2016年2月21日日曜日

契約書がないんです・・・

民法のおはなし
このブログをお読みの皆さん
朝起きてから、今の瞬間までに、あなたはどんな契約をしましたか?

妻に朝食を作ってあげた
子どもを保育園に預けた
自動販売機で、缶コーヒー買った
職場まで、電車とバスに乗った
会社のために、一生懸命働いた
居酒屋で飲んで、カラオケにも行った

これって、全部、契約ですね
契約って、どんな内容でもよいという原則があります
(老婆心ながら、殺人契約とか、不倫の契約なんてのはだめですよ)
”こうして欲しいな”と言う人がいて、”そうしてあげるよ”と言う人がいれば、契約は完全に成立しています
口約束でいいんです
それどこか、自動販売機とは口もきいていないくらいですね

そうやって、私たちの日常は、ものすごい数の契約で成り立っています

懐かしい再会~トラブル発生
10代後半のある青年のお手伝いをしたことがありました
あれから15年
33歳 2人のかわいい子どもたちをもつお父さんになった彼が、事務所に来ました
一人前の大工として日々忙しくしている
なんて話を聞くと、まるでわが子の成長をみるかの思いになります

おっと、弁護士なんて因果な商売なひとのところに、そんな素敵な話だけをしに来られたはずはないですね
トラブル発生です
「いい仕事をしたのに、元請が代金を支払ってくれない!」
「契約書もないんです!」
とあわてた様子

さてさて、民法のお話からすれば、どうでしょうか。
元請から”仕事やってくれ”と言われて、元青年が”はいよ”って言って仕事したんだから、請負契約は完全に成立しています

神様がいてくれたら、これで、元青年の勝利確定

ところが
神様のいない悲しいこの世では、どうなるんでしょうか。

さてどうする?
まずは、弁護士として、元青年の代理人となって、相手方と交渉をすることができます

それでも相手方が応じなければ、裁判をするほかありません
裁判では、裁判官に、契約のあるなしを決めてもらうことになります
残念なことに、裁判官は神様ではなくて、私たちと同じ人間にすぎません
そこで、登場するのが「証拠」です
もちろん、必要事項が全部書かれている契約書があれば、元青年の勝利が確信できます
でも、契約書がなくても、あきらめることはありません
相手方とやり取りをした請求書、見積書、手紙、ファックス、メモ用紙
残っているありとあらゆるものを「証拠」として使うことができます
契約書がないというだけで、あきらめることはないのです

教訓ちくし法律事務所では多数の請負代金請求の事案を扱ってきました
逆の言い方をすれば、大工さんの世界は、口約束をひっくり返されるというトラブルが多い職場であるということですね
裁判で勝負をつけることができるとはいえ、できればスムーズに支払いをしてほしいところ
です
是非、契約書をもらうことを心がけてください

ついでに注意~時効請負代金は、3年という短い期間で時効にかかってしまいます
是非、早期の解決をお勧めいたします


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