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2023年12月13日水曜日

最近解決した遺産分割調停事件5件

 

 ここのところ遺産分割調停事件がつづけざまに5件解決した。

遺産分割事件は、相続人の数・親疎と遺産の内容によって難しさが決まる。相続人の数が増えれば増えるほど、相続人どうしが親しくなければないほど困難さは増す。ときには数次相続など、被相続人が複数いらっしゃる場合もある。遺産の内容が現金だけであれば分割しやすいし、不動産だけであれば分割が困難だ。

1件目。相続人は伯母と姪2人、福岡と関東であまり交流はなかった。福岡の伯母から依頼を受けた。遺産は比較的広い土地がひとつだけ。現物分割といって、不動産を2筆に分割した。問題は分割の仕方である。相手は2等分を要求し、当方は広い道に接しているほうを狭くする案を提案した。交渉が決裂したので、調停を申し立てた。結局、当方の案が通った。

2件目・3件目。被相続人がお二人。相続人は共有している方々とそうでない方々に分かれた。どちらもめぼしい遺産は不動産のみ。これらも交渉で解決できず、調停となった。遺産を売却して、代金から経費を差し引き、残ったお金を分配した(換価分割)。争いになったのは経費のなかみ。不動産を売却するのだから、建物解体費、残置動産(家財道具)の処分費用、測量費、譲渡所得税・市県民税・税理士費用、登記費用はOKとなったが、弁護士費用はダメとおっしゃるかたがいたのでその方の分だけ控除できなかった。

4件目。相続人は5人。被相続人と懇意にしていた方が当職の依頼人。遺産は主に不動産。相続開始後、近所のクレームを受け、不動産の管理費を支出されていた。これも調停に。他の相続人は、4人のうち、1人は成年後見人が、1人は未成年後見人がついておられた。さらに1人は東京の方で、一度も出席されなかった。難しかったのは後見人の先生方。不動産を売却して分配しようとしたが、経費についてうるさく注文をつけ、代償金による解決を要求した(代償金分割)。依頼人の了解を得て、なんとか解決することができた。

5件目。相続人は妻、子二人。子の一人から依頼を受けた。交渉で解決せず、遠方の家庭裁判所に調停を申し立てた。遺産は主に不動産。不動産の価格が主な争点となった。遠方の不動産ゆえ、時価の把握が困難だった。また相手方から、新民法で新たに創設された配偶者居住権の主張がなされた。協議を重ねるうち、相手の譲歩を引き出すことができ、無事解決することができた。

福岡市や筑紫地区は不動産市場がひきしまっていて、売りに出せばすぐに買い手がつく。そして比較的高値で売れることが多い。そうでない場合に比べて、遺産分割事件を解決しやすい。現金は分割しやすい。不動産は分割しにくい。売買できれば不動産が現金に変わるわけだから、遺産分割が容易になる。

しかし逆に困難になる場合がある。未解決な事件はそんなケースだ。現物分割や換価分割ができればよい。しかし代償金分割となると、不動産の評価があまりに高いと代償金が用意できなくなってしまうからだ。このため、ある事件がいまだ解決できず調停がつづいている。解決できた暁にはまた報告したい。

2023年11月24日金曜日

所在等調査ー北海道出張中止

 


 きょうから3日間、北海道出張を予定していた。しかし、北海道の週末は暴風雪など大荒れの天気予報だ。

家庭裁判所で、ある遺産分割調停をおこなっている。調停に出席していて意向がはっきりしている当事者の間ではほぼ合意が成立したけれども、欠席していて一部の当事者だけ意向がはっきりしない。家庭裁判所は調停にかわる審判をおこなった。

「調停が成立しない場合であっても、裁判所が当事者の様々な事情などを考慮して、審判の形で一定の解決を示すことが相当だと判断した場合には、調停に代わる審判の形で結論が示されることもあります。この審判に対して2週間以内に当事者から異議が申し立てられることなく確定した場合、審判は確定判決と同一の効力をもち、異議が申し立てられた場合には、その審判は効力を失うことになります。」(裁判所HPより)

