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2025年4月14日月曜日

法律相談ー確率的な未来予測と行動指針(4)

 

 ある離婚事件で、ある弁護士と引き合いになった。相手方が妻である原告の依頼を受け、当方が夫である被告の依頼を受ける事件だった。このような場合に引き合いになるという。

 ある弁護士は知らない弁護士だったのでホームページを拝見すると、離婚専門弁護士を名乗っておられた。

 弁護士業は国民の財産を守る公的な仕事なので、自由業ではあるがいろいろな規制をかぶっている。医者とちがって、あまり専門性を標榜してはならない。少なくとも昔はそのように言われていた。いまもそうではなかろうか。

 不貞があり、慰謝料を1000万円請求されていた。不貞慰謝料の相場は200万円である。それにもかかわらず1000万円も請求してくるというのはどうなのだろう?依頼人の強い希望なのだろうか?

 最善を期待しつつも最悪に備える立場からすれば、受任時に「ご希望どおりに1000万円を請求しますが、裁判の相場は200万円ですよ。裁判官から200万円で和解打診があると思いますが、その時はその金額を飲まざるを得ませんからね。」という説明を行う。

 本件でも相手方弁護士は離婚専門弁護士を標榜しているのであるから、当然これくらいの説明は行っているだろうと思い、応戦した。

 しばらく主張をかわした後のある期日において、案の定、裁判官は慰謝料200万円で和解するよう打診した。

 次の期日、相手方の弁護士は「和解打診の内容を説明したが、依頼人の納得を得ることができなかった。」と報告した。裁判官は、困ったですねぇという顔をして、再度200万円で説得するよう相手方弁護士に依頼した。

 次の期日、相手方の弁護士は「和解打診の内容を説明したが、依頼人の納得を得ることができなかった。」と報告した。裁判官は、困ったですねぇという顔をますます険しくして、再度200万円で説得するよう相手方弁護士に強く指示した。

 さらに次の期日、(以下同文)。

 この経緯からみるかぎり、相手方弁護士は、受任の際、1000万円の慰謝料を請求することしか説明していなかったと思われる。離婚専門を名乗るまえに、弁護士としてのイロハができていないといわざるをえない。

 着手金は請求額(正確には、事件の経済的利益の価額)をもとに算定されるので、1000万円を前提に計算したとすると200万円の5倍になる。しかし、これでは詐欺と言われてもしかたがない。

 最近は、弁護士の営業ツールとしてホームページが欠かせない。また競争が激化しているので、経営コンサルタントに依頼したり、ホームページ作成業者に依頼したりする弁護士も増えている。ほとんどそうなっているかもしれない。業者の言いなりに宣伝をしているので、中身が伴っていないことも多い(たいへん失礼ながら)。

 結局、これにより被害を被るのは利用者である国民である。利用者である国民はホームページに書いていることを信じるほかない。口コミがあるではないかというかもしれないが、知っている事務所の口コミを拝見するかぎり、あまり実態を反映していないように思う。

 弁護士を増員して競争するようになれば、サービスが向上し、向上できない弁護士は市場から脱落し、弁護士サービスはさらに向上する・・・と言われていたのだが。どこでどうなってしまったのだろう。

2025年4月10日木曜日

法律相談ー確率的な未来予測と行動指針(3)

 

 法律相談の際の未来予測は、確率的なものであるから、一定の幅をもっている。最善の結果から最悪の結果まで。だいたいは、その中間点あたりに着地することが多い。

 話を分かりやすくするために、たとえ話をすると、1,000万円の損害賠償を請求したときに、最善の結果は1,000万円満額を回収できた場合であるし、最悪の結果は1円も回収できなかった場合である。中間点となると500万円を回収できた場合である。

 こうした事件を受任する場合、弁護士としては2つのやり方に分かれる。一つは、最善の結果だけ説明して受任し、負けたら裁判官が悪いせいにするやり方(話を分かりやすくするため単純化している。)。二つは、幅のある未来についてできるだけ丁寧に説明し、できうるかぎりのご理解いただくやり方である。もちろん、われわれは後者の方法をとっている。

 この場合の行動指針としては、最善の結果を期待しつつも、最悪の結果にも備えるというものである。相談者にも、この点を説明し、おなじ行動指針を採用していただく。

 この点も、一般の人には分かりにくい話である。そもそもテレビドラマの水戸黄門的な世界観に慣れ親しんでいる一般人からすると、正義が勝たないということの理解がむずかしい。

 最悪の結果のほうを説明していると、自分の言い分を否定され、けなされているように受けとめる人がいる。最悪の結果について説明せずにすむなら説明せずにすませたい。

 しかしこの点の説明を怠ると、将来において最悪の結果になったとき、怒りの矛先が弁護士に向いてしまうことになる。理解がむずかしい話ではあるけれども、時間をかけて丁寧に説明するしかない。最善の結果と最悪の結果との間にひろがる幅のある未来について。

