2023年2月16日木曜日

福林寺の十一面観音

 
 『星と祭』で、架山が3つ目に訪ねたのは、福林寺の十一面観音である(重文)。渡岸寺と石道寺の翌日のことで、この二寺と違い、琵琶湖の南岸・森山である。大三浦は同道していない。

http://tendai-shiga.com/yaritu-19.html

http://butuzouclub.blogspot.com/2016/11/blog-post_23.html

「ご立派な観音さまですね。」・・

 顔と、体躯の一部は胡粉でも塗ったように白くなっているが、あとは漆地の黒さで覆われている。顔はゆたかできゅっと緊まって、意志的であるが、いささかも威圧感はない。・・

 頭に戴いている十一の仏面はいずれも小さく、そのためか、天冠台から上は本当に冠を戴いているように見える。そして瑶珞をたくさん胸もとに垂らしているところなどは、やはり咲く花の匂うような天平の貴人が一人、そこに立っている感じである。ひたすら気品高い観音像である。
「もとは、ここも大きな寺だったようです。織田氏の焼打ちに遇って、寺は焼けてしまい、この観音さまだけが助かりました。誰かが火の中から救い出したのでしょう、背中に火傷の跡があります」

※引用は能美舎刊から。

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