の連呼だと、溜飲をさげることはできただろうけれども、嫌な気持ちがしばらく続いたと思う。

2022年3月23日水曜日

エピファニー

 

 ジェイムズ・ジョイスの文学の特徴をあらわす言葉にエピファニーがある。元来はキリストの顕現を意味する。ジョイスは彼らしくそれを平凡な日常のなかに見いだした。

平凡な出来事のなかにその事柄や人物の本質が姿を現す瞬間がある。それを象徴的に描写しようとしたのである。その事柄や人物の魂が突如として意識されその本質を露呈する瞬間でもある。

本ブログの開始は2010年6月17日木曜日にさかのぼる。おしい。6月16日であれば、ブルームズデイだったのに。

『ユリシーズ』はダブリンにおける1904年6月16日木曜日の1日のことが描かれている。6月16日は、主人公ブルームの名をとってブルームズデイと呼ばれている。最後の審判の日がドゥームズデイなので、そのパロディである。

ドゥームズデイには世界中から『ユリシーズ』ファンがダブリンに集結し、多彩な催しがおこなわれる。ぜひとも一度訪れてみたい。やはり小説中でブルームが遍歴したとおりの行路をたどるが夢である。

それはともかく、わが事務所のブログをはじめたのは若くして急逝した落合弁護士である。ブログの過去ログを検索すれば(右側の西暦のうち2010年をクリックする。すると、月が標示されるから6月をクリックすればよい。)、いまでも彼の語り口にあうことができる。

彼がブログをはじめてことしで丸12年になる。ずっと続けることができたわけではない。中断も何度かある。断続的に書き継いできた。ブログを続けることは結構むずかしい。1年くらい書くと、なんだか書く気が消失したりする。

しばらくするとまた書く気が湧き上がってきて、ふたたび書き始める。最近は、森くんやトミーがはじめたのに励まされて書いてきた。

ここのところ、少しブログを書く意欲が失われつつあった。他人のせいにしちゃいけないけれど、プーチンのせいだ。いまの世界であのような残虐なことが行われているのに、のんきにブログなど書いていてよいものかという感じがぬぐえない。

でもブログというのは不思議なものだ。書く気が失われてくると、きまって望外に誉めてくれる人があらわれる。きのうも、相談を希望されたかたがとてもほめてくれたらしい。

単なる偶然と考えることもできる。しかしまた神の使者(ほめてくれた人が)と考えることもできる。またまた落合くんのお遣いと考えることもできる。

古代ギリシア人はすべてのことに神々の意志や配慮を感じていた。オデュッセウスが故郷に戻れぬのも戻れるのもすべて神々の思し召しによるものだ。

現代社会ですべての出来事が神の遺志にもとづいて起きていると考えることはむずかしい。しかしたまに起きるうれしい出来事について、天国で落合くんがほほえんでいるよねと考えることはできそうだ。

2022年3月22日火曜日

ナウシカア


  いまの日本人でナウシカの名を知らない人はすくないだろう。宮崎駿のアニメ映画『風の谷のナウシカ』の主人公。

世界を焼き尽くす破壊兵器をもちいた戦争後、空気は汚れ巨大化した昆虫たちが跋扈する世界。人々はなおいがみあい、争いを止めることができない。そして争いにより環境をさらに悪化させてしまう。そうしたなか、人と人が争うのをやめ、自然と共生する道をさぐる・・・。

ナウシカの出自はふるく、古代ギリシアのホメロスによる『オデュッセイア』である(ナウシカではなく、ナウシカアと表記される。)。スケリア島の王女。難破漂流してきたオデュッセウスを救いもてなし、船を用意して彼を故郷イタケ-へと送り出す。別れ際、国に帰っても自分のことを思い出して欲しいと告げる・・・。

『風の谷のナウシカ』の主人公の名はなぜナウシカなのだろうか。ほんとうの主人公はオームに象徴される自然であり、彼女はオームをもてなし自然を救うという意味だろうか。

いまもジョイスの『ユリシーズ』に取り組んでいる。参考書の助けを借りつつ、難解かつ長文な本文を読むのでなかなか進まない。『オデュッセイア』を神話的背景とする『ユリシーズ』にもナウシカアの挿話は当然でてくる。