ところが、この審判書が届かない。一般論として審判が確定すると強制執行をおこなうことができる場合があるので、審判書の送達は特別送達の方法による。書留郵便の厳格なやつだ。当事者本人でないと受け取れない。

当該住所にいることは確かだけれども、受け取らないだけという場合がある。この場合、所在調査が必要になる。相手方の住所に尋ねていって、水道メーターが回っている、洗濯物が干してある、近所の人の話で住んでいることは確かだとか報告書を提出することになる。

今般はどうもそうではないらしい。親族のお話によると、どうも認知症を発症していて、どこか施設か病院にいるらしい。しかも、そのかたの住所は北海道だ。遺産分割だからだいたいの当事者は九州在住だったのだけれども、そのかただけどういうご縁か北海道に住所があった。

裁判所から特別送達が届かない事情について調査を命じられた。期限は12月上旬だ。

相手方の近所のかたや、ご親族に電話や手紙を出して、その辺の事情をうかがった。しかしはっきりしない。もしくは、ご返事がない。役所等に問合せようにも、昨今は個人情報の壁があつく教えてもらえない。

こうして、やむなく今週末、北海道出張を企画・断行しようとした。

そうしたらなんとドラマのような展開。ギリギリ一昨日の夕方、ご親族のお一人から、お手紙のご返事が届いた。それにより、審判書が届かない事情が判明した。

北海道出張は急遽とりやめ。助かった。雪に弱い九州人が雪にまかれて凍死したのではあまりにもおそまつ。

このような事態はこれからさらに増えるだろう。こんかいは国内にいらしただけまだマシだったかもしれない。

2023年11月10日金曜日

福岡公証役場訪問記

 

 福岡公証役場を訪問してきた。養育費請求権について公正証書を作成するためである。夫側の依頼であるので、正確には、作成させられるためである。

離婚に伴い、夫婦どちらかを親権者と定める。親権者とならなかった他方は、相手方に対し養育費の支払いを約束することになる。

未成年の子が成年に達するまでであるから10年以上の期間におよぶことが多い。本来的には、約束が守られなかった時点で、調停か裁判を行って、調停調書や審判・判決などの債務名義を得ることなる。

債務名義というのは、それに基づいて強制執行できる文書のことである。調停や裁判には時間と手間とお金がかかる。これをバイパスするための制度が公正証書を作成する方法である。

公正証書は遺言が知られているが、もちろん養育費請求権についても作成することができる。末尾に強制執行を認諾する文言をつけくわえれば、調停・裁判を経ずして強制執行をすることができる。

強制執行というのは、任意の支払いがないときに、相手方の給料や預貯金を差し押さえることができる制度である。むやみに認めると差し押さえられたほうの被害が大きいのであるが、養育費について認諾文言があるのであればやむをえない。

公証役場はおおむね法務局ごとに存在する。わが事務所の近くには筑紫公証役場が存在する。いつもはそこのお世話になっているのであるが、今回は相手側の弁護士の最寄りの役場を利用することになった。

その際、必要書類がいろいろある。そして通例、IDを証するものが必要である。ところが、今回は不要であるという。なぜかと問うと、公証人が知り合いだからだという。なんと司法研修所で同期の元裁判官であった。

地下鉄赤坂駅で降り、長浜方面へ向かう。右側に大きなテニスコートがある。むかし検察庁があったところだ。そこを左折すると、間もなく福岡公証役場だ。はじめてきた。

表札をみると、6人も公証人がいらっしゃる。そのうち半分は知っているお名前だ。中に入ると、送達、確定日付、認証、公正証書などに窓口が分かれている。筑紫公証役場のばあい、公証人は1人なので、窓口もシンプルである。いかにも役場という感じである。

しばらくして相手の弁護士もいらっしゃったので、中の部屋に入った。途中で、もう一人の知り合いの公証人の顔が見えたので、挨拶することができた。

そして公正証書を作成した。お隣の先生の声も大きく喧噪のため、朗読の声も聞き取りつらい。

公証人はさすがに司法研修時代と同じというわけにはいかないが、いまも毎日水泳に通ったいるとかで若々しい。つかの間の同窓会であった。

2023年2月10日金曜日

不動産鑑定立会い

 