 ※明日は研修のため、事務所を閉めさせていただきます。

2025年4月9日水曜日

法律相談ー確率的な未来予測と行動指針(2)

 

 相談者の訴えと所持されている証拠に基づき、勝敗の見通しをつけ、その説明をする。

 勝敗の見通しは3種類である。①勝ちそう、②負けそう、③勝ち負け五分五分である。数学の解答ではないので、23.7%というような見通しはない。ざっくり7割程度勝ちそう、7割程度負けそうである。

 7割程度勝ちそうであれば、①勝ちそうの判断となる。いわゆる業界用語で勝ち筋というやつである。

 勝ち目が3割に満たないと判断すれば、②負けそうの判断となる。いわゆる負け筋である。

 ときにどちらとも判断できないことがある。勝ち負け五分五分ということになる。

 相談者に対し「負け筋と思います。」と説明すると、反論してくる人が多い。気持ちはよく分かる。自分に正義があると思えばこそ相談に来ているのである。

 しかし正義が勝つとはかぎらない。証拠が乏しいために涙を飲まなければならない事件も多い。

 相談室で、相談者と弁護士とが対面して会話しているので、相談者の言い分を弁護士が個人的に否定したように受け取られることもある。

 しかし弁護士の個人的な意見を述べているのではない。勝ち負けの判断の本番は、相談室ではなく、裁判所で行われる。それも裁判の結果であるから、1年後くらいである。われわれ弁護士による勝敗の見通しは、この1年後に裁判所でおこなわれる裁判官の判断についての未来予測である。

 100%正確ということはない。100%正確な判断ができるのであれば、弁護士をやめて、未来予測業に転職しようと思う。きっと繁盛するはずだ。

 いまできるのは、弁護士としての40年の知識と経験に基づき「裁判所は負けさせる可能性が70%程度ありますよ。」というアバウトな判断にすぎない。

 そのように判断したので「負け筋と思います。」と説明したのである。このような弁護士の見通しに反論されてもあまり意味はない。

 この次にやってくるのは「負けてもいいからやって欲しい。」という依頼である。相談時には頭にきていることが多いので、こういう依頼になりがちである。

 しかし1年経って、裁判官から「こちらの負けですよ。」と言われるときには、冷静になっていることが多い。そして後悔することが多い。

 負け筋の事件を絶対に受任しないかと言われると、そうではない。憲法訴訟や人権訴訟は、ふつうに考えれば負け筋の事件が多い。世の中には、負けるかもしれないが、戦わなければならない争いもある。

 その場合は重々説明し、十分な理解と納得を得たうえで、お引き受けをすることになる。

2025年4月8日火曜日

法律相談ー確率的な未来予測と行動指針(1)

 

 弁護士の仕事のなかで、簡単なようでいて、実はいちばん難しいのが法律相談である。

 法律相談は、医者でいえば、初診と診断である。まず相談者の訴えを傾聴する。相続、離婚、破産、不動産、登記、売買、賃貸借、請負、雇用、不法行為、会社経営など相談内容は多岐にわたる。

 相談者が話し上手とは限らない。30分経っても、論旨不明ということがよくある。間の手の入れ方も難しい。下手に話の腰を折ってしまうと、最初からやり直しになりかねない。

 法律問題は3段論法により解決される。小前提たる前提事実、大前提たる法律や判例、前者の後者へのあてはめである。論理的に結論は一つでありそうだが、そうではない。数学のようにはいかない。

 相談者がすべてを語っているとは限らない。自己に不利な事実については口をつぐんでしまうのが人情である。

 相談者が語っているのが客観的事実とは限らない。われわれは時に自己に都合のよいように事実を曲げてみてしまう。

 相談者が語っているのが客観的事実だとしても、証拠をもって裏付けられるとは限らない。水戸黄門で風車の弥七が天井裏でお代官と越後屋の陰謀を聞くようにはいかない。

 医者であれば問診のあと、血液検査やレントゲン検査をしながら、診断精度を高めていくことができる。しかし、弁護士の場合、相談者が所持している証拠がすべてではないという限界がある。通常、相手方の手もとにも半分の証拠が存在する。両者の証拠をあわせたとき、はじめて事件の全貌が姿をあらわすことになる。

 裁判官の証拠評価もひとつとは限らない。裁判官の評価は政治家ほど幅があるものではないが、裁判官が替われば事実が変わることもないではない。

 法律もそうである。おなじ憲法9条からでも自衛隊合憲説と意見説の解釈が分かれる。民法の学習というのは、解釈の分かれを学ぶものだといっても過言ではない。

 判例はさらに難しい。射程という問題がある。世にまったく同じ事件というものは存在しない。類似した事件があるのみである。そうすると、ある判例が存在していて、本件がそれに類似しているとしても、その判例の射程内にあるとは限らない。

 かくて法律相談は、床屋談議ほどの幅はないにしても、弁護士によって、さまざまなバリエーションが存在することになる。

2022年10月28日金曜日

土地の賃貸、どの契約書?

