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2013年2月20日水曜日

夢のような幸福





三浦しをんさんの
『夢のような幸福』(新潮社)。

読了してしまいました。
寂しい。

残るエッセイも
あとわずか。

最新刊からさかのぼって読んでいっているので
順に読んだ人にとっては逆走。

わかりにくくて
すみません。


あいかわらずすごい生活で
読んでいて,手に汗にぎったり,電車のなかで吹きだしたり。

映画や漫画への没頭,熱愛ぶりも並大抵ではないので
すべての作品がとても魅力的に思えます。


『ロード・オブ・ザ・リング』はもちろん観ていましたが
こんかい,三浦さんにあおられてDVDを観てしまいました。

むろんヴィゴ・モーテンセンの
アラゴルンを中心に。

たしかに“ヴィゴさま”からながめる
『ロード・オブ・ザ・リング』はまたちがう世界。

「男ばかりの旅の仲間」
がいやに気になりました。


そんなある日(ことしのバレンタインデーのころ)
うちの秘書さんが意味深な顔をしてちかよってきました。

すわチョコレートかとおもいきや
差しだされたのは,なんとBLマンガ。

ガク。
ムク。

(ガクはチョコレートではなかったので
ムクはBL世界への手がかりをつかんだので)

ボクがブログであまりにBLの世界に興味を示したので
差しいれてくれたわけです。

ありがとう~。


さっそく
読んでみました。

なんやこれ?
つまら~ん。

ボクはまったく
その世界の趣味がないことが検証されました。

安心したような
残念なような。

おもえば
幸福な夢をみていただけなのでした。

三浦さんがあまりにその世界を
魅力的に紹介するものだから。

おしまい。

2013年2月6日水曜日

『何者』





もういっぽうの直木賞は
朝井リョウさんの『何者』(新潮社)。

就活にとりくむ
6人の話。

「就活」という状況設定が
絶妙。

高校,大学までは
自分は自分でよかった。

でも就活となると,他者との比較のなかで
自分が「何者」かが問われる。

家族,知人,友人ではなく
就職先の評価を否応でも受けることになる。

それまでまったく他人であった人たちに
自分が何者であるかを説明しなければならない。


友人たちと情報を交換して協力しながらも
ときには抜け駆け的な行為も必要となる。

過去や現在の友人関係や恋人関係も
言動とその解釈に微妙に反映してくる。

そうなると,ひとつの言葉が
多様な意味をもつことになる。

50%は字義どおりの意味だけれども
あと30%,20%に違うニュアンスが含まれる。

侮蔑であったり,嘲笑であったり
あるいは,それらの疑いであったり。

こうなるとコミュニケーション達者でないと
ほんとうの会話ができない。

たとい4人で話をしているとしても
達者な人だけで会話が通じることになる。

にぶちんだと
会話においていかれる。


『等伯』が無骨な小説であったとすれば
非常に繊細な作品。

2011年12月9日金曜日

『平成猿蟹合戦図』



 吉田修一さんを知ったのは
 どちらの作品だったか?

 仲間由紀恵さん主演でテレビドラマになった
 『東京湾景』(新潮社2003)だったか?

 そのころ薬害肝炎訴訟を提起。
 東京での会議の際、モノレールのなかで読んだ記憶が。

 それとも芥川賞を受賞した『パークライフ』(文藝春秋2002)
 だったか?
 
 これも東京・弁護士会館での会議がはじまる前の時間
 日比谷公園で読んだ記憶が。

 それから、『最後の息子』(文藝春秋1999)
 『熱帯魚』(文藝春秋2001)

 『パレード』(幻冬舎2002)
 『日曜日たち』(講談社2003)

 『ランドマーク』(講談社2004)
 『7月24日通り』(新潮社2004)

 『初恋温泉』(集英社2006)
 『悪人』(朝日新聞社2007)
 
 『静かな爆弾』(中央公論社2008)
 『元職員』(講談社2008)

 『さよなら渓谷』(新潮社2008)
 『横道世之介』(毎日新聞社2009)

 こうして並べてみると、伊坂幸太郎さんや奥田英朗さんほど
 意識的には追いかけていないけど、そうとう読んでますね。

 『7月24日通り』は大沢たかおさんと中谷美紀さん主演の
 映画(2006)もステキでした。

 妻夫木聡さんと深津絵里さんで映画になった
 『悪人』も記憶に新しい。このブログにも書きました。

 さていま書店に平積みされているのが
 『平成猿蟹合戦図』(朝日新聞出版)。

 タイトルから明らかなとおり
 有名な昔話を下敷きに。

 読む前はこのタイトルはよくないと思っていました。
 話の展開がみえみえな気がして、読む気を削ぐので。

 ところが途中これがなんで猿蟹?と安易な臆断を心地よく裏切られ
 最後はぴしゃっと猿蟹で着地を決めるという見事さ。

 たくみな話運びと
 しっかりとした構築性を堪能させられました。

 長崎、東京、秋田を結んで
 若者たちが政治の世界に挑戦する話。

 近年話題になった虎退治やクマ退治が
 ベースになっているのでしょうか?

 長崎出身の吉田さんの関心からすれば
 やはり「エリのクマ退治」のほうでしょうか?

 そうだとすると、きょうの話
 薬害肝炎提訴からはじまり、うまく着地なのですが。 

 (政治のリアルにもとづいているのでしょうが
 裏勢力との関係が無批判に書かれているのが唯一難点でしょうか)