 きのうは不動産鑑定の立会いだった。遺産分割調停で、被相続人が所有していた不動産(土地・建物)の価格が争点になった。

不動産の価格は時価。売って分けるのであれば、時価は売ってみれば分かる。

売らないで分けるとなれば、評価が必要になる。一般的には、市町村が行っている固定資産税評価による。市役所の税務課に行けば、取得することができる。

市町村は、その税収の一つである固定資産税を課税する前提として固定資産税の評価をしなければならない。不動産鑑定士らに依頼して3年ごとに路線価を調査する。その結果の7割が固定資産税評価である。

たとえば、時価100万円と認められれば、固定資産税評価は70万円である。固定資産税評価の物件は0.7で割り戻せば時価を求めることができる。

家裁の実務では時価ではなく、固定資産税評価額のまま調停を進めることが多い。時価で売却しても、不動産仲介手数料、境界測量費用、譲渡所得税等もろもろの経費がかかるので、手残りは時価の7割程度になるからである。

固定資産税評価のほか、相続税評価というのもある。税務署が相続税を課税する前提となる評価である。時価の8割程度と言われる。

調停の当事者のどちらかが、それら評価に納得しなければ、不動産鑑定を申し立てることになる。

遺産分割調停であるから、当事者は兄弟あるいは親族である。不動産鑑定までしなくてもよいではないかと思うが、最近は紛争が激烈で不動産鑑定が必要となることが多い。

不動産鑑定は、不動産鑑定士という専門職が行う。書面だけで評価するのは乱暴だから現地調査も行う。建物が図面どおりかとか、痛み具合はどうかなど現地でないと分からない情報を収集する。きのうのはそれである。

弁護士の立会いが必要かというと必ずしもそうではない。しかし当事者としては心配であるから弁護士の立会いを希望されることが多い。

あいまあいまに雑談をしながら、鑑定士の質問等に回答する。そして依頼人によい結果がでることを祈る。

2023年1月12日木曜日

ある委任契約無効確認訴訟(勝訴)

 

 ある委任無効確認訴訟事件について勝訴(確定)したので報告する。

まず前哨戦があった。父が亡くなって、母Yと子どもたち(A、X)で遺産分割調停事件となった。母YとA対Xの争いであった。当職はY、A側から依頼を受けた。

その際、Xが母から預かった遺産資料の返還になかなか応じなかった。そのため、調停が終了した後、YはAに対しXとの間の面会について、いつ、どこで、どのくらいの時間会うのかを調整する権限を委任した。そしてその面会にはAを立会人とする条件をつけた。

Xはこれに反発し、Xは子どもとして母Yと自由に面会することができる、そのためYがAに対して行った上記委任契約は無効であることの確認を求めるとの裁判を提起した。

本件でもY、Aから依頼を受けて応訴した。Xは子どもが母と面会を自由におこなうことができると主張した。裁判例も数例援用した。

高齢化社会の反映だろう。子が親と面会を求める裁判例が数件あった。どれもが認知症等により親の判断能力が疑われる事案であった。

たしかに、国家や自治体が母子の面会を理由なく制限すれば、それは人権侵害だろう。しかし、とうの母親が子と会いたくないと思っているときに、子が母と会うことは自由だといえるだろうか。それは逆に母の自由を不当に拘束することになるだろう。そう論旨を展開した。

さらに、本訴はXがYに会うことを請求するという方法ではなく、過去にY・A間で締結した委任契約の無効確認を求めたことが議論をややこしくした。

500万円を払えとか、家の登記手続をせよとか、相手方に給付を求める請求訴訟をおこすことが一般的である。しかし、前哨戦での経過から、本件ではY・A間に上記委任契約が締結されていたため、その無効確認を求める裁判となったのである。

