2013年2月28日木曜日

植物図鑑





有川浩著『植物図鑑』
(幻冬舎文庫)。

フェイスブックで高校時代の友人が
話題にしていたので,読んでみました。


ある日,イケメン男子が家のまえに
落ちていた。

という,なんとも安直な
設定。

こういう設定を
「落ち物」というのだそう。

ある日空から僕の目の前に
女の子が落ちてきて…,というやつ。

そう。
『天空の城ラピュタ』が典型なのだとか(あとがき)。

なるほど。
勉強になります。


イケメン男子は,紳士で,しまりや
料理が得意で,なにより植物にも詳しい。

あまりにもご都合がよすぎるようだけれども
そもそもが「落ち物」ですから。

料理のことはわからないが
植物に詳しい連れあいはうらやましい。

高山植物だけでなく,身近な野草
それに樹木なども,よくわからない。

上手に解説してくれる
友だちがいればいいなぁといつも思っています。

いちど美学をやっている友人と美術展をみたのですが
とてもスリリングで勉強になりました。

山でも
先達はあらまほしいものです。


でてくる植物は
雑草(という植物はないのだけれど。)ばかり。

本ブログのコンセプトに
ぴったり。

ヘクソカズラ,オオイヌノフグリ
ナズナ,ネジバナ…。

かつて紹介した花々も
たくさんでてきます。

ツクシ,フキ,シロツメクサ,タンポポ
レンゲ,ナズナなどポピュラーなものもあれば

スベリヒユ,ハゼラン,ニワゼキショウ
などちょっと知らないものもあります。

クレソンやアップルミントなど
店にしかないと思っていたものまで。


メインストーリーはお約束どおり進行するも
でてくる雑草はほう!な話が満載でした。

文庫に今回なっているので
お買い得です。

2013年2月27日水曜日

沈黙の町で





『沈黙の町で』(朝日新聞出版)
奥田英朗さんの新作。

『噂の女』が出てから
さほど経っていない。

よくこんなに書けるものだ。
筆力がすごい。

いつもながら,個々人ではなく
地域社会そのものが書かれている。


朝日新聞に連載していたものを
単行本にしたもの。

新聞小説だけあって
冒頭からぐいぐいひきこまれる。


高校生男子の死体が
校内で発見された。

容疑者として
4人の遊び仲間が浮上する。

警察,検察の捜査がすすむなか
真相は?

物語はなかほどから
意外な展開をみせはじめる。


高校生の殺人(傷害致死を含む。)事件の付添人を
3度ほどつとめたことがある。

ひとたび死体が発見されると
住民全体が不安と怒りにとらわれてしまう。

地域社会には
非常な重圧がかかる。

この重圧が地域社会をいつもと違う雰囲気でつつみ
人々の判断を狂わせがちだ。

むかし西部劇で共同体の敵にリンチをおこない
裁判を経ないで死刑にしたりする場面があった。

たとえは適切でないかもしれないが
あんな感じだ。

だからいつまでも犯人がつかまらないと
怒りの矛先が捜査機関に向くことになる。

捜査機関としてはとにかく犯人を検挙して
有罪にもちこむ必要がでてくる。

これがまたえん罪を
うむ温床になってしまう。

もうそれは個々の人の冷静な判断を
蹂躙するほど強烈なものだ。


奥田さんの著作は
いつもほんとうにリアリティを感じる。

本作も人々の動きが
いずれも説得的だ。

しかし社会を突き動かす異常なエネルギーについては
かなり押さえた筆致になっている。

ノンフィクションなえん罪小説ではなく
文芸的な作品にするために必要な修正だったのだろう。

2013年2月26日火曜日

ヤマガラ@ウメ





梅林でメジロをまっていたら
シジュウカラがやってきた。

シジュウカラの写真をとろうとすると
飛び回って,ほんろうされた。

しばらく遊んでもらっていたら
さらに目をひくとりがやってきた。

ヤマガラ(山雀)。
スズメ,シジュウカラの仲間。

頭は黒。
額から頬にかけて白。

胸は黒,腹は茶色。
羽根はややうすい黒。

山に住むから山雀だろうが
人里の梅林まで出張か。

ウメの蜜を吸っているのか
花をたべているのか。

学習能力がたかく
芸をおぼえるらしい。

おみくじを引く芸などを
するらしい。

いまは鳥獣保護法で
捕獲が禁止されている。

2013年2月25日月曜日

ヒュアキントス





BLじゃないんだけど
BLな話,その3。

じつは
ヒアシンスもそうなんですね。

ユリの仲間。
小学校で球根から育てました。


学名のHyacinthus orientalisは
東方の(オリエンタルな)ヒュアキントス。

ヒュアキントスも
ギリシャ神話に登場する美青年。


 かれはBLで,アポロンと
 ゼヒュロスの2人に愛されていた。
 

 アポロンは医学の神で
 ゼヒュロスは西風の神。

 (ゼヒュロスはボッティチェリの「春(プリマベーラ)」で
 右端にいて口をふくらませています。)