 

 不動産屋さんからのご相談。建物を建てられない土地を資材置き場として貸そうとしているのだけれども、どの契約書を利用してよいのかわからないという。訊けば、資材を雨ざらしにしないための覆い屋や管理のためのプレハブは設置予定らしい。たしかに難問だ。

分厚い民法を一言で言えば、約束(契約)を守りましょうということ。子どものころ親から言われたとおり。だから土地の賃貸も、期間、賃料、更新の有無など契約書に記載したとおりの内容になるはず。

だけれども、近代市民法は現代的観点から修正を受けている。民法をつくったのはナポレオンである。市民革命後、国王がいなくなり、対等な市民どうしを律する法律として(市)民法がつくられた。対等な者しかいなければ、約束は守りましょうということで足りる。国家が市民の約束に介入する必要はない。

しかし、その後、産業革命が進展し、財産をもてる者ともたざる者との間に圧倒的な力の差が生じた。それを社会的な観点から是正しようとするのが現代の法律である。

土地や建物の賃貸借に関しては、借地借家法が社会的な観点から民法を修正している。簡単にいうと、店子(たなこ。借主のこと。)を保護し、家主や地主の横暴を許さぬということである。

店子を保護するということだから、借地借家法の保護の対象は建物の所有を目的とする土地の賃借権にかぎられている。では、資材を雨ざらしにしないための覆い屋や管理のためのプレハブは、ここでいう「建物」に該当するのか。また、主たる目的は資材置き場として貸すのであり、建物所有を目的とするものではない。この場合、「建物所有を目的とする」と言えるのか。

まず「建物」かどうか。撤去が容易な仮設の建物(例えば、災害の被災者用のプレハブ住宅)の場合でも、土地に定着し、屋根・周壁を有し、永続して使用でき、かつ独立的・排他的支配ができる構造を有するものであれば建物に該当するとある。他方、地面に直接丸太を立て、上方を自動車に雨がかからない程度にトタンで覆ったにすぎない掘立式の車庫は建物に当たらないとした判例がある。

つぎに「建物所有を目的とする」かどうか。自動車教習所については、借地借家法の適用を認めた最高裁判例と、これを否定した判例がある。ゴルフ練習場については、適用を否定した最高裁判例がある。駐車場についても、借地借家法の適用はないとされるものの、スーパーマケットに付属するものは建物に付属するものとして保護の対象となるとされる。

つまり、資材置き場の賃借権が借地借家法により保護されるかどうかはケースバイケースである。最高裁まで争われた裁判例がすくなくないことからも、その判断が微妙であることが分かる。貸主と借主で見解がわかれるだけでなく、裁判官によっても判断がわかれていることを示唆している。本件もどうなるかわからない。せっかく相談に来られたけれども、回答はこのようにぼやけている。

こういう場合、最初から事業用借地権とする方法がある。借地借家法の適用を前提として期間を限定しまう方法である。これをお奨めするしかなかろう。地主さんも借主さんも更新することを考えているようだけれども、背に腹は代えられない。

2022年3月15日火曜日

パワハラ対策


  さいきんの労働相談で顕著なのは○○ハラに関する相談が増えていることだ。セクハラ、パワハラ、モラハラ・・・。

そんななか、4月から中小企業でもパワハラ防止対策が義務化される。パワハラとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいう。

具体的には
(1)身体的な攻撃 暴行や傷害など
(2)精神的な攻撃 人格を否定するような言動、名誉毀損や侮辱、暴言など
(3)人間関係からの切り離し 仲間外しや無視など、職場での孤立を招くもの
(4)過大な要求 業務上不要なことや不可能なことの強制など
(5)過小な要求 程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること。

古典的な不法行為、あるいは違法行為は(1)身体的な攻撃、暴行や傷害などであった。しかし、その後、このような物理的・身体的なものではないけれども、やはり違法だという態様が認識されてきた。

これを見て思いつくのはマズローの法則だ。人間の欲求には生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求(所属と愛の欲求)、承認欲求、自己実現の欲求の5段階がある。

(5)などは一見、たいして働かなくても給料をもらえるのであればよいように思える。国鉄が民営化される際、国労の組合員に草むしりなど意義のない仕事を強制させたという。しかし人間やはり働きがいも大切だ。意義の見いだせない仕事は苦痛以外のなにものでもない。

わが事務所でも、パワハラは絶対禁止だ。まずは相談窓口を明らかにし、就業規則の改正を改正し、5月には研修(啓発)を行うことになった。

研修(啓発)にあたっては、コミュニケーションの希薄化などといったパワハラの発生原因や背景についての理解を深めることが重要であるという。

うちの職場は弁護士9人、うち男性7人、事務局(秘書)11人、全員が女性である。こうした職場で、われわれ男性年長者が難しく思うのは、(6)の私的なことに過度に立ち入るなという要請と、このコミュニケーションの希薄化を避けよという要請のバランスというか境界だ。

