2010年11月14日日曜日

 樅ノ木は残った~宝満山の樹~






 40年前の大河ドラマは
 山本周五郎原作の「樅の木は残った」でした。
 主役の原田甲斐を演じたのは平幹二朗。

 江戸時代初期、仙台藩伊達家のお家騒動
 藩内の権力闘争を利用して仙台藩とり潰しを幕府が謀略。
 (宇乃と虎之助の父母は謀略の犠牲に)

 子どものころ、敵が目前に迫っているのに、なぜ
 仲間割れなんかしているのだろうと不思議に思っていました。
 でもそうせざるをえないのが人間のサガなのですね。

 集団訴訟でも加害者側から様々な分裂工作がおこなわれ
 過去、おおくの運動が分裂し力を弱めてしまっています。
 
 自然を愛し自然と生きる人生をおくっていた原田甲斐は
 権力闘争と謀略にまきこまれてしまい
 まわりから理解されず「悪人」とみなされながらも
 弁解せず(敵をあざむくにはまず味方から)
 仙台藩を守り抜く。
 (謀略の犠牲遺児宇乃と虎之助も)


 「私はあの木が好きだ」と甲斐は云った
 「船岡にはあの木がたくさんある、樅だけで林になっている処もある
 静かな、しんとした、なにもものを云わない木だ」
 「木がものを云いますの」
 「宇乃は知らないのか」宇野は甲斐を見た
 甲斐はその眼を見返しながら云った
 「木はものを云うさ、木でも、石でも、こういう柱だの壁だの
 屋根の鬼瓦だの、みんな古くなるとものを云う」
 「その中でも、木がいちばんよくものをいう」と甲斐はつづけた
 「いまに宇乃が船岡へいったら木がどんなにものを云うか
 私が教えてあげよう」
 「はい、おじさま」
  
 「この樅ノ木を大事にしてやっておくれ」と甲斐は云った
 「この木は育つようだ
 これまで移したのは枯れてしまったが、こんどはうまく育つようだ
 宇乃が此処にいるあいだは、この木を大事にしてやっておくれ」
 「はい、おじさま」

 「宇乃、この樅はね、親やきょうだいからはなされて
 ひとりだけ此処へ移されてきたのだ
 ひとりだけでね、わかるか」
 宇乃は「はい」と頷いた。
 「ひとりだけ、見も知らぬ土地へ移されて来て
 まわりには助けてくれる者もない
 それでもしゃんとして
 風や雨や、雪や霜にもくじけずに
 ひとりでしっかりと生きている
 宇乃にはそれがわかるね」
 「はいー」


 樅ノ木は
 仙台(船岡)まで行かずとも宝満にあります。

 そういえば
 ブナなどがなんかしゃべっている感じなのに対し
 寡黙な印象です。

 総じて広葉樹がおしゃべりなのに対し
 針葉樹は寡黙。

 でもモミは針葉樹なのにあったかい頼れる感じ
 (広葉樹たちとつきあっているせいでしょうか?)
 クリスマスツリーに使われるのもその辺が理由でしょう。

 ドイツのシュバルツバルト(黒い森)の黒も
 モミによるものです。

 モミの大木を抱きしめると、穏やかな気持ちになれます。
 

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