 ある日,ヒュアキントスがアポロンが
 仲よく円盤投げをして遊んでいた。

 これに嫉妬したゼヒュロスは風をおこし
 円盤投げの軌道を変えてしまう。

 円盤はヒュアキントスの額を直撃
 かれはたくさんの血をながして死んでしまった。

 その血の跡に
 ヒアシンスが咲いたそうな。


こうしてみると
古代ギリシャというのはそうとうBLな世界です。

「ねえねえ,なぜこの花は
ヒアシンスと呼ばれるの?」

それはね,むかしむかし
ヒュアキントスという美青年がいて…。

話の展開は愛に嫉妬,そして死,そして花。
みなおなじパターンですね。

そんなこといったって
火曜サスペンスだっておなじじゃん(古代ギリシャ人)。

たしかに。
人間,あまり変わっていないようで。


和名は風信子、飛信子。
香が風で運ばれるさまか,ヒアシンスの直訳か。

空海が最澄に送った手紙は
風信帖。

ひょっとして?
まさかね。


花言葉はたくさんあって
スポーツ,遊び。これは円盤投げ由来でしょう。

白い花の花言葉は
心静かな愛,控えめな愛らしさ。

2013年2月22日金曜日

スイセン






ギリシャ神話のなかの
美少年つながりで,スイセン。

(美少年ネタばかり書いているけれど
BLではないので,あしからず)

こちらのほうが
超有名ですね。

いまの時期
どこにでも咲いています。

なんと,ヒガンバナの仲間
たくさんの種類があります。


学名はNarcissus  tazetta
小さいコーヒーカップのかたちのナルシス。

たしかに,かたちは
小さいコーヒーカップ。

ナルシスはギリシャ神話で
超有名な美少年。

ギリシャ神話ではこんな
水辺の悲劇がつたえられています。


 エコーはナルシスに恋したが
 ふられた。

 エコーは悲しみのあまり声を失い
 反響(エコー)だけが残った。

 ナルシスは,神の怒りをかい
 他人を愛せず,自分だけを愛するように。

 ある日かれが水面をみると
 そこにはとても美しい美少年が。

 ナルシスはかれを恋してしまい
 水辺をはなれなくなり,死しんでしまった。

 かれが死んだあとには
 スイセンの花が咲いた。

この話から,他人を愛せず,自分だけを愛する人を
ナルシストと呼ぶわけです。

あなたのまわりに
ナルシストいませんか?