どこからが「過度」なのか、よく見えない。ついつい地雷原には足を踏み入れないよう萎縮してしまう。すると、コミュニケーションが希薄化してしまい・・・。だれかうまいこと教えてくだされ。

2021年9月8日水曜日

法律相談はむずかしい


  弁護士の仕事のうちで、弁護士になりたてのころは反対尋問などがむずかしく感じる。しかし、さいきんはほんとうにむずかしいのは法律相談だと思う。

きのう、ある相談があった。おなじ相談者のかた、かつ、おなじ事案で3度目だ。なぜか。まず、紛争内容が不確実で不確定である。

ある土地を複数の人間で共有している事案だ。共有地の処分は全員一致が必要なので、自分だけでは決められない。

なかには亡くなっている人も複数いて、相続関係が整理されていない。さらに、全員が相続放棄をしている当事者もいる。相続財産管理人の選任が必要である。それには手間と費用がかかる。

つぎに土地の価格であるが、ある当事者からある価格が示されている。しかし、インターネットで近隣の価格を調べると、その4倍くらいはしそうである。

またこの土地のうえには解体が必要な建物が建っていて、所有者が別である。そしてこちらも相続が発生している。建物の中には亡くなった方の家財が存在している。どうも水害にも遭ったらしい。建物の解体や家財の処分が必要だが、その費用がはっきりしない。

やむをえず変数は変数として説明するのであるが、変数のままではなかなか理解しづらい。土地の価格も上ものの処分価格も両方とも変数だからなおさらだ。

物件の価格がそれなりであれば、方針選択はそれほどむずかしくない。しかし損得微妙だと、とてもむずかしい。費用を払って弁護士に依頼する事案かどうか、さらに微妙である。

民法は紛争解決のルールを定めている。トランプのルールのようなものである。遺産分割協議などで、主として長男がこのルールに納得されないことがある。しかし、民法は何百人という国会議員が決めたものなので、いち裁判官、いち弁護士が変えられるものではない。

もちろんすべての当事者が納得すれば、そのようなルールにしたがう必要はない。しかし一人でも反対者がいれば、民法のルールどおりに解決することになる。そのアンパイヤが裁判官である。

共有物に関する紛争解決ルールは、共有物分割請求をおこなうか、持分を放棄するかである。持分の放棄は、この紛争から早期に離脱するよい手段である。しかし、損得の勘定がわからなければ決められない。

などなど説明して、すっぱり理解されるかたはすくない。こちらの説明が終わったとたん、いちばん最初の質問をされることがすくなくない。30分の説明が無駄だったということが分かる。

細かな点まで正確で丁寧な説明がよいかどうかはケース・バイ・ケースだ。細かな説明の理解が難しければ、ざっくり説明するしかない。それでざっくり説明してみた。するとやはり、またいちばん最初の質問をされた。う~ん。

法律相談のむすびは対応方針について選択肢を示すことになる。作戦Aと作戦Bだ。作戦Aだと道のりは長いけれども比較的安全。作戦Bだと近道だけれどもデコボコしている。どちらにしますか。

これもなかなか決められない。かくて3度目の法律相談とあいなったのである。しかし、紛争は動かすことだけが対応方針ではない。経過観察する、もっとざっくりいえば放置することにより事態が好転することもある。

本件は放置していたことにより、他の当事者がいろいろと動いてくれ、問題状況が見えやすく改善された。なので、最初の相談のときよりは問題は簡単にわかりやすくなっていた。

しかしやはりきょうも決めきれない。よし、もう少し事態が見えやすく改善されるまで、もうしばらく様子を見ましょう。

2017年11月22日水曜日

武士の情けはいずこ(福岡県弁護士会の法律相談帰り)


         (傾山頂から夕暮れの祖母山)

 福岡県弁護士会は,天神法律相談センターだけでなく,サテライトと呼ばれる地域の相談センターをもっています。どこの法律相談を担当するかは登録制です。私は宗像市に実家があるので,宗像の相談センターにも登録しています。

 その日は夕方4時から7時までの担当でした。帰りは最寄りの東郷駅からJRです。快速に乗り遅れたので普通に乗りました。東福間駅で,若い女性が携帯電話を片手に泣きじゃくりながら乗ってきました。どうやら,電話の相手は交際中の男性のようで,それからえんえんといわゆる修羅場を演じています。

 ま,青春,そういうこともあるでしょう。話がついてから電車に乗ればいいような気もしますが,動転していて判断ができなかったのでしょう。そういうこともあります。

 しばらくすると,彼女を遠巻きにするように,男子高校生が同じ車輌に集結してきました。これはいただけません。いまどきの若者,武士の情け,見て見ぬふりができないのでしょうか?
                         H.U.


2016年2月21日日曜日

契約書がないんです・・・

民法のおはなし
このブログをお読みの皆さん
朝起きてから、今の瞬間までに、あなたはどんな契約をしましたか?

