2018年12月27日木曜日

篠栗八八箇所めぐりと若杉山


(不動明王)

 先週土曜日は所属している山歩き会の本年の納会でした。
 ことしも仰烏帽子,上福根,寂地,十種ヶ峰,宗像四塚縦走,宝満~若杉縦走,剱岳・立山周回,黒岳など盛りだくさんな山歩きでした。

 最後の山歩きは,篠栗八八箇所めぐりの一部と若杉山でした。

 JR城戸南蔵院駅から出発して,薄暗い道をたどり,7番,65番,83番,63番,29番,64番,26番の札所をへて若杉山頂をめざします。

 真言宗の流れで,江戸時代にまず四国八八箇所お遍路が盛んになり,それを受けついで篠栗八八箇所めぐりが整備されたようです。

 どの札所にも不動明王さんが炎を背景ににらんでありました。昔の人は恐怖をおぼえたでしょうが,先月京都の曼殊院で黄不動を拝んだばかりでったので親しみがわきました。

 四王寺山にも三十三体の石仏めぐりがありますが,おなじころに整備されたものでしょうか。

 きょうの山歩き,1年の山歩き,家族の幸せ,ちくし法律事務所の発展,日本と世界の平和を祈りました。このごろは通りいっぺんではなく,心から祈るようにしています。

 若杉山は標高が低いので楽勝かと思いきや,階段がおおく,ハイスピードで登ったので,けっこう疲れました。
 ようやく山頂。変な天気で,博多のほうは雨雲がかかり,若杉山から東のほうは晴れていました。
 山頂では,博多駅で購入した牛ステーキ弁当を食べました。メンバーから分けてもらった蜜柑のおいしかったこと。

 昼食後は奥の院をめぐりました。雨後ということで滑りやすく気をつかいました。

 太祖宮上宮のところから急な階段を下山し,ウッドチップを敷き詰めた林道をとおって大和の森巨木探索路に至る。七又杉,大和の大杉,綾杉を嘆賞しつつ悠久の歴史にしばし思いをはせます。

 楽園では空がぬけた開放感をあじわい,あとは階段状の登山道をダラダラと下り。若杉の湯の露天風呂で疲れを癒したあとは,さあ宴会です。来年の山行計画など会話を楽しみながら,おいしい酒肴に夜が更けていきました。

2018年12月26日水曜日

養育費がゼロに


(西穂独標から見たジャンダルムと奥穂)

 離婚する際,未成年者の子がいる場合,その親権者を父母どちらにするのか,養育費をいくらにするのかを決めます。

 未成年の子の親権者をだれにするのかは,子どもの幸せになるのはどちらかという観点から決められます。子どもが小学校の高学年になり,自分の意見をもつことができるようになれば,子どもの意見もきいて尊重されるようになります。

 養育費のほうは,いろいろ批判や見直しの動きもあるところですが,一般的には裁判所のホームページにアップされている算定表によることになります。

 子どもが成長するにつれ,当初は決めようがなかった高等教育にかかる費用や子どもの病気や交通事故の治療費など特別の出費の加算について,事後的・追加的に,話しあわれることもあります。

 親権者を母(妻)として養育費を支払っている場合に,妻が再婚したのでもう支払いをつづけなくてよいのではないかという相談を受けることがあります。

 気持ちはわかります。が,妻が再婚しただけでは養育費の支払いは免れません。妻が再婚しても,親子関係が切れるわけではないからです。

 さらに,養子縁組まで結べば,養育費を支払わなくてもよくなります。ただし,離婚の際の調停調書があるのなら,あらためて調停を申し立て,支払義務のないことを確認する必要があります。さもないと,給料の差押え等を受けるおそれがあるからです。

 以前から相談にこられた方は,調停を申し立てられましたが話がつかず,今般,審判で支払義務の取り消しがなされました。これは予想された結論なのですが,妻が話し合いに応じないため審判までなされました。
 
 もう5年ほど前の離婚なのですが,なかなか理性的にはふるまえないようですね。

事務所ニュース新年号


(大場敬介先生と版画作品)

 ちくし法律事務所は,事務所ニュース(事務所報)を発行しています。年2回,新年と夏に発行しています。顧問先やお客さまにお送りしています。
 ホームページで,バックナンバーを見ることができます。
 http://www.chikushi-lo.jp/guide.html

 巻頭は,ペーパースクリーン版画家の大場敬介先生,あるいは,大場寿子先生の版画になっています。

 新年号も大場先生にお願いしました。いくつか候補作を事務所にもってきていただきました。
 どれにしようかあれこれ迷います。とても幸せな時間です。

 このところ,先生は干支シリーズにも取り組まれています。事務所ニュースの間には,来年の干支の猪が隠れています。みなさんも探してみてください。

 http://keisukeandhisako.com/works_k01.php

遺産分割調停事件(解決)


(南アルプスのむこうに富士山)

 福岡家庭裁判所に係属していた遺産分割調停事件が解決しました。このケースは,両親の遺産を子どもたち(兄姉妹)3人で分割した事件です。
 こちらは姉妹から依頼を受けました。お一人が遠方にお住まいでしたので,コミュニケーションに気をくばりました。

 父親が先に亡くなり,母親が最近亡くなった事案です。本来,父親が亡くなった際,母親が2分の1,子どもたちが各6分の1(1/2×1/3)相続していました。金融資産(預貯金)については母親が相続していたのですが,不動産については分割が未了でした。