さきにも報告したとおり、遺言無効確認訴訟というのは認められている。遺産のそれぞれについて給付を求めるのは煩雑であり、遺言の無効を確認できれば一括して紛争が解決できるからである。

本件ではどうだろう。当該委任契約の無効を確認したところで紛争の解決になるだろうか。つまり、われわれの言葉でいう「確認の利益」の有無が争われた。

結論。当方が勝利した。裁判所は本訴について確認の利益がないとした。相手方も控訴せず、一審で確定した。

当然のことながらまだ続きがある。確認の利益がないことの理由として、上記委任契約はXを拘束するものではないとの説示があった。相手方はそれを根拠として面会の自由があると主張した。

物件と異なり債権は第三者を拘束しない。これは債権の一般論である。判決はこの一般論を述べたにすぎない。そのことからただちにXがYと自由に会えるとの結論を導くことはできない。そう反論した。

とりあえず、この論争がつづくことを避けるため、当職が上記とおなじ内容の委任を受けた。

弁護士が受任した以上、その頭越しに本人と交渉をすることは許されない。このことは弁護士法が存在する以上、一般的に認められているところである。

さて、この問題はこんごどうなるであろうか。いまだ進行中である。

※写真は大垣おくのほそ道むすびの地の芭蕉と木因。

2022年3月1日火曜日

ある現場


  きのうは朝から朝倉方面まで出かけた。そのためブログが書けなかった。

 ある遺産分割調停が成立した。きのうは、相手方の動産を運び出す日だった。適切になされるよう監督するため、立ち会う必要があった。

向こうに古処山がのぞめる田園地帯である。天気も快晴でおだやかだった。

遺産分割事件であるから、当方と相手方は兄弟である。兄弟であるけれども、双方に弁護士がついて調停を経ているのであるから、仲がよいとはいえない。当方の依頼人と相手方の弁護士は来ていない。

いくつか小競り合いがあった。裁判所で調停しなければならないほどの仲であるのに、自己に都合のよいところでは兄弟感覚でいるから、やってよいこととやって悪いことの区別が十分にできていない。それを指摘すると、食ってかかる。

電話工事業者が4、5人いて、第三者の眼があったこともあり、ことなきを得た。現場には、裁判所や事務所とは異なる「前線」の感覚がある。

 数週間前にも、隣地の石垣が崩れた現場を見にいった。現場百回と言われる。事務所で話を訊くだけでは真実をつかみそこねることがある。

境界にある崖が崩れたときの解決方法については争いがある。大学では物権的請求権により、崖下の人が崖上の人に復旧を要求できると習った。そのように理解していたら、東京高判では別異に判断がなされている。

しかしそれも自然状態にある場合である。すでに石垣など人工的な工作物がある場合は別だ。土地の工作物所有者の責任により、原則として石垣の設置・管理者が責任を負わなければならない。

現場に行くことにより案の定、依頼者の話や写真では分からなかった状況を把握することができた。やはり、おっくうがらずに現場にでかけなければならない。

2021年11月30日火曜日

ある遺産分割調停事件

 きのうはある遺産分割調停事件が解決した。裁判所における調停条項のほかに、調停外で合意書を締結した。昨年4月に受任しているので、解決までに1年半以上かかっている。

依頼人の関係者が自分の関係者の知りあいであったりして、気をつかう事件だった。地域に根ざして長らくやっていると、こういう事件が増えてくる。

正式に調停の土俵にのっている被相続人は一人だが、最終的には3人の被相続人の相続事件について全面解決した。兄弟姉妹間の争いであり、実家に相手方の経営する会社の住所があったりして、いろいろと複雑な権利関係にあった。

調停は基本的には話合いであるので、当事者が納得すればどのような解決でもOK。しかし話合いがまとまらなければ決裂し、審判や裁判になる。

審判や裁判になったらどうなるという見通しを北極星として、そこを着地点として見据えて話合いをすすめていくことになる。審判や裁判は裁判官がすることなので、予想が100%正答するということはない。ときに、外れることもありうる。そこが難しい。