古代の英雄が主人公であった『オデュッセイア』と異なり、現代のスケベなおっさんが主人公である『ユリシーズ』。そこでは、ナウシカアの目されるガーティもかなり下世話である。このブログで紹介することも憚られる。20世紀初頭発禁処分を受けたのも、この記述が問題とされたためである。

スケベなおっさんはブルーム。『オデュッセイア』の主人公であるオデュッセウスがトロイア戦争を闘うなど好戦的であったのに対し、平和主義者である。

当時アイルランドはイギリス帝国主義の軛のもとであえいでいた。アイルランドではそこからの独立をめざし、民族主義が熱くなり、文芸の分野でも国粋主義的な風潮がたかまっていた。

運動はイギリスの帝国主義からの独立という目的をもっていたけれども、他方ではユダヤ人など外国人を排斥する側面ももっていた。運動というものの危うさを示している。ブルームはそれらの運動とも一線を画し、徹底的な平和主義の立場である。

われわれ凡人はニュースや日々の出来事につどつど怒りを覚え、われを忘れてしまいそうになる。しかしいまこそ、ナウシカのことを思い出さなければならないと思う。

2022年3月18日金曜日

本末転倒?


4月に席替えをします。


私は、今は事務所の2階で執務をしていますが、4月からは1階に移ります。


小学生であれば、席替えは楽しいイベントでしたが、

小生(しょうせい)、いかんせん荷物が多いのです。


 記録やら、書籍やら、資料やら・・・。


そうは言っても事務所の弁護士の中では一番後輩ですから、ご依頼いただいている件数では一番少ないはずで、それなら記録も一番少ないはずで、だったら一番に片付けて席を明け渡さなければならないのです。


そう思って、まず使っていない書籍から片付けていくことに。


少しずつ持って帰ろうかと、紙袋に入れて机の周りに置き始めましたが、

小生(しょうせい)、いかんせん書籍が多いのです。


あっという間に、席周りが紙袋に入った書籍だらけになり、邪魔なのです。

片付けるはずか、ちらかるということはあるあるですが、

ときには、本につまづいてこけそうになることも・・・。


これが本当の「本」末転倒。


富永

2022年3月16日水曜日

ロータリークラブ有志による所長就任祝い


  昨夕は、太宰府ロータリークラブ有志で、ちくし法律事務所の所長就任祝いをしていただいた。ありがたい。

場所は春日原の千太(せんた)。天神の千太が閉店した際、暖簾(のれん)を譲り受けたという。

むかし、いまのソラリアのあるあたり、スポーツセンターがあった。相撲やプロレスを興行し、アイススケートなどを楽しむことができた。

その周りに店ができ、天神センター街。名画座もあり、センターシネマ。割烹料理屋が千太(せんた)だった。

ちくし法律事務所のセンター就任を祝うので、千太というわけだろうか。

ロータリークラブは1905年アメリカはシカゴで結成。シカゴは当時全米第2位の大都会に発展。映画『アンタッチャブル』でかいまみられるように、商業道徳が頽廃しギャングがはびこるような街だった。

結成の音頭をとったのはポール・ハリスという弁護士。彼は田舎から都会にでてきたものの、友だちもいなくて寂しい思いをしていた。

そうしたなか、自分たちだけはまっとうな商売をし、仲よくしようと集まったのがロータリークラブのはじまりである。

その後、職業を通じて社会や青少年、そして国際平和に奉仕する世界的な奉仕団体に成長した。

仲良くしようという親睦目的は重視され、今回の就任祝いにつながっている。いままで面と向かって言われたことはなかった人からも、たくさん誉めてもらい、気持ちのよい一夜をすごすことができた。

みなさんから5年分くらい誉めてもらえたので、すくなくともあと5年は頑張れそうな気がする。こんごとも弁護士業を通じて社会に貢献していきたい。

2022年3月15日火曜日

コミュ力を鍛えよ!