妻に朝食を作ってあげた
子どもを保育園に預けた
自動販売機で、缶コーヒー買った
職場まで、電車とバスに乗った
会社のために、一生懸命働いた
居酒屋で飲んで、カラオケにも行った

これって、全部、契約ですね
契約って、どんな内容でもよいという原則があります
(老婆心ながら、殺人契約とか、不倫の契約なんてのはだめですよ)
”こうして欲しいな”と言う人がいて、”そうしてあげるよ”と言う人がいれば、契約は完全に成立しています
口約束でいいんです
それどこか、自動販売機とは口もきいていないくらいですね

そうやって、私たちの日常は、ものすごい数の契約で成り立っています

懐かしい再会~トラブル発生
10代後半のある青年のお手伝いをしたことがありました
あれから15年
33歳 2人のかわいい子どもたちをもつお父さんになった彼が、事務所に来ました
一人前の大工として日々忙しくしている
なんて話を聞くと、まるでわが子の成長をみるかの思いになります

おっと、弁護士なんて因果な商売なひとのところに、そんな素敵な話だけをしに来られたはずはないですね
トラブル発生です
「いい仕事をしたのに、元請が代金を支払ってくれない!」
「契約書もないんです!」
とあわてた様子

さてさて、民法のお話からすれば、どうでしょうか。
元請から”仕事やってくれ”と言われて、元青年が”はいよ”って言って仕事したんだから、請負契約は完全に成立しています

神様がいてくれたら、これで、元青年の勝利確定

ところが
神様のいない悲しいこの世では、どうなるんでしょうか。

さてどうする?
まずは、弁護士として、元青年の代理人となって、相手方と交渉をすることができます

それでも相手方が応じなければ、裁判をするほかありません
裁判では、裁判官に、契約のあるなしを決めてもらうことになります
残念なことに、裁判官は神様ではなくて、私たちと同じ人間にすぎません
そこで、登場するのが「証拠」です
もちろん、必要事項が全部書かれている契約書があれば、元青年の勝利が確信できます
でも、契約書がなくても、あきらめることはありません
相手方とやり取りをした請求書、見積書、手紙、ファックス、メモ用紙
残っているありとあらゆるものを「証拠」として使うことができます
契約書がないというだけで、あきらめることはないのです

教訓ちくし法律事務所では多数の請負代金請求の事案を扱ってきました
逆の言い方をすれば、大工さんの世界は、口約束をひっくり返されるというトラブルが多い職場であるということですね
裁判で勝負をつけることができるとはいえ、できればスムーズに支払いをしてほしいところ
です
是非、契約書をもらうことを心がけてください

ついでに注意~時効請負代金は、3年という短い期間で時効にかかってしまいます
是非、早期の解決をお勧めいたします


2016年2月12日金曜日

離婚の財産分与 ~ 将来の退職金


離婚のご相談で、盲点となりやすいのが、将来の退職金です。

例えば、夫が57歳で、職場の定年が60歳。主婦の妻と離婚の協議をしている。
というご相談であれば、退職金は盲点になりません。
将来の退職金について妻への分与は認められるでしょう。
あとは、貯蓄などがあって、離婚時に、退職金の分与を清算できるのか?
それとも、退職金が支払われた後に清算ことにするのか?
状況に応じた交渉をしていくことになります。

では、夫が57歳ではなくて、もっと年齢が低かったら??
私が経験した事例では、夫が52歳(中小企業の会社員)だったのですが、家庭裁判所の調停委員は
  「うーん、分与を認めるべきかどうか、、、微妙・・・」
という顔をしていました。
最終的には夫婦の合意がうまく整いましたので、裁判所が結論を出すまでには至りませんでした。
実際の調停の現場での将来の退職金の取り扱いというのは、こんな感じなのです。

また、少し事例を変えてみましょう。
夫が52歳というところは同じでも、妻が不倫をして慰謝料の支払義務が認められそうだったら?
このときに、例えば、妻の側から、
  「将来の退職金は精算しなくてもよいので、
   その代わりに慰謝料の支払を免除(又は減額)してほしい」
と切り出すのは、かなり有効な手段だろうと思います。
調停委員も、話に乗ってくることが多いのではないでしょうか。
将来の退職金を現実に分与させるまでのハードルと、
分与の話を切り口に慰謝料を免除(又は減額)させるまでのハードルは、
違う(後者のハードルが低い)ということなのです。

離婚にまつわる法的な処理の実際というのは、本当にいろいろな糸が絡み合っています。
書籍やネット記事の知識だけで実際の現場にのぞむと、「えっ」と思うことも多いと思います。
そうならないようにするのが、私たちの仕事なのです。