むろん、証拠の有無が大事で、最後はものを言うことになる。本件でもやはり証拠の有無が問題になりなった。同じ事案について双方に弁護士がついて見解がわかれるのは、この証拠の評価が異なるからであることが多い。

相手方からは5,000万円もの請求がなされたけれども、それを裏付ける証拠はうすいようだった。それで、相手方の要求は、一部をのぞき、つっぱねる方向での話合いを続けた。

結果、5,000万円の支払いはしないで解決することができた。一部をのぞき、ほぼ完勝。めでたし、めでたし。

※写真は先日のほぼ皆既月食。

2018年12月26日水曜日

養育費がゼロに


(西穂独標から見たジャンダルムと奥穂)

 離婚する際,未成年者の子がいる場合,その親権者を父母どちらにするのか,養育費をいくらにするのかを決めます。

 未成年の子の親権者をだれにするのかは,子どもの幸せになるのはどちらかという観点から決められます。子どもが小学校の高学年になり,自分の意見をもつことができるようになれば,子どもの意見もきいて尊重されるようになります。

 養育費のほうは,いろいろ批判や見直しの動きもあるところですが,一般的には裁判所のホームページにアップされている算定表によることになります。

 子どもが成長するにつれ,当初は決めようがなかった高等教育にかかる費用や子どもの病気や交通事故の治療費など特別の出費の加算について,事後的・追加的に,話しあわれることもあります。

 親権者を母(妻)として養育費を支払っている場合に,妻が再婚したのでもう支払いをつづけなくてよいのではないかという相談を受けることがあります。

 気持ちはわかります。が,妻が再婚しただけでは養育費の支払いは免れません。妻が再婚しても,親子関係が切れるわけではないからです。

 さらに,養子縁組まで結べば,養育費を支払わなくてもよくなります。ただし,離婚の際の調停調書があるのなら,あらためて調停を申し立て,支払義務のないことを確認する必要があります。さもないと,給料の差押え等を受けるおそれがあるからです。

 以前から相談にこられた方は,調停を申し立てられましたが話がつかず,今般,審判で支払義務の取り消しがなされました。これは予想された結論なのですが,妻が話し合いに応じないため審判までなされました。
 
 もう5年ほど前の離婚なのですが,なかなか理性的にはふるまえないようですね。

2018年3月15日木曜日

離婚調停が不調に終わりました。



 きのうは離婚調停が不調に終わりました。
 入籍して2か月くらいの破局です。
 当方は夫側です。

 離婚については双方に争いはなく,争点は慰謝料の支払義務があるかどうかだけです。
 世によくある誤解ですが,離婚にともない当然に慰謝料が発生するわけではありません。

 慰謝料は,損害賠償の一部で,精神的な苦痛に関するものです。
 損害賠償請求権は,不法行為あるいは債務不履行といった違法行為の効果として発生するものです。
 不法行為がなければ,慰謝料も発生しません。
 たとえ離婚に至ったとしても,その原因が性格の不一致であれば,慰謝料は発生しないわけです。

 週刊誌などで慰謝料いくらと書かれていても,よく読むと厳密な意味での慰謝料ではなく,手切れ金,解決金,和解金の趣旨であることも少なくありません。
 これらは,一方当事者が不法行為をしたから支払うという性質のものではなく,紛争を早期・穏便に解決したいので,そのために支払うというものです。

 本件ではこれといった不法行為が存在しないけれども,相手方が慰謝料にこだわれたために不成立に終わったものです。
 調停が不調に終わったために,離婚訴訟をおこなうことになります。

2018年3月14日水曜日

遺産分割調停が成立しました。


 ある遺産分割事件の調停が成立しました。
 相続人は,伯父と甥2人の3人です。

 ある相続人の手許で行方不明となった預貯金がありましたが,半分くらい返金することで合意ができました。
 被相続人の生前,死後を問わず,行方不明の預貯金の処理はむずかしい。争いになれば,地方裁判所でその存否を争わなければなりません。
 本件では,地裁での結論予測やそこに至るまでの手間・ヒマ・費用などの衡量をもとに,上記解決ができました。