おもうに,基本的なところで
自分を愛することは大切なことです。

でもそれだけで許されるのは
小学生のころまででしょう。

小学生も高学年になれば
他者の視線や存在を意識することが求められます。

まずは他者の視線を意識して
自己の言動をコントロールしていかなければなりません。

さらに成熟するにつれ
他者の存在を尊重できなければなりません。

そうでないと,人間として,社会のなかで
人間関係において,うまくいかなくなるでしょう。

花であれば
ナルシストのままであってもよいのですが…。

人となると
まわりの迷惑もそうとうです。


「水仙」の名の由来も
花の姿と芳香が,水辺の仙人のようだから。

水辺の美しさは
洋の東西を問わなかったようですね。


別名 「雪中花」
雪の中でも,春の訪れを告げるので。


花言葉は,やはり
うぬぼれ,自己愛,エゴイズム。

う~ん。
プレゼントにもらうのは,びみょう(残念)。

 そのにほひ 桃より白し 水仙花
 
                    松尾芭蕉

  水仙や 寒き都の ここかしこ
                    与謝蕪村

2013年2月21日木曜日

永久の幸福





『夢のような幸福』のつぎは
永久の幸福。


今朝の西日本新聞でも紹介されていますが
フクジュソウ(福寿草)が咲いています。

キンポウゲの仲間
多年草。

別名,元日草で
1月1日の誕生花。

これは旧暦によるもの
新暦だといまごろ。

正月に出ているのは
ハウスものです。


学名はAdonis amurensis
アムール川のアドニス。

アドニスはギリシャ神話に登場する美少年。
愛と美の女神アフロディテに愛されます。

他方,冥府の女王ペルセポネーにも
愛されます。

罪作りな
美少年。

2人の女神は互いに譲らず
アドニスの取りあいになりました。

これにたいする天界の裁判所の判断は
3者の顔をそれぞれたてた名判決。

すなわち,1年のうち3分の1はアフロディテと
3分の1はペルセポネーとすごしなさい,

残り3分の1は自由にしていいよ
という判断。

(ん,この話どこかで聞いたことがある…
そう,『ノルウェイの森』で書きました。)

みごとな
大岡裁きですね。

このような名判決がでて
めでたし,めでたし…

と,いかないところが
ギリシャ神話。

アドニスが残りの3分の1をどうしたかというと
やっぱりアフロディテとすごしちゃったんですね。

そうなると嫉妬に狂ったのが
ペルセポネー。

どうしてくれよう?そうだ!
アフロディテの彼氏に告げ口しちゃお。

(なに?アフロディテは二股かい?
ま,そこはギリシャ神話。軽くスルーして)

アフロディテの恋人はアレス。
おっかない軍神です。

(ボクだったら,こんなおっかない彼氏がいる女性に
ちょっかいを出したりしません。)

アレスは怒って,イノシシに化け
牙で突いてアドニスを殺してしまいました。

めでたし
めでたし…。


ん?ちっともめでたくはないけれど
なぜか和名は福寿草。

花言葉は永久の幸福
思い出、幸福を招く、祝福なんですねぇ。

2013年2月20日水曜日

夢のような幸福





三浦しをんさんの
『夢のような幸福』(新潮社)。

読了してしまいました。
寂しい。

残るエッセイも
あとわずか。

最新刊からさかのぼって読んでいっているので
順に読んだ人にとっては逆走。

わかりにくくて
すみません。


あいかわらずすごい生活で
読んでいて,手に汗にぎったり,電車のなかで吹きだしたり。

映画や漫画への没頭,熱愛ぶりも並大抵ではないので
すべての作品がとても魅力的に思えます。


『ロード・オブ・ザ・リング』はもちろん観ていましたが
こんかい,三浦さんにあおられてDVDを観てしまいました。

むろんヴィゴ・モーテンセンの
アラゴルンを中心に。

たしかに“ヴィゴさま”からながめる
『ロード・オブ・ザ・リング』はまたちがう世界。

「男ばかりの旅の仲間」
がいやに気になりました。


そんなある日(ことしのバレンタインデーのころ)
うちの秘書さんが意味深な顔をしてちかよってきました。

すわチョコレートかとおもいきや
差しだされたのは,なんとBLマンガ。

ガク。
ムク。

(ガクはチョコレートではなかったので
ムクはBL世界への手がかりをつかんだので)

ボクがブログであまりにBLの世界に興味を示したので
差しいれてくれたわけです。

ありがとう~。


さっそく
読んでみました。

なんやこれ?
つまら~ん。

ボクはまったく
その世界の趣味がないことが検証されました。

安心したような
残念なような。

おもえば
幸福な夢をみていただけなのでした。

三浦さんがあまりにその世界を
魅力的に紹介するものだから。

おしまい。

2013年2月19日火曜日

春よこい





ジンチョウゲの花が
ひらきはじめました。

ジンチョウゲといえば,松任谷由実さんの
「春よ,来い」が頭のなかを流れます。

あの名曲をきいてからは
春よ来いとの渇望はこの花とともにあります。

著作権の関係で
あの名詩を紹介できないのは残念。


沈丁花という名前は
沈香のような芳香+丁子のような花から。

学名Daphne odoraの
odoraは芳香があること。

Daphne(ダフネ)は
ギリシア神話の女神。


ある日アポロンは
エロス(キューピッド)をからかう。

怒ったエロスは恋してしまう金の矢をアポロンに
恋をはねつける鉛の矢をダフネに射た。

アポロンはダフネに求愛しつづけるも
ダフネはこれをはねつけつづける。

(われわれの恋愛がうまくいかないのは
エロスのせいなんですねぇ。こら!)