弁護士田中謙二

2016年1月29日金曜日

積もり積もったあとには…


先週末から今週にかけて,筑紫地区には大寒波。
大雪や水道管の凍結など,
多くの被害がでてしまったようです。

それにしても,
「雪」,すごい勢いで積もりましたね。
私がこの地域に来てから3年たちましたが,
これまでになかった量が積もりました。



さて,
今日の私のお話は,
「雪」のようにすごい勢いで
積み重なってしまう「借金」についてです。

(うまい! 座布団2枚!! ……。)



いわゆるサラ金やクレジットカードのキャッシング等,
今の日本では,
お金を簡単に借りられるようになってしまっています。

その分,

「気づかないうちに積もり過ぎて,
もうどうにもできない状況になってしまった」

というご相談が非常に多くなっています。


借金の中でも気を付けたいのは,

住宅ローン   です。


月々,それなりに大きな金額を何十年間と
払い続けなければいけません。

・怪我をして,長期入院してしまった。
・勤務先が倒産してしまった。
・親の介護をするために仕事を変えなければならなくなった。
・子どもの学費が増えてきて,ローン返済が苦しくなった。


事情は人それぞれですが,
どれも他人事ではありません。


自己破産の申立をすると,
自宅を手放さなければならなくなる可能性が
極めて高い。

そこで活用したいのが,

個人再生手続の「住宅貸付債権に関する特則」
いわゆる「住宅ローン特則」です。

ほぼ今まで通りの支払いを継続して
ご自宅を残すことができる仕組みです。


ただし,住宅ローンの支払の滞納分があると,
それを事前に解消するよう求められることが多く,
滞納が3か月分を超えてくると,
一筋縄ではいきません。


ですから,
1か月分でも滞納してしまったときは,
まず一度,ご相談にお越しください。

早めにご相談をいただければ,
その先の対応もスムーズです。

大切なものをきちんと守るためにも,
ぜひ弁護士をご活用ください。


(森)



2015年12月25日金曜日

法律相談の効果(解決方針について)

 


 法律相談は,相談するだけでも意味があります。
 
 まずカウンセリング効果があります。
 頭のなかや胸のなかに渦巻いていた不要なガスが抜けます。

 いわゆるいっぱいいっぱいの状態だと
 頭が働きません。

 つぎに片付け効果があります。
 部屋のなかのものを持ち出さなくとも整理すればすっきりします。

 整理がつかないと
 おなじところをグルグル回転することになります。

 思考力回復効果。充満するガスが抜け,部屋が片付くと
 自分で考える力が回復します。

 問題によっては
 これで法律相談終了ということもあります。


 法律相談の結果,解決方針をたて
 それを説明(アドバイス)します。
 
 解決方針は,当方の思いどおりに
 その場で一挙解決というわけにはいきません。

 一般的に複数の選択肢になります。
 どの選択肢も一長一短ということになります。
 
 右の道を行くと,遠いけれども比較的安全
 左の道を行くと,近いけれども比較的危険というように。

 クライアントのニーズや意欲に応じて
 どちらかの選択肢を選択していただくことになります。

 
 選択肢のなかには,積極的に攻めるもののほか
 静観する,経過を観察するというものもあります。

 時宜をまつとか,守るほうが楽だとか
 証拠上や,社会・心理的ないろいろな理由があります。

 紛争解決は人生の一部ですから
 クライアントの価値観や意欲・姿勢にも大きく左右されます。


 この点でも数学の問いと答えとは異なるわけです。
 答えは一つではなく,おなじ答えでも満足度が異なりえます。

 いずれにせよ前向きに選択することが
 後の満足度を高めることになります。

2015年12月21日月曜日

法律相談のしかた④




 「バラエティー生活笑百科」や「行列のできる相談所」など
 法律相談に関する番組がいくつか放送されています。

 これらの番組をみていると
 法律相談のイメージをつかみやすいでしょう。

 でも,どちらの番組を主にみているかによって
 法律相談のイメージにズレをしょうじるかもですね。

 前者の番組をみている人は
 正解はひとつと思いやすくなると思います。

 後者の番組をみている人は
 人によって正解が違うと思われるのではないでしょうか。

 これは番組の作り方や
 お題(問題)の選択とも関係しています。

 正解が一つになりやすい問題を出して
 一件落着を狙う予定調和な番組

 議論がわかれそうな問題を出して
 甲論乙駁を狙うダイナミックな番組

 どちらかというと,実際の法律相談は
 後者のダイナミックな感じでしょうか。


 法律問題は法律家のあいだで
 ほぼ意見が一致する問題があります。

 他方,法律家のあいだでも
 意見がわかれそうな問題もあります。

 それでも政治家の議論とはちがい
 見解の相違は比較的ちいさいです。

 それでもやはり人間のすることだから
 裁判官の個性により見解の相違が残ります。

 最高裁まで3回も審理する制度は
 そのような個性の存在を前提としているくらいです。

 
 ときどき○○弁護士に相談したら
 違うことを言われたと言われることがあります。

 それは上記のような理由によります
 算数の答えとはちがうところです。
 
 神ならぬ人間のやることですから,正解は
 実際に裁判をやってみるしかわかりません。

 そんなときは「30年間の弁護士経験と知識に基づく判決予測なので
 どちらの言うことを信用するかですね」と回答するようにしています。

2015年12月18日金曜日

法律相談のしかた③(電話相談)


 
 ときどき電話相談を希望される方がおられます。
 当事務所ではこれをお受けしていません。

 なぜか?
 電話でのやりとりではさらに間違いやすいからです。

 メラビアンの法則というのがあります。
 聞いたことがありますか?