 

弁護士もサービス業。「行きつけの居酒屋のような」気軽なコミュニケーション能力を身につけよ、と先輩弁護士に言われて・・・


コロナもあるせいか、「行きつけの居酒屋」がないなあと思った今日この頃。

近所の居酒屋に焼酎のボトルを入れてみたものの、まん延防止もあって、そのまま行かなくなり、数か月以上が経っていました。


常連への道は遠い・・・。


この前、久しぶりに訪ねてきました。

ご夫婦でされている小さなお店ですが、その日はお客さんも多く、忙しそう。


会話どころか、注文のタイミングさえつかめない私。

すると、店長が、「ボトル出しましょうか。」とひと言。


ボトル入れてたことは覚えていてくれたんですね!感激です!


渡されたボトルには「幸田」とあります。


常連への道は遠い・・・。


まあ、料理もお酒も美味しかったし、

「幸田」さんじゃないけど、幸せだ。


富永




パワハラ対策


  さいきんの労働相談で顕著なのは○○ハラに関する相談が増えていることだ。セクハラ、パワハラ、モラハラ・・・。

そんななか、4月から中小企業でもパワハラ防止対策が義務化される。パワハラとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいう。

具体的には
(1)身体的な攻撃 暴行や傷害など
(2)精神的な攻撃 人格を否定するような言動、名誉毀損や侮辱、暴言など
(3)人間関係からの切り離し 仲間外しや無視など、職場での孤立を招くもの
(4)過大な要求 業務上不要なことや不可能なことの強制など
(5)過小な要求 程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること。

古典的な不法行為、あるいは違法行為は(1)身体的な攻撃、暴行や傷害などであった。しかし、その後、このような物理的・身体的なものではないけれども、やはり違法だという態様が認識されてきた。

これを見て思いつくのはマズローの法則だ。人間の欲求には生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求(所属と愛の欲求)、承認欲求、自己実現の欲求の5段階がある。

(5)などは一見、たいして働かなくても給料をもらえるのであればよいように思える。国鉄が民営化される際、国労の組合員に草むしりなど意義のない仕事を強制させたという。しかし人間やはり働きがいも大切だ。意義の見いだせない仕事は苦痛以外のなにものでもない。

わが事務所でも、パワハラは絶対禁止だ。まずは相談窓口を明らかにし、就業規則の改正を改正し、5月には研修(啓発)を行うことになった。

研修(啓発)にあたっては、コミュニケーションの希薄化などといったパワハラの発生原因や背景についての理解を深めることが重要であるという。

うちの職場は弁護士9人、うち男性7人、事務局(秘書)11人、全員が女性である。こうした職場で、われわれ男性年長者が難しく思うのは、(6)の私的なことに過度に立ち入るなという要請と、このコミュニケーションの希薄化を避けよという要請のバランスというか境界だ。

どこからが「過度」なのか、よく見えない。ついつい地雷原には足を踏み入れないよう萎縮してしまう。すると、コミュニケーションが希薄化してしまい・・・。だれかうまいこと教えてくだされ。

2022年3月14日月曜日

龍吟雲起 虎嘯風生

 





 ミネアポリス美術館展・日本絵画の名品展@山口県立美術館へ。大学で美術を教えている友だちの告知で知って。撮影OK。

ミネアポリスはミネソタ州東部の世界都市。地図で見ると五大湖の西。空港ピアノでもやっていた。ミュージシャン・プリンスを生んだ街。

ミネアポリス美術館には約1700点もの日本美術コレクションが存在。なぜにそのようなと思うが、その解説はなかった。

ロシアによるウクライナ侵略からこちら、平和な生活を送れることがありがたくも、なんだか申し訳ない気もしつつ出かけた。

龍吟虎嘯。同じ考えや心をもった者は、相手の言動に気持ちが通じ合い、互いに相応じ合うこと。いまは寄付ぐらいしかできることはないけれども、いまこそウクライナの人々とともに平和を希求しなければならないと思う。    