 特別受益・寄与分の主張はなかったので,遺産を3等分することに争いはありませんでした。

 問題は,遺産のなかに不動産が存在し,そこにある相続人の子どもが住んでいることでした。
 関係者のなかに,不動産が欲しくて,かつ,現金が用意できる人がいれば,その人が不動産を取得し,その余の相続人に代償金を支払うという解決ができます。たとえば,3,000万円の不動産をAが取得し,その代償として,AがB,Cに対し1000万円ずつ支払うという方法です。
 本件ではこれによることができなかったので,不動産を売却し,経費を控除した残金を3分の1ずつ分配することになりました。現在,不動産業者に依頼して売却中です。

 というわけで,調停が成立したものの,紛争全体が決着をみるためには不動産の売却をまたなければなりません。が,とまれ一応の中間点は到達です。

2017年11月28日火曜日

生前の預金引き出しに関する相続・遺産分割事件(福岡家裁)


        (京都嵐山・渡月橋・琴きき橋跡)

 福岡家庭裁判所で,遺産分割調停でした。

 相続人は3人(うち2人が依頼人で申立人),遺産は大半が不動産・金融資産が少しです。

 遺産の分割について,共同相続人間に協議が整わないとき,また,協議をすることができないときは,その分割を裁判所に請求することができます(民法907条)。ただし,遺産分割事件はいきなり裁判(審判)を求めることはできず,まずは調停をしなければなりません(家事事件手続法257条)。これを調停前置といいます。
 
 主な争点は,①被相続人(遺産を残して亡くなった人)の生前に,同人から管理をまかされた預貯金を無断で多額にひきだしてしまったことをどう解決するのか,②現有遺産の大半が不動産であるときに,どのように分割するのかという2点です。

 ①について
 調停は,調停委員をあいだにはさんだ話合いなので,遺産の存否について争いがある部分は対象になりません。通常訴訟をおこして,そのような遺産が存在することを前提問題として解決する必要があります。しかしながら,それは双方にとってそうとうの負担となるので,一定金額を遺産にもちもどす和解的な解決が図られることが多いです。本件においても,相手方からそのような提案がなされました。

 ②について
 これについては,現物にこだわれば共有という解決もありますが,紛争を将来にもちこすだけになりかねません。
 いちばん簡単なのは,ひとりが全部を相続したことにして,その人が他の人に代償金を支払うという方法です。たとえば,不動産の価格が3,000万円であるとしてAが取得する,その代償としてAがBとCに1,000万円ずつ支払うというものです。本件でも,この方向が模索されましたが,Aが金策に失敗し,できませんでした。
 そこで,やむなく不動産を売却して現金に換え,これをわけるという方向を検討することになりました。