 人の行動が他人にどのように影響を及ぼすか
 ということについての実験に基づく法則です。

 話の内容など言語情報の占める割合は
 どのくらいだと思いますか?

 なんと7%
 驚きの結果です。

 口調や話の早さなどの聴覚情報は
 38%

 見た目などの視覚情報が
 55%です。

 
 よくメールやメーリングリストで
 いつもは仲がいい人たちが喧嘩しています。

 なぜかというと,メールは言語情報だけなので
 行き違いや誤解を生じているわけです。

 こちらの意図したことのうち
 7%しか相手に伝わっていません。

 送り手は,笑顔をもって言ったつもりが
 受け手のほうは,批判されたと受け取ることがあります。

 字面だけでいえば
 どちらともとれるからです。

 これを避ける努力が笑っていることを表記したり(笑)
 顔文字をつけることです(^^)/

 
 電話の場合,メールよりはましです。
 言語情報のほか,聴覚情報が加わるからです。

 それでも面談に比べ
 半分以下の情報量になります。

 前回述べたように,法律相談は
 ただでさえ誤解や行き違いを生じがちです。

 それを思うところの45%の情報量でおこなうことは
 至難のわざです。

 資料や写真が必要な事案となれば
 なおさらです。

 また面談であれば,口では「はい。」と回答していても
 不安そうな顔をしていれば,重ねて説明することができます。

 
 そういうわけで,電話相談には原則として応じていません
 悪しからずご了承をお願い申し上げます。
 

2015年12月17日木曜日

法律相談のしかた②


 
 法律相談は算数の問題と答えとはちがって
 アドバイスや見通しについて行き違いが生じがちです。

 法律相談にはいくつも前提条件をおいて回答することになりますが
 前提をとばして「勝つ」という見通しだけが耳に残りがちです。

 裁判では,複数の事実の組合せの結果
 裁判に勝ったり,負けたりします。

 一般に法律相談の際には
 事実の存否を確定できません。

 裁判における主張・立証の結果
 裁判官によって事実の有無が判断されることになります。

 相談者にとっては,ごじぶんの心のなかでは
 それら事実の存在することが明白なのですが

 実際は,争いになりますので
 事実を裏付ける証拠が必要になります。
 
 この点,われわれは,「それらの事実が認められれば」
 勝てるでしょうねと見通しを述べることになります。


 相談される方は,勝ちたいという思いが強く
 前提事実は自明のように考える傾向があります。

 なぜでしょう?
 ぼくはテレビの影響かなと考えています。

 日ごろ,水戸黄門や遠山の金さんを見慣れているせいでしょうか
 たしかにテレビ番組では,毎回かならず正義が実現されます。

 しかし,それは風車の弥七が屋根裏から悪代官の謀議を盗み聞きしたり
 金さんが遊び人として街中を徘徊して現場に居合わせるからでしょう。

 しかし,日本の裁判官が現場に居合わせて
 じぶんで目撃したなどということは100%ありえません。

 その結果,日本の裁判では,立証ができないために
 必ずしも正義が実現されるとは限らないことになります。

 
 法律相談をされるときは,そこに注意して
 弁護士のアドバイスを聞くようにしてみてください。

 もちろん,こちらもできるだけ誤解のないように
 説明するよう努力します。 

2015年6月30日火曜日

おすすめのメニューは?


今日は、法律相談について思うところを書きたいと思います。

弁護士の仕事は、法律相談を受けるところから始まります。
法律相談では、事実を丁寧にお聞きして相談者の方が何を求めているのかを把握し、解決方法として考えられるメニューをいくつか提示します。そのメニューの中からどれを選択するかは、最終的には相談者の方の決定にゆだねることが多いですが、このとき弁護士としておすすめするメニューも伝えます。

例えば、ABCと3つのメニューが考えられる場合、事案の特徴、解決までに予想される期間、費用などを総合的に考慮して、今回はAがいいと思いますよとか、今回はBがいいと思いますよと伝えます。

もちろん弁護士がどう解決するのかを示すのが原則ですが、知識さえ得れば相談者の方がご自分で解決可能な事案であれば、弁護士費用の負担等を考慮して、まずは今ご自分でできることを丁寧に説明することが「おすすめメニュー」である場合もあります。

ただ、「おすすめメニュー」を提示しても、飲食店と同じように、今日は他の料理が食べたいというお客さんもいますし、「おすすめメニュー」の中に苦手な食材が入っているので避けるお客さんもいます。