2022年3月11日金曜日

アルデバラン


 カムカムはいま3代目・川栄李奈が活躍中、そろそろ終結かと思われる。

主題歌はAIの「アルデバラン」。アルデバランは牡牛座のα星、冬のダイアモンドを構成する。歌詞の冒頭はこう。

 ♪君と私は仲良くなれるかな
  この世界が終わるその前に・・・

カムカムは日常的ドラマの流れのなかに、突然異質なものが挿入されて面食らう。「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬ歌がある。」以前紹介した時代劇シーンなどがそうだ。

川栄李奈になってからは「およげたいやきくん」や『サラダ記念日』など、ときどきの流行歌や流行したセリフを使って昭和という時代とその流れを感じさせてくれる。

なかでもこれはと思ったのがノストラダムスの大予言。「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」。あったあった、あったね~。

その後の展開で川栄は恋人の五十嵐と別れる展開に。時代劇が廃れ、食えなくなったからだ。あれれ。「アルデバラン」の歌詞どおりではないか。

そう思っていたら、ロシアによるウクライナ侵略。プーチンによる核兵器威嚇。NATOや欧米各国とロシアによる全面戦争になりかねない事態に。・・・。

俄然、歌詞の重みが増している。SMAPの「Triangle」も最注目されている。

先輩時代劇俳優が五十嵐に贈った言葉が沁みる。

どこで何をして生きようと
お前が鍛錬し培い身につけたものはお前のもの
決して奪われることのないもの
一生の宝とせよ。

2022年3月10日木曜日

レ ジョワイオ

 



 博多座の公演のあとは、冷泉の公園へ。その東側に、作秋開店した店あり。先輩のご子息が十六区で修行したのち、こちらへ。

ちょこっと顔だし。店の名前はなんど聞いても覚えられない。先輩もそのようだ。joyなんちゃらというお店。喜び関連のフランス語だろう(宝石という意味らしい。)。お近くへお越しのときは、ぜひお寄りくだされ。

 【店名】 レ ジョワイオ
 【開店】 2021年9月11日
 【休日】 不定休
 【時間】 10:00~20:00
 【住所】 博多区店屋町4-24
 【電話】 092-600-9910
 【HP】 https://lit.link/lesjoyaux


2022年3月9日水曜日

『桐竹勘十郎が魅せる人形浄瑠璃 文楽の世界』

 

 昨夕は『桐竹勘十郎が魅せる人形浄瑠璃 文楽の世界』@博多座。昨年10月重要無形文化財(人間国宝)に認定された桐竹勘十郎さんの語りや人形遣い。

①文楽の三業とは。②桐竹勘十郎インタヴュー。③「二人三番叟」の三部構成。会場と一体となるよう気配りがなされていた。

文楽は太夫、三味線、人形遣いの三業から成る。それぞれの芸の見せどころ、見どころの解説。太夫は多様な登場人物の声の使い分け、三味線は喜怒哀楽の音の違い、人形遣いは3人で操作するのでそれぞれの勘所とは。

つぎに桐竹勘十郎さんのインタヴュー。1953年生まれだから、稲村弁護士と同世代。1967年中学2年のときにデビュー。当時は人手不足で、若いというだけでいろいろやらされたとの昔話が興味深い。

やはり人間国宝だった父の名跡を襲名。披露公演は『絵本太功記』。師匠や兄弟子らもバランスよく活躍できるのがよい演目なのだそうだ。なるほど。

関西人らしく、いろいろ笑える企画にチャレンジされている。コロナ禍対応の動画づくりはその一つ。人形が器械に向かって検温する場はいちばん笑えた。

〆の演目は二人三番叟。これは二つの人形が並んで演技することになるので、人形遣いのうまい/下手が左右対比しながら観察できる。比らべられる若手のほうもたいへんなプレッシャーだ。

われわれの仕事もこのようにして年配者と若手が競うようになれば、互いによい刺激になるだろう。そういう場がないわけではない。集団訴訟の証人尋問や意見陳述などがそう。だから、若手はどんどん集団訴訟に参加し、そこで鍛われればよいのだ。

2022年3月8日火曜日

曾根崎心中

 

