2010年11月26日金曜日

 さよならのこっち側



 相続・遺産分割の紛争は
 長男とその他の弟姉妹とのものに限られません。

 【子のいない夫婦】
 子のいない夫婦で夫が亡くなると
 夫の両親か兄弟姉妹が相続人になります。
 遺産が自宅しかないようなばあい
 自宅を分割するわけにもいかず協議が難航します。

 【亡長男の嫁とその余の弟姉妹】
 長男とその他の弟姉妹の紛争と似ているようですが
 ちょっとちがいます。
 鈴木家の財産が他家の人間の手にわたるー
 といった意識によるものです。
 長男が生きていれば問題になりません。

 【先妻の子らと後妻】
 先妻の子らとしては父をとられたようなもの
 寂しいおもいをしてきています
 それゆえ後妻との間には感情的な葛藤がつよく
 協議が難航します。
 
 【内妻とその他の親族】
 内縁の妻の地位もふつうに認められますが
 民法が法律婚主義をとっていることから
 相続権だけはありません。
 遺言がないとまったく足がかりがありません。 

 これらのばあい
 相続紛争をできるだけ避けるために
 あるいは、小さくおさめるために
 遺言書をのこすことがのぞましいと思います。
 (遺留分の問題はまたの機会に)

 自筆証書遺言の作成は超かんたん
 1分でできます。
 
 「遺言書
 私の遺産すべてを妻に相続させる。
  平成22年11月26日
     遺言者 甲野太郎 (印)」

 以上を全部自署し、押印すればOK(民法968)。
 もちろん、妻ではなく
 いちばん親孝行の子にすべてを相続させてもかまいません。

 講演によばれたときなど
 その場で、みなさんに作っていただきます。
 (ただし、あわせて公正証書遺言の作成をお勧めします)

 なんどつくってもかまいません。
 最後につくったものが有効です。

 その日に一番親孝行だった子に全部やる
 と毎日書きなおして
 コタツの上に置いておきなさい
 と講演では指導したりします。
 (これは絶対にすべらない話です)


 「さよならの向こう側」
 
  
 山口百恵さんの歌ですが
 遺言の歌としてもぴったり。
 
 遺言には財産のこと(だけ)を書かないといけない
 ということではありません。
 
 何億光年輝く星にも寿命があること
 季節ごとに咲く一輪の花に無限の命があること
 先にいく父が無限に愛していたこと
 を子たちに教えることでもよいのです。

 いや、そのほうがずっとよいのです。
 残された子たちにとって、なによりの生きる糧になるでしょう。
 

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