追うアポロンに逃げるダフネ。
ついにアポロンは河までダフネを追いつめた。

ダフネから助けを求められた河の神(父)は
ダフネを月桂樹に変えた。

(この劇的場面
ベルニー二の彫刻などで有名。)

アポロンが
ひどく悲しんだことはいうまでもない。

かれは愛のあかしとして枝から月桂冠をつくり
永遠に身に着けているのだとか。


たしかに,ジンチョウゲの葉は
ゲッケイジュの葉に似ています。

花言葉は,栄光,不死,不滅,永遠のほか
歓楽。

2013年2月18日月曜日

雨水





きょうは二十四節気の第2
雨水(うすい)。

きょうの天気も文字どおり
春の気配をつよく感じる雨。

寒さも峠を越え
雪から雨に変わる季節の節目。

春一番がふき
ウグイスが鳴きはじめる時期。

農耕の準備をはじめる
時節でもある。


まず咲く花
マンサクの花も咲きはじめた。

東北地方では
この花の咲きぐあいで,その年の作況を占うとか。

2013年2月14日木曜日

最近の振り込め詐欺






30年弱ほど前
司法修習を受けた。

司法試験合格後
弁護士になるまでの2年間だ。

最初の4か月と最後の4か月は
東京・湯島にあった司法研修所での研修。

その間の16か月間は
現場で研修する実務修習。

民事裁判,刑事裁判,検察修習,弁護修習が
各4か月ずつ。

司法試験の合格者が500人の時代で
わりとゆったりした研修期間だった。


検察修習時代には
犯罪の手口の講習も受けた。

たとえば
スリ。

ふつうに財布をとったのでは
簡単にバレてしまう。

そこでどうするかだけれども
目くらましを使う。

ドンと肩をぶつけるだけでも
人間の注意をそちらにひきつけることができる。

フランスの地下鉄で財布をすられたが
あまりにあざやかでしばらく気づかなかった。


人間心理は
意外ともろい。

すこし揺さぶられるだけで
ふだんと違う対応をしてしまう。

脅したり,すかしたり
あなただけに儲け話をもちかけたり。

すると,ふだんは冷静なのに
急に視野がせばまり,まわりが見えなくなってしまう。


振り込め詐欺も
たくみに,人間心理の弱いところをついてくる。

子どもが事故にあった!
エッチなインターネットサイトをみた!

きょうかぎり,あなたかぎりの,儲け話!
などなど。


最近の振り込め詐欺は
手が込んでいる。

劇場型というものだ。
ま,ひと芝居うつ,というぐらいだから。

登場人物は複数だ。
わるい人間役とよい人間役が交互に電話をかけてくる。

わるい役のやつが脅したりすかしたりしたあと
よい役のやつが親身になって話を聴いたりする。

道具立てもとても複雑だ。
預金だとか株だとか,わかりやすい商品はつかわない。

外貨だとか新株引受権だとか
しろうとにはむずかしげな商品がつかわれる。

会社も複数で
A,B,C,D…。

Aは倒産して,BとCが合併して
Dがその業務を引き継いで…。


こう複雑になると
法律相談もやっかいだ。

全部詐欺ですよ!
と説明するも,信じてもらえない。

わるい役はそうだろうけれども
よい役の人がそんな人のはずはない,とか。

B,C,Dはそうかもしれないが
A社はたしかに存在していました,とか。

詐欺師より信じてもらえないとは
不徳の致すところだ。

2013年2月13日水曜日

メジロ@ウメ





熊本城の梅林で。

チチチと鳴いているので
よくみると,メジロが3羽。

ウメの花の蜜を
しきりに吸っている。

花蜜を吸うのに一生懸命で
人間の写真撮影にはいささか無警戒。


見てのとおり
ウグイス色。

ウグイスはこれより
茶黒っぽい。

ウメにウグイスというが
実際にはウメにメジロ。

ウグイスは警戒心がつよく
逃げていく姿しか見たことがない。


むかしは近所に
飼っている人がいた。

鳥かごのなかに,5羽くらいいて
文字どおり,メジロ押し。

いまは鳥獣保護法により
捕獲,飼育とも禁止。

飼わずとも,いや,こうして見るだけのほうが
春を堪能することができる。

2013年2月12日火曜日

ユリカモメ





雪がふりだしたので
足をはやめたところ

裁判所のお堀に
ユリカモメ。

冬は頭が白く
目の後ろに黒い斑点が。


『伊勢物語』の東下りの段
隅田川にいた都鳥はユリカモメのことらしい。

 なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に
 いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ…。