 母親が亡くなった時点で,民法上は,子どもたち(兄姉妹)がそれぞれ3分の1ずつ分割することになります。しかし,兄が両親と同居し,実家が農業をしていたことから,そうはなりませんでした。

 本件では主に特別受益(生前贈与)が問題になりました。姉妹に対し,生前贈与があったというのです。その一部については,当方も認めましたが,残りについては争いました。

 特別受益があるとなると,死亡時の(狭い意味での)遺産に特別受益相当額を加算したものが広い意味での遺産となり,それを3等分し,特別受益をうけた当事者は,そこから特別受益分を控除したものが実際の相続分となります。(例えば,相続人ABCで死亡時の遺産5500万円,Bの受けた生前贈与が500万円の場合,6000万円が広い意味での遺産となり,その3分の1にあたる2000万円を各自が相続することとなり,ただしBは特別受益分500万円を控除し,1500万円となります。ACが2000万円,Bが1500万円で合計5500万円になります。)

 他方,兄に対する生前贈与も問題になりました。母親が金融資産を承継したことから,その生前贈与が問題になりました。当方の依頼人としてはそれをはっきりさせることが目的のひとつでした。しかしながら,同居しておらず,情報が乏しいため,なかなか困難なところがありました。

 最終的には,生前贈与を考慮して,兄が田畑を取得する,金融資産を3等分することになりました。

 法定相続制度は,家督相続制度と異なり,平等な法定相続分を定めていることから,長男とその他の兄弟間の意識のギャップを生じることが少なくありません。本件もそれがなかったわけではないでしょう。しかしながら,全員が細かいところに目をつぶり早期の解決を図ることができました。

 調停には本人が出頭されるのが望ましいのですが,本件では当方の依頼人はいちども出頭しないで解決することができました。

2018年12月21日金曜日

住居侵入,窃盗未遂事件(2つの刑事事件報告②)


(西穂高岳独標から望む八ヶ岳赤岳からのご来光)

 住居侵入,窃盗未遂事件が終了しました。

 最初は当番弁護士として呼ばれました。博多臨港警察署です。珍しい。あまり行かないところです。

 法テラス窓口の人が女性ですと言ってましたが,面会すると男性でした。たしかにどちらでもありうる名前でした。

 逮捕段階。翌日には送検され,裁判所の決定で勾留になりました。勾留されると,被疑者国選弁護人としての対応になります。

 検察官と協議し,被害者と示談協議することになりました。
 初犯ですし,窃盗は未遂事件なので,被害者が納得すれば,起訴されないと見込まれました。

 被疑者に謝罪文を書いてもらい,被害者に送り,家族には金策をお願いしました。

 被害者と協議しましたが,捜査では未遂かもしれないが,被害はあると言われ,難航しました。被疑者による被害かもしれません,被疑者以外の者による被害者かもしれません。

 勾留は最初が10日で,あと10日だけ延長できることになっています。できれば最初の10日以内に示談をしたかったのですが,勾留延長になってしまいました。

 結局,示談はできませんでしたが,延長4日目に釈放になりました。国選弁護人としての仕事は終了です。

 民事の賠償問題がのこり,すっきりしないものの,刑事事件としては終了になります。
 あとは被疑者の更生を願うばかりです。

遺産分割事件(解決)


(信州中の湯温泉付近でサルの親子)

 遺産分割事件が解決しました。

 中小企業団体の知合いのご紹介でした。
 相談者は高齢で,ご自分で協議や交渉をすることが困難なようでしたので,その場で受任することにしました。 
 
 被相続人は今年はじめにお亡くなりになりました。
 遺産は約1億円です。

 配偶者,子はなく,ご両親も亡くなっておられました。
 このような場合,兄弟姉妹が相続人になります。

 被相続人をのぞく兄弟姉妹は5人でしたが,うち3人は亡くなっていました。
 そのうち,1人には3人の子(被相続人からみて甥姪になります。)があり,あと2人には子もいませんでした。
 まとめると,被相続人の兄弟が2人,亡くなった兄弟の子,つまり甥姪が3人でした。
 このような場合,兄弟2人がそれぞれ3分の1,甥姪が3分の1の3分の1で,それぞれ9分の1の相続分となります。

 受任と同時に相手方に,本件は弁護士が一切の交渉権限を受任したので,なにか連絡があったら弁護士を通して欲しい旨の受任通知をおくりました。

 ご依頼を受けたときは,遺産について,金融資産(預貯金,生命保険等)がどことどこ,不動産があのあたりくらいの情報しかありませんでした。そのため,金融機関への照会や,地図・図面・不動産登記簿謄本の取り寄せなどの調査から開始しました。

 こちらが弁護士に依頼したためと思われますが,相手方兄弟も弁護士に依頼されました。そして遺産の目録が送付されてきました。当職の調査結果とほぼ一致しました。

 あとは特別受益や寄与分などの話がなければ,法定相続分どおり分割することになります。この場合,金融資産ごとに分割するのは煩雑なので,相手方がすべての遺産を取得し,当方は代償金として現金を受け取ることにしました。

 遺産分割といえば家庭裁判所で協議ときめてかかる人もいますが,兄弟で仲よく話し合って解決することができれば,家庭裁判所は必要ありません。本件も話合いで解決することができました。

 ほとんど調印直前になって,当事者の1人が亡くなりました。数次相続といいます。が,考え方はおなじです。亡くなったかたの相続人らで,その件の相続はあとで話し合おうということにしていただいたので,やきもきしましたがそこは紛争化しないで解決をすることができました。

 あとすこし残務が残っていますが,年内に解決の道すじをつけることができて,ほっとしています。