 先週土曜日は人形浄瑠璃・文楽の観劇。演目は『曾根崎心中』(写真左)。近松門左衛門作。大野城まどかピアでの地方公演。

文化庁の後援及び日本芸術文化振興会の助成事業。博多座公演と比べて安い。このパンフレットも500円と格安。大阪まで観に行くことを考えると夢のよう。でも入りは半分弱くらい。とてももったいない。

梅田から御堂筋を南にブラブラしていると、東側にお初天神(露天神)がある。曾根崎心中は、そのお初と徳兵衛が恋をまっとうし、心中した話。生玉社前の段、天満屋の段、天神森の段からなる。お初天神は、最後の段の舞台で、2人が心中した場所である。

初の世話物。いまでいえば、時代劇ばかりの番組編成のなかに、はじめて現代ドラマをもちこんだもの。大ヒットした。カムカムの伏線はじつは近松がしかけたのだった。

文楽はお能よりわかりやすい。もともと客層がちがう。お能を観ていたのはいまでいえば高級官僚ら、文楽を観ていたのは庶民。そういうこともあるのか、文楽には字幕がついている(文語であるが、耳だけでなく目を使えるというのが断然ちがう。)。

そもそも人形劇だからわかりやすいということもある。大きな人形を3人で操縦する。世界でも例をみないという。

ストーリーと人形のせりふは舞台右手に座っている太夫がよく通る声で語る。その横では大きな三味線が劇をもり立てる(これはいまのテレビドラマでもそうだ。役者の演技はそこそこでも背景にながれる音楽の美しさに感動してしまうことがある。)。

わが?三浦しをんがファンである。『あやつられ文楽鑑賞』『仏果を得ず』(いずれも双葉文庫)の著作がある。まずはこのへんに手をだし、やがてその術中にはまり、あやつられてみてはいかが。


2022年3月7日月曜日

モデルナワクチン副反応(報告)


  金曜日、ワクチンの副反応がないのも寂しいと書きながら、こんなこと書いたら、よっしゃーと副反応に襲われるのではないかと危惧はしていた。すると案の定

トミーの報告にあるとおり、金曜日の昼からうっすらと熱発した。ぼんやりする。測ってみると36.9度。平熱が36.3度であるから、ややである。若ければ38度くらいまで上がったかもしれないが、60歳もすぎると発熱もぼんやりしている。

病気早退するにも中途半端な症状だったので、午後も執務した。事務局からは顔が赤くなっていると指摘されたが、顧客からは特段の指摘はなかった。

翌朝(土)はもう熱が下がっていた。でも注射部位の5センチほど下は赤みをおびて丘状に腫れている。これが噂のモデルナアームか。他人が噂するほどのものはひととおり体験してみたい派であるが、これはちょっと遠慮したかった。

当日は昼からオンライン会議と観劇(のちほど報告)があったので、昼前から外出し20時ころ帰宅した。

昨日(日)は、怪鳥会の山登り。宝満山から三郡山を経由して若杉山までの縦走を予定していた。山中8時間のロングコースである。しかし病み上がりでもあるし(感染症によるものではないものの、ワクチンにより体内の免疫機構をフル稼働させた分、予備能が費消されている。)、宝満山の山頂まででリタイアさせてもらった。

このような苦痛を高頻度でもたらす異物を、公衆衛生の名のものとに、彼ら自体にそれほど恩恵のない子どもたちにまで打つ必要があるのか疑問である。

2022年3月5日土曜日

選ばれし法律相談

 

コップの水理論ってありますよね。

「コップに半分入っている」と考えるのか、

「コップが半分空である」と考えるのか、

同じことだけど、とらえ方が違う、というやつ。


弁護士会には色々な登録名簿があります。

後見や破産で裁判所から仕事を頼まれる人の名簿とか、刑事事件がいっぱい回ってくる人の名簿とか。

「労働法律相談」、「犯罪被害者電話相談」というように、分野を絞った法律相談の担当者名簿などもあります。

それぞれ、研修を受けて、種々の名簿に登録されることになります。

法律相談名簿に登録されると、担当日が割り当てられて、法律相談センターや法テラス、市役所などに出張して法律相談をすることもあります。

担当日の都合がつかなければ、名簿登録している弁護士同士で交代することになります。


先日、とある研修を受けて、とある法律相談名簿に登録されました。

みると弁護士が40人くらい。

えーっ、たった40人で回してるの!と思いましたが、そこはコップの水理論。

福岡に弁護士1400人ありといえども、1360人は登録していない、選ばれし法律相談、と思うことにしました。


ところが、割り当てられた担当日が、別の名簿の担当日にかさなっています。交代してくれる弁護士を探すことになりましたが、そこは40人の弁護士名簿。しかも、私のような若造が知っている人となるとさらに限られます。