 さるをりしも、白き鳥の嘴と脚と赤き,しぎの大きさなる
 水の上に遊びつつ魚を食う。

 京には見えぬ鳥なれば
 みな人見知らず。

 渡しもりに問ひければ
 「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて

   名にし負はば いざこと問はむ 都鳥
               わが思ふ人は ありやなしやと

 とよめりければ
 舟こぞりて泣きにけり。

この条件,つまり
①隅田川にいる

②京には見えぬ
③体が白

④嘴と脚が赤
⑤シギの大きさ

⑥水の上に遊ぶ
⑦魚を食う

にあてはまるのが
ユリカモメだから。

もっとも,福岡にもいるぐらいだから
京にもいるのでは?と思っていたら

さいきんは
鴨川でもふつうに見られるらしい。


京には見えないのに
なぜ,都鳥と呼んでいたんでしょうか。

京に見えれば
名歌もうまれず。

言問橋など
在原業平ゆかりの名所も生まれず。

新橋~豊洲を結ぶ
ゆりかもめの名称も変わったもになったいたんでしょうねぇ。

2013年2月8日金曜日

男と女の説明義務





(宝満山よりのぞむ英彦山)


むかしは人生の岐路でまよったら
ラジオや新聞に投書していました。

私は32歳主婦ですが,夫が酒乱で…
どうしたらいいでしょうか?とか。

さいきんは,やはり
ネットが主流でしょうか。

○○質問箱
とかいうやつ。

かれとは結婚紹介所で知りあい
とてもまじめな方です。

でも,最初のデートで連れて行かれたのが
ラーメン屋で,つぎが○クドナルド…。みたいな。

おおくの人が回答者になっているので
専門家による上から回答より現実的。


ちょっと前に本ブログで
「○○弁護士 彼女」の話をしました。

これはやはりはやりのようで
最近,こんな質問がいっぱい。

かれの名前を検索
すると…

元カノのブログにいきあたり
昔の写真がいっぱい。

かれに前科が判明!
どうしたらいいでしょうか?


弁護士をしていると,恋人どうしのほか
夫婦にも重大な隠し事があることにビックリします。

ま,もともと,男女間のことですから
多少のかけひき,隠し事はあるでしょう。

結婚前は目をあけよ,結婚後は目をつぶれ
などというぐらいですから。

(でも,こういう教訓がいわれるということは
ほとんどの人ができていないとういことだけれども)


性格の悪さは,自分からは
いわなくていいでしょう。

これは相手が自己責任で
見破る必要があるでしょうね。

障害や病気となると
どうなんでしょう?