 遺産分割は細かい点を議論しはじめればキリがありません。親族なのですから,双方が大局的な観点から判断していければ早期の解決を図ることができます。

2015年12月10日木曜日

離婚事件イロハ



 離婚事件の相談に親御さんがこられること
 これけっこうあります。

 親御さんの年齢はどうも
 60歳は越えているかな。

 子どもの年齢をおききすると
 案の定,40歳過ぎ。

 たとえ20歳前でも
 結婚すれば成人とみなされます(民法753条)。

 さて,どうしたものか・・・

 夫婦3組に1組は離婚しているので
 離婚相談はすくなくない。

 3人で酒を飲みにいけば
 1人は離婚経験者です。

 それでも家庭裁判所の手を経た離婚は
 1割にみたないらしい(司法統計)。

 9割の夫婦はじぶんたちで協議して,つまり
 裁判所の手をかりないで離婚しているわけです。

 じぶんたちの手におえないときに
 他者に相談したり,手をかしてもらうことになる。

 その際,親に相談する人とそうでない人にわかれ
 前者のなかから,親が相談にこられるわけです。

 そもそも調停や裁判は手術のようなもの
 本人の了解なしにはおこなえません。

 人を介した相談は事実とアドバイスの両面で
 行き違いを生じがちです。

 前提となる事実が異なれば
 解決方針も異なります。

 法的なアドバイスはいくつかの前提をおいています
 前提をすっとばすと,違う話になってしまいます。

 ふつうの会話でも生じがちなこうした齟齬は
 法律相談ではさらにリスクがたかまります。

 どっちみち家裁の調停には
 親ははいれないことになっています。

 もめごとの解決は本人の決断にかかっているので
 関係者がおおくなると,いつまでも解決しないからです。

 それに親がつきそっていると
 どうしても自立を疑われてしまいます(離婚原因とも関係)。

 そういう理由で,とりあえず親御さんの不安や悩みの相談にのるものの
 あらためて本人に来てもらうことになります。

 離婚することじたいが高度のストレスです
 法律事務所のたかい敷居をまたぎたくない気持ちもわかります。

 でも離婚も人生の一部なら
 その解決も人生の一部です。

 じぶんの人生ですから,じぶんで切り開くしかありません
 やはりまず,じぶんで相談にこられてください。勇気をだして。

2013年10月3日木曜日

解決するために…


訴訟や調停をする際には,

「管轄」

がどこの裁判所にあるのか
検討しなければなりません。


最近では,
裁判所を通じた電話会議が
行われることもありますから,
以前よりは融通がきくかもしれませんが,

それでも,
どこの裁判所に事件をもっていくのかは
非常に大切です。



全国各地に裁判所はあります。

また,
それぞれの土地に
地方裁判所,簡易裁判所,家庭裁判所…
といった具合に
様々な種類の裁判所があります。



「管轄」は法律に定めがあり,
どこでも受け付けてもらえるわけではありません。


ですから,
福岡地方裁判所に訴訟を提起したけれど,

「うちに管轄がないので,
それは札幌簡易裁判所でやってください」

と言われてしまうようなケースもあるわけです。



事件の詳細はお話しできませんが,
今回,この「管轄」で悩んだケースがありました。

紛争の解決には,

どのような法律上の主張をするか
とあわせて,
どこの機関を利用するのか
の選択も
大切だということですね。

2013年7月9日火曜日

盛夏,到来。


梅雨明けしましたね。


梅雨明けした途端に,
見事な夏空。

厳しい暑さ,到来です。



弁護士は,
事務所に座ったまんま一日が
過ぎていく…と
思っている方もいるのではないですか?

たしかに,
一日外出しない日もありますが,
意外と外出が多いものです。

裁判・調停等はもちろん,
大型訴訟の弁護団会議や,
地域団体の集まり,
大学での講義,
勉強会,
現地調査などなど。



暑すぎるのも,寒すぎるのも,
大雨も,大雪も
できれば外出するときには
おさまってほしいなぁ…と
思っているのですが,

そういった疾しい心があるときに限って,
出かける直前に天気が急変
したりするものですね。


いつでも穏やかな心で
過ごしていきたいものです。



次回は,
「弁護士バッヂ」の正体について
お話していこうと思います。

お楽しみに。

2013年6月20日木曜日

新しい一歩へ


先日,
労働審判にかかっていた事件が
調停で終了しました。

「労働審判」とは,
原則3回の期日で労働に関する問題の
解決を目指す手続です。

私は残業代を請求された
中小企業の側の代理人をしました。



一定額を支払う内容でしたが,
前向きな方向で
解決ができたのではないかと
思っています。



労働問題は,
人を雇用する事業者にとって
避けることができません。

ただ,
企業立ち上げの段階から
「完璧な体制」を作ることが難しいのも
また事実です。


私が代理人を務めさせていただいた会社は,
今後,規則などをしっかり整備していく
とのことでした。
これから益々,
発展していってくださるように願っています。


今後改訂して,
さらに見やすいようにしていく予定ですが,
当事務所の労働問題Q&Aも
合わせてご覧ください。




次回からは,
不定期を予定していますが,
「もっと裁判所や弁護士が身近になる豆知識」
を紹介しようと思います。

乞うご期待。