2010年11月17日水曜日

 事件は会議室で起きてるんだ!いや、寝てるんだ↘



 きのうから今年の司法試験合格者のかたが
 事前修習にこられています。

 事前修習は修習がはじまるまえの修習。
 われわれのころはありませんでした。

 われわれのころの合格者は年間500人で
 2年間の修習期間があり
 東京湯島にあった研修所で4か月(前期修習)
 福岡地裁民事部、福岡家裁で4か月
 福岡地検捜査・公判部で4か月
 福岡地裁刑事部で4か月
 弁護士会、法律事務所で4か月
 の実務修習を経て
 ふたたび研修所で4か月(後期修習)でした。

 それがいまは法曹増員の要請から
 合格者2000人で
 修習期間は1年間となり
 前期修習がなくなったうえ
 実務修習期間も短縮されてしまっています。

 このような現状をふまえて
 すこしでも修習の実をあげようと
 手弁当で事前修習にとりくまれています。

 世のなかから余裕が失われているなか
 法律家だけがのんびり修習するわけにもいかないのでしょうが
 それにより大切なものも失われているようにも思います。

 さて昨今の報道から
 このところよく思いかえすのは検察修習でのこと。
 (以下の話は匿名希望)

 当時、福岡での実務修習は全員で20余名程度
 3班にわかれて7~8人で
 裁判所民事・刑事部、検察庁をローテーションし
 最後が法律事務所にわかれての弁護修習でした。

 検察庁では実際に取調べを担当したり
 公判担当検事に同行して法廷を傍聴するのが主な修習でした。

 座学もあり
 覚えているのは検事正講話と検事長講話。

 検事正は福岡県で一番えらい検事
 検事長は九州で一番えらい検事です。

 なぜ覚えているかというと
 検事長講話で寝てしまい
 指導担当検事から「ぼくの首をとばす気か!」と叱られたから。

 指導担当検事は捜査や公判実務からはなれ
 修習生の指導をもっぱらにする検事のこと。

 会議室で
 検事長の前方の席左右に3~4人で座り
 私は左側の一番前(検事長より)の席でした。

 この席で寝てしまったのですから
 50人や100人の講演で寝たのとはわけが違います。
 大事件でした!

 修習担当検事に激しく叱られたのもむべなるかな。
 ごめんなさい。
 (さいわい、検事はその後も順調に出世されています。)

 私なりに弁解させていただくと
 検事正のお話に比べて検事長講話がつまらなかったのは
 否めません。

 検事正はたたきあげ
 実際に捜査を担当し現場を知っています。
 そのような体験に根ざしたお話だったので
 とても興味深く拝聴しました。

 これに対し
 検事長は試験の成績が優秀だったであろう官僚タイプです。
 制度や人事にくわしい、行政の専門家。
 当時の私にとって興味がもてる講話ではありませんでした。

 このような事情は裁判所もおなじ。
 矢口洪一さんが最高裁長官になったときと記憶していますが
 新聞の人物欄に
 「裁判官としての力量は未知数」と紹介されていました。

 その意味は、裁判官といっても
 それまでの経歴が司法行政畑ばかりで
 普通の意味での裁判をした経験が乏しいということ。

 最高裁の判断が庶民感覚からズレて
 官僚的だったりするのはこの辺に原因があります。

 (話を戻して)
 大阪地検特捜部の証拠改ざん(罪証隠滅)事件では
 最高検が前特捜部長らを犯人隠避の容疑で検挙しました。

 この判断は適切であったと思います。
 是非とも有罪にもちこんでほしいとエールを送っています。

 そんなときに頭をよぎるのが検事正vs.検事長講話体験。
 たたきあげの前特捜部長らに
 官僚タイプの最高検検事は対抗できるのか?
 ちょと心配…。
 

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