現在進行形で、交代してくれる弁護士を探していますが、今、5連敗中。


やっぱりコップの水は半分しか入っていなかった、と嘆きたくなる今日この頃でした。


富永




2022年3月4日金曜日

お昼は奢っておきますよ

 

最近、U先生とお昼をご一緒することが多かったのです。

だいたい事務所の近くの同じお店に行くことになります。

今日は、U先生がワクチン打った後でぼーっとするから出ないと言われ、1人で食べにでました。

定食を頼むと、なぜか伝票は2人前。


U先生の分?

そうだ、勝手に奢ったことにして、恩を売っておこう。

U先生の月曜日の分ということで。


お店の方には、

「あちらのお客様からです。」

みたいな感じで、

「いつものお弟子様からです。」

と言い含めておこうかな。


富永



ワクチン接種(3回目)


  一昨日、接種券が届いた。説明書を読むと、ファイザーかモデルナかを選べるとある。かかりつけを除けば、市役所でファイザー、カミ-リア(福祉センター)でモデルナが打てるとある。

ちなみに、1回目、2回目ともファイザーであった。3回目もファイザーにするのがいいのか、モデルナにしたほうがいいのか。分からない。

事務局に相談すると、みなそれぞれである。まとめると、モデルナにしたほうが効果はありそうだが、副反応も強いようだ。それはそうだろう。毒にも薬にもならないという言葉がある。薬効があるということは副作用(副反応)もきついということだ。

ファイザーは人気なので待ち日数があり、モデルナは不人気なのですぐに打てるという。よし、じゃ、ファイザーだ(モデルナの副反応が恐かったのでは決してない。ただ従来の流れを変えたくなかったのだ。うそ)。

そう心に決めて、コールセンターに電話した。すると、この電話はモデルナですといわれ、選択の余地を与えない。えっ、そんなこと、どこにも書いてなかったけど・・・。この電話はって、コールセンターの番号は1つしか書いてなかったけれど・・・。いろんな疑問や苦情が頭のなかを駆け巡ったが、ぐっと飲み込む。

モデルナでしたら、明日(木曜)の午後3時以降、何時でも空いてます(さすが、噂どおりモデルナには待ち行列がないようだ。)。あれれ。モデルナでしたらって、どういうこと?さっきは、この電話はモデルナですっていったじゃん。ま、いっか。

じゃ、あすの午後5時で。つまり、今から振り返ると、昨日の午後5時に予約した。問診表に書き込む。保険証を忘れないようにしないと。

副反応のことを考えると、金曜の午後5時にしたほうがよかったかもしれない。でも日曜に怪鳥会の登山、ちょっと厳しめのやつが予定されているので、金曜接種では遅すぎるかもしれないと考えた。

木曜4時すぎ、事務所を出発。出発間際、「死んだらあとはよろしく。」と言って出かける。

むかしの判例に「残念事件」というのがある。慰謝料は精神的苦痛に対する賠償なので、死者の一身専属権である。ゆえに死ぬ前に慰謝料請求の意思を表明する必要がある。なにも言わずに死ねば慰謝料は請求できない。「残念、残念。」といって死ねば、請求できるという判例である。

心配しなくても、いまは何も言わなくても大丈夫。でも万一のことがあるから、死んだらモデルナ社に賠償請求してほしいという趣旨を込めた。

判例では67歳まで逸失利益を請求できることになっている。あと5年分かと言いつつざっと計算する。するとI弁護士がぜんぜん足りないという。たしかにそうだ。個人の損害はともかく事務所の損害補填にはとても足りない・・・。なにを心配しているのか分からない。

