2010年11月24日水曜日

 カインの末裔の遺産相続



 すみません、更新はまだかとDMいただきました。
 今朝は8:20からドクター面談が入っていたので
 (交通事故の後遺障害について)
 遅くなりました。 

 さてカインの末裔である
 われわれの遺産相続の話のつづき。

 民法の定める相続制度は共同相続=分割相続
 配偶者を別格として
 被相続人(亡くなった人)の子は、兄弟姉妹みな平等扱いです。

 これを民法は
 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する
 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する
 子が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする
 などと定めています(898~900条)。

 原則として長子だけが家督をつぐ
 戦前の家督相続制度とはちがいます。

 個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して
 相続法を制定しなければならないとする
 憲法24条の要請によるものです。
 
 共同相続は「自分の生活は自分でめんどうをみる」
 自己責任の考えにつながっています。

 この点、家督相続が戸主による親族の扶養をともない
 共同体的な拘束のある制度であったのとちがうところです。

 共同相続は日本の現状にもあっているように思います。

 亡父はサラリーマンで、遺産は自宅と預貯金のみ
 配偶者、子2人もサラリーマンか専業主婦という
 標準的な家庭のばあい
 一般的には妥当な結論がみちびかれます。

 もともと家督相続は江戸時代の武家の相続法に由来するもので
 現代の日本に武士はいませんから、その方面の必要性はありません。

 でも長男が実家で両親と同居して家業(酒屋など)を守り
 他の弟姉妹が東京・大阪へ出て行ってしまっているようなばあい
 平等分割ではどうかな?
 というケースがないではありません。

 特段このような事情はなくとも昔ながらの慣行で
 長男がすべて相続すべきものという考えの方もおられます。

 ですが、ことは制度論です。
 どのような制度にも一長一短があります。
 
 1つの制度ですべての案件をうまく解決することは不可能
 100件のうち70~80件をそこそこ解決できればOKです。

 残りの20~30件は遺言などを利用して
 うまく承継していただくことを予定しています。

 とはいえ
 これらの事案で遺言書が作成されていないこともままあります。
 (へたに遺言のことをきりだすと、「俺を殺すきか!」などと
 叱られたりしますから)

 そのようなばあい
 両親と同居し家業をついでいた長男としては平等分割に不満
 これに対し、他の兄弟姉妹は平等分割を要求したりします。

 特別受益や寄与分といった調整制度はあるものの
 納得をえられないこともあります。

 本人たちで協議してもまとまらなければ
 ①家庭裁判所で調停
 それでもまとまらなければ
 ②家庭裁判所裁判官が審判
 という手続きになります。

 申し立てをすると1か月後くらいに
 第1回期日の呼び出し。

 福岡家裁は中央区大手門のバス停の真ん前
 エレベーターで4階へ
 書記官室で受付をします。

 申立人控室と相手方控室にわかれて待機
 申立人側から順次、個別に事情を聴かれます。

 当事者どうしの協議でまとまらなかったものが
 調停だとまとまることがあります。
 なぜでしょう?

 当事者だけで話すと
 カインの末裔であるわれわれは
 どうしても妬み・憎悪などの感情にとらわれてしまいます。

 ところが
 調停委員という第3者を間にはさむことで
 これら感情をむきだしにすることがはばかられる空気が。

 こうしてどちらかというと理性的な話ができ
 調停がまとまることになります。
 
 これがカインの末裔として
 妬み・憎悪などの感情にとらわれがちなわれわれの性(さが)と
 調停制度の肝です。
 

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