2023年2月10日金曜日

不動産鑑定立会い

 


 きのうは不動産鑑定の立会いだった。遺産分割調停で、被相続人が所有していた不動産(土地・建物)の価格が争点になった。

不動産の価格は時価。売って分けるのであれば、時価は売ってみれば分かる。

売らないで分けるとなれば、評価が必要になる。一般的には、市町村が行っている固定資産税評価による。市役所の税務課に行けば、取得することができる。

市町村は、その税収の一つである固定資産税を課税する前提として固定資産税の評価をしなければならない。不動産鑑定士らに依頼して3年ごとに路線価を調査する。その結果の7割が固定資産税評価である。

たとえば、時価100万円と認められれば、固定資産税評価は70万円である。固定資産税評価の物件は0.7で割り戻せば時価を求めることができる。

家裁の実務では時価ではなく、固定資産税評価額のまま調停を進めることが多い。時価で売却しても、不動産仲介手数料、境界測量費用、譲渡所得税等もろもろの経費がかかるので、手残りは時価の7割程度になるからである。

固定資産税評価のほか、相続税評価というのもある。税務署が相続税を課税する前提となる評価である。時価の8割程度と言われる。

調停の当事者のどちらかが、それら評価に納得しなければ、不動産鑑定を申し立てることになる。

遺産分割調停であるから、当事者は兄弟あるいは親族である。不動産鑑定までしなくてもよいではないかと思うが、最近は紛争が激烈で不動産鑑定が必要となることが多い。

不動産鑑定は、不動産鑑定士という専門職が行う。書面だけで評価するのは乱暴だから現地調査も行う。建物が図面どおりかとか、痛み具合はどうかなど現地でないと分からない情報を収集する。きのうのはそれである。

弁護士の立会いが必要かというと必ずしもそうではない。しかし当事者としては心配であるから弁護士の立会いを希望されることが多い。

あいまあいまに雑談をしながら、鑑定士の質問等に回答する。そして依頼人によい結果がでることを祈る。

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