夫婦関係は信頼関係のうえになりたつと思うので
やはり説明しておいたほうが無難な気がします。

重大な病気を隠していた夫を知っていますが
えっ?と思った記憶があります。

切れているんだったら
以前の恋愛関係も説明する必要ないでしょう。

前科は?
ボクだったら説明するような。


いまの時代,ネット検索でわかる話は
しておかねば,という配慮も必要なんでしょうね。

尋問対策でも,反対尋問で叩かれるところは
先に訊いて手当をしておきますから。

2013年2月7日木曜日

かすみか雲か






日曜(3日)に
宝満山に登った。

山頂から,筑後平野のむこうに
雲仙岳が展望できた。

しかし
ちょっと変わっている。

山頂付近がくっきりみえて
裾野はかすんでいる。

まるで
山頂部だけ浮かんでいるみたい。

雲仙・普賢岳の標高は
1359m。

だから,だいたい1000mより
上の空気はすんでいる。

でもそれより下の空気には
なにかがありそうだ。


翌4日から,ひどい鼻水,咳,発熱
などの諸症状におそわれた。

しまった。
花粉症かな。

そう思っていたら,ニュースでは
中国の大気汚染物質が大量に飛来しているという。

すると
それが原因か。

雲仙の裾野をかすませていた
空気の原因もこれか。

などと,あれこれ考えていたら
きょうはだいぶんおちついてきた。

やはり風邪かなとも思う。
むずかしい時代だ。

2013年2月6日水曜日

『何者』





もういっぽうの直木賞は
朝井リョウさんの『何者』(新潮社)。

就活にとりくむ
6人の話。

「就活」という状況設定が
絶妙。

高校,大学までは
自分は自分でよかった。

でも就活となると,他者との比較のなかで
自分が「何者」かが問われる。

家族,知人,友人ではなく
就職先の評価を否応でも受けることになる。

それまでまったく他人であった人たちに
自分が何者であるかを説明しなければならない。


友人たちと情報を交換して協力しながらも
ときには抜け駆け的な行為も必要となる。

過去や現在の友人関係や恋人関係も
言動とその解釈に微妙に反映してくる。

そうなると,ひとつの言葉が
多様な意味をもつことになる。

50%は字義どおりの意味だけれども
あと30%,20%に違うニュアンスが含まれる。

侮蔑であったり,嘲笑であったり
あるいは,それらの疑いであったり。

こうなるとコミュニケーション達者でないと
ほんとうの会話ができない。

たとい4人で話をしているとしても
達者な人だけで会話が通じることになる。

にぶちんだと
会話においていかれる。


『等伯』が無骨な小説であったとすれば
非常に繊細な作品。

2013年2月5日火曜日

『等伯』





直木賞の存在,選考について
いろんなご意見をききます。

でも,ことしの2作は
なかなか面白かったと思います。

けっきょくのところ直木賞の価値も
受賞作がその時点の自分にあっているかどうかでしょうか。

まずは『等伯(上・下)』
(安倍龍太郎著,日本経済新聞出版社刊)。

辻惟雄さんの『日本美術の歴史』(東大出版会)
によると,等伯はこういう人。

 
 長谷川等伯(1539-1610)は
 永徳の向こうを張る桃山画壇の一方の雄であった。

 
 かれは能登出身で,信春と称する地元の絵師として
 仏画などを制作していた。

 30歳頃上洛し,牧𧮾,周文らの水墨画法にまなび
 
 永徳の新画法を吸収して独自の画法をつくりあげた。

 智積院襖絵は等伯が子の久蔵ら一門を率いて
 取り組んだものであり,かれの装飾画法を代表する。

 かれは一方で室町水墨画の伝統を
 時代の高揚した精神に重ね合わせた。

 
 「松林図屏風」のような,日本水墨画の最高傑作
 とまでいわれる作品を残した。

等伯がこれら偉業を達するまでの
求道の姿がじつに説得的。


戦国・桃山時代といえば
武将の側から書かれることがおおい。

しかし,絵師の側から時代をながめると
まったく違った様相を呈します。

信長も秀吉も
悪鬼のごとき存在です。

構図は山本兼一氏の『利休にたずねよ』
(PHP文芸文庫)とおなじ。


先鋭な美意識を武器に
圧倒的な武力をもつ権力者に対峙する。

その姿が
かっこいいです。

2013年2月4日月曜日

人はいさ





宝満山の帰りに
天満宮に。

飛梅が
見ごろ。

よい香が
しています。

年年歳歳,花相似たり
歳歳年年,人同じからず。

先日
そう書きました。

そういえば
和歌にも似たものが。

  人はいさ 心もしらず ふるさとは
           花ぞ昔の 香ににほいける

『古今集』編纂の中心人物
紀貫之のさく。

花は毎年おなじだけれども
人の心はどうなんでしょうねぇ。

2013年2月1日金曜日

スカイの車窓から(4)





週末ですが
月のはじめ。

2月
きさらぎ。

由来は諸説あるけれども
寒いので重ね着をする衣更着がそれっぽい。

富士の高嶺も
雪化粧。

  田子の浦に うち出でてみれば 白妙の
             富士の高嶺に 雪は降りつつ
                         山部赤人

写真むかって左手前が
田子の浦。




伊豆半島(東岸)と
そのむこうに富士山。

手前,半島の内側が
下田。

吉田松陰が渡米を企て
失敗したところ。

翼の下あたりが
天城山(1406m)。

日本百名山
の一つ。

といっても
天城山という山はない。

万三郎岳を最高峰に
連なる山並みの総称。

下田街道を北に行くと
天城越え。

『伊豆の踊子』(川端康成)
の舞台。

  …あなたと越えたい
  天城越え~♪




伊豆大島と
相模灘,伊豆半島ごしに富士山。

伊豆大島と伊豆大島
の距離は約25Km。

中央火口は
三原山(764m)。

活火山で
1986年にも噴火。

全島民が避難したことは
記憶にあたらしい。




房総半島の南端と
富士山(翼の上)。

房総の南は
南総。

『南総里見八犬伝』(滝沢馬琴)
の舞台。

スカイの車窓も
そろそろ終盤。

CA:…お使いの電子機器の電源を
お切りください。

ということで,電子機器のひとつ
デジカメによる撮影もここまで。



おまけ。
モノレールからみた富士山。

以上
富嶽5景。