そして今日。このブログを書いている。いまのところ副反応はない。命に別状はない。モデルナアームもない。副反応があるのは困るが、なにもないのもなんか寂しい。ほんとうにワクチンが含まれていたのだろうか。生理食塩水ではなかったか。などなど心が騒ぐ。

ぼくは基本的に、自分の体に異物を入れない主義だ。薬はほとんど飲まない。風邪をひいても病院にはいかず、葛根湯とユンケルで免疫を高めて対処する。

ワクチンもできれば打ちたくない。しかし、イタリアにいる孫に会いに行くためには、背に腹は代えられない(ワクチン接種は腕だが。)。涙を飲んで打ちにいった。

3月末には孫のほうから帰国するとの連絡があっていた。ところが、ロシアがしかけた戦争である。コロナのつぎはロシア。ロシア上空を飛行できないため、予約便が飛ぶかどうか分からなくなっている。

早く戦争を終結してほしい。ウクライナの人々からすれば、孫に会いたいなど、なんだそれくらいという話である。しかし、切実にそう願っている。

2022年3月3日木曜日

白銀の安達太良山

 




 東北遠征の最終日は、安達太良山。やはり日本百名山である。

ひとくちに雪山といっても、厳冬期なのか残雪期なのか、日本海側か太平洋側かなど条件により、難しさはさまざまである。

2月は厳冬期なので、一般には天候が安定せず、むずかしい。東北遠征はいちおう4峰を計画しているものの、まあ2峰に登れれば御の字と考えていた。蔵王、西吾妻、磐梯と3日連続で登り、疲れもたまってきていた。

天気は、前々日まではC判定であった。ところが、前日夕方になってA判定に急変した。これはもう呼ばれているにちがいない。

山は高村光太郎の『智恵子抄』で有名である。駅前には智恵子の像がたち、青空を指さしている。途中、「この上の空がほんとの空です」と書かれた道標もある。夏場には女性に人気の山である。

智恵子のお告げのおかげか、快晴になった。青が濃く、安達太良ブルーである。山頂付近は西風の厳しさをうかがわせるエビのしっぽだらけだった。道標もエビのしっぽに襲来されて、判読できない。

安達太良山は別名、乳首山という。由来は、山頂部の形状にある。最後の写真を参照してほしい。解説は省略。東北には乳頭温泉もある。よほど好きなのだろう。

2022年3月1日火曜日

ある現場


  きのうは朝から朝倉方面まで出かけた。そのためブログが書けなかった。

 ある遺産分割調停が成立した。きのうは、相手方の動産を運び出す日だった。適切になされるよう監督するため、立ち会う必要があった。

向こうに古処山がのぞめる田園地帯である。天気も快晴でおだやかだった。

遺産分割事件であるから、当方と相手方は兄弟である。兄弟であるけれども、双方に弁護士がついて調停を経ているのであるから、仲がよいとはいえない。当方の依頼人と相手方の弁護士は来ていない。

いくつか小競り合いがあった。裁判所で調停しなければならないほどの仲であるのに、自己に都合のよいところでは兄弟感覚でいるから、やってよいこととやって悪いことの区別が十分にできていない。それを指摘すると、食ってかかる。

電話工事業者が4、5人いて、第三者の眼があったこともあり、ことなきを得た。現場には、裁判所や事務所とは異なる「前線」の感覚がある。

 数週間前にも、隣地の石垣が崩れた現場を見にいった。現場百回と言われる。事務所で話を訊くだけでは真実をつかみそこねることがある。

境界にある崖が崩れたときの解決方法については争いがある。大学では物権的請求権により、崖下の人が崖上の人に復旧を要求できると習った。そのように理解していたら、東京高判では別異に判断がなされている。

しかしそれも自然状態にある場合である。すでに石垣など人工的な工作物がある場合は別だ。土地の工作物所有者の責任により、原則として石垣の設置・管理者が責任を負わなければならない。

現場に行くことにより案の定、依頼者の話や写真では分からなかった状況を把握することができた。やはり、おっくうがらずに現場にでかけなければならない。