2011年6月6日月曜日
「カラマーゾフの兄弟」読了!
(ドクダミ@うちの近所)
「カラマーゾフの兄弟」(ドフトエフスキー著、原卓也訳、新潮文庫) 上、中、下巻、ようやく読み終わりました!
大学時代に一度読みました。大審問官が凄い!
文学部の友達とそう議論をしたのを覚えています。
それから30年、社会人になってから話題にのぼるたびに
再読しようと2~3回挑戦しましたが、途中で断念。
社会人としてのテンポや感覚からすると
カラマーゾフ的な世界にはつきあいきれん…という感じでした。
それがこんかい読了できたのには
わけがあると思います。
このブログでご紹介したとおり、「終わらざる夏」(浅田次郎著、集英社) をちょっと前に読みました。
「終わらざる夏」とは、太平洋戦争が1945(昭和20)年8月15日
に終わらなかったという意味です。
主人公のひとりである片岡直哉は東京にある翻訳書を出版社に勤務する
兵隊としてはギリギリの年齢のサラリーマン。
彼は英語ができることから、終戦交渉の通訳要員として秘密裏に
米軍が侵攻してくることが予想された北海道へ派遣されます。
その彼が読んでいたのがヘンリー・ミラーの小説「セクサス」
アメリカでも風俗壊乱罪に問われたほど赤裸々な性描写があります。
片岡は同書を翻訳して日本に紹介したいという夢をもっているものの
当時の日本の情勢では当然許されるはずもありません。
つまり、「セクサス」は片岡にとって見果てぬ自由と平和のシンボル
「終わらざる夏」はその貴重さ、尊さを見事に描いていました。
自由の女神に奉仕する弁護士としてはこれを読まざることはできない
と考え、井上健訳の水声社版を購入してきて挑戦しました。
しかしこれがとてつもなく読みづらい作品で
自由の代価を思い知りました。それでも辛抱して読み通しました。
そのせいか、いままで歯が立たなくて途中で放り出していた数冊を
その後読み通すことができました。
そして満をじして取り組んだのがカラマーゾフというわけ
「終わらざる」のおかげで、読み終えることができました。
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