例えば、この人にはお世話になったから巻き込みたくない、今回のことは職場には知られたくないといったことです。

このような相談者ごとの特徴を把握した上で、「おすすめメニュー」を提示できるのが弁護士としての力量の1つだと考えています。

当事務所は、それぞれの相談者の方に最善の「おすすめメニュー」を示すため、日々研鑽を重ねております。



弁護士 山野和也

2013年9月13日金曜日

お早めに。


契約ですから,
家賃はしっかりと定められた日までに
払わなければいけません。


ここに異論はないでしょう。



もっとも,
決して安い金額ではないですから,
経済的に困窮したとき,
滞納してしまうことも
あるでしょう。


先日,
事情により賃料を滞納してしまった方から
ご依頼を受け,
大家さんとお話をする…
という事件が
いったん終了しました。

無事に
滞納分を追いつかせて支払うことができ,
引き続きアパートに
住むことができるようになりました。



こんなご相談も
弁護士はお受けすることができます。

悩んで後回しにし,
事態が悪化してしまう前に
一度ご相談ください。


病気は早期発見が大切。
法律問題も似ています。



2013年9月11日水曜日


「Aの道とBの道がある。
どちらに進むべきか。
はたまた自分が気付いていないCの道が
あるかもしれない。
どの道を選ぶべきか…」


いつのときも,
選択に悩みはつきものです。


ご相談に来られる方々に
それぞれの道を示して,
その先の見通しをお伝えする…

弁護士とは,
そういったお仕事ではないかと思います。


いわば道先案内人ですね。


ただ,最終的には,
御相談者の方が歩いていく道です。

案内人が強引に道を決めることは
できません。



いろいろな道先案内をしていると,
ときに,
危険な道へ進もうとする方にも出会います。

そういったとき,
「その道は危険かもしれない」と
はっきりお伝えします。

それが案内人の役割でしょうし。






…と,何やら偉そうに話してみましたが,
何をお伝えしたいかと申しますと,


私が昨日,
福岡市警固あたりで
道に迷って街中を彷徨った


という悲しい事実です。

2013年7月22日月曜日

そんな日に限って

昨日は,
「第23回参議院議員通常選挙」
でしたね。

皆さん,投票には行かれましたか。



最近は,
期日前投票もしやすくなりましたね。

試験的にではありますが,
松山大学の学内にまで
期日前投票所が設けられたといいます。

若い方の投票を増やすには
良い試みですね。



かく言う私も
期日前投票をしようと,
整理券を持ち歩いていたんです。

あとは,太宰府市役所に行くだけ。


それなのに,,,

それなのに,,,


太宰府市役所で
法律相談の予定が入っていた日,
そんな日に限って
整理券を持っていき忘れ…。


結局,昨日,
予定をやりくりして行ってきました。



人生とは
なかなか厳しいものだと
選挙に思い知らされました。

2013年4月1日月曜日

天城山で出あったもの(4)






天城隧道を抜け,天城峠を越えて
しばらくいくと,八丁池に着きました。

富士山が遠望でき
池なのに水はとても澄んでいます。

天然記念物として有名な
モリアオガエルが生息しているそうです。


四阿屋ふうの休憩所で
ひといきつました。

河津サクラが
満開でした。

いずれも見事な枝ぶりの樹で
みごとな花を咲かせています。

すこしはやかったけれど
お昼にしました。

いい陽気で,眠くなり
いつのまにか一眠りしました。


あとから若い女性が
ひとりで登ってきました。

すごい美人で
そこだけ花が咲いているようでした。

なんの映画だったか
みたような人です。

休憩所はそこしかないので
彼女もやってきて挨拶をしました。

その日は登山者がすくなかったせいか
彼女のほうから話しかけてきました。

仕事のあいまに東京から
河津サクラをみにきたそうです。


登るほうこうがおなじだったので
しばらくご一緒することにしました。

気さくな人で,仕事のことなど
プライベートなことまで話しました。

法律問題もからんでいたので
ちょっとした無料法律相談にも応じました。

うまがあうというのはこういうことか
と思うほど,話がはずみました。

ちょっと影があるふうの女性でしたが
気が晴れたようでした。

結局,その日のゴールである
伊東温泉までご一緒しました。


それからは互いに遠距離でしたので
メールで近況報告などしあいました。

これまたメールとは思えぬほど
楽しいやりとりでした。


昨日,福岡に来るというので
舞鶴公園をふたりで散策しました。

ひさしぶりでしたが
やはり話ははずみました。

もう何年も
つきあっているような。

でも,彼女はなんだか
影がうすくなっている感じでした。


夕方,トイレから戻ると
彼女の姿がみえません。

それからさんざん探しましたが
やはり見つかりません。

不思議です。
きのせいだったのでしょうか。


 ※きのせい(樹の精,気のせい)