2018年3月29日木曜日

暮らしのサポートセンター運営審議会


 きのうはカミーリアで,「暮らしのサポートセンター」第3回運営審議会でした。わたくしはその委員長をおおせつかっています。

 「暮らしのサポートセンター」は,筑紫野市社会福祉協議会が設置しているものです。そこで,審議しているのは,①日常生活自律支援事業,②暮らしのサポートセンター事業,③法人後見事業の運営状況です。

 日常生活自律支援事業は,福岡県社会福祉協議会の事業です。
 社会福祉法に基づき,福祉サービスの利用や日常的な金銭管理などに不安がある方々が住みなれた地域で安心して暮らせるようお手伝いするものです。利用対象者は生活保護を受給中の方々です。筑紫野市社協は,この事業の委託を受けて運営にあたっています。

 暮らしのサポートセンター事業は,上記と同じ事業を筑紫野市社協が独自に行っているものです。利用対象者は生活保護を受給していない方々です。その方々は県社協の事業の対象外となってしまうため,市社協が独自に事業を行っています。

 法人後見事業は,市長申し立ての後見人選任事件において,社協が後見人になる事業です。

 弁護士も,任意後見契約などにより財産管理を受託することがありますし,当職も後見人や保佐人として財産管理を行っています。それに比べると大変お得な制度になっています。

 身内のかたやお近くの方で財産管理に不安がある方は一度社協に相談されてみてはいかがでしょう?

2018年3月28日水曜日

当番弁護士出動


(谷川岳天神尾根から尾瀬方面をのぞむ。
中央が燧ヶ岳。その手前右が至仏山。
その間が尾瀬。
左手,ピークがわかりにくいけれども会津駒ヶ岳。

 昨夕は,当番弁護士として出動し,博多警察署で接見してきました。
 当番弁護士は,身柄を拘束された容疑者(被疑者)の刑事手続上の権利を擁護し,弁護士の援助を受けるために,1度だけ無料で弁護士の派遣を依頼・相談できる制度です。

 きのうは昼間ロータリークラブの例会から福岡地方裁判所で和解協議をして,事務所に戻ったところ,当番弁護士の派遣要請が来ました。

 県条例違反の容疑でした。
 刑法違反とか覚せい剤取締法違反とか,いっぱんに刑事事件といえば法律違反が多いのですが,軽微な犯罪について条例による取締対象となっていることがあります。
 (守秘義務により,以下省略。)

 夕方は5時と6時から打合せが入っていたので,明日早朝に面会に行こうと思いましたが,6時からの打合せが早く終わったので,昨日のうちに行きました。

 昼間は一般面会(弁護士以外の家族等との面会)も行われるので,弁護士は早朝,夕方以降に接見することが多いです。

 手続の見通し(勾留が10日か20日か),処分の見通し(罰金か公判請求か,罰金だといくらくらいか)や,家族面会・差入れの希望の有無などを聴いたり,アドバイスしたりしました。

 夕方,西鉄電車で帰る際には,お腹がぺこぺこでした。

2018年3月27日火曜日

和解成立



(谷川岳山頂・トマの耳)

 2月15日にアップした「ナイスな打ち返し」事案の和解が成立しました。

 同日の投稿では「次回までに裁判所から和解案が示される予定である。」としていました。

 3月5日,裁判所から和解案が示されました。相手方の請求額の3割程度を当方が支払う旨の案でした。

 理由が付されていて,概ね当方の請求が認められるも,当方にも問題がないわけではないというものです。

 われわれが事案を判断する際には,勝ち筋,負け筋,5分5分と分類します。神ならぬ人間が判断することですから,判決の予測にしかなりません。その場合,7~8割くらい勝ちそうな事案は勝ち筋,2~3割くらいしか勝ちそうにないときは負け筋,勝ち目が5割前後のときは5分5分です。

 本件については,勝ち筋であると予測していました。必ずしも同じ議論ではありませんが,請求額に勝ち目を積算した和解案が示されることは多いです。

 本件では予想どおり3割程度の和解案が示されたわけです。

 3月22日に和解期日が開かれました。和解案について,当方は了解をいただきました。相手方はなかなか納得できず,裁判官に自分たちの言い分を訴えていました。しかしながら,本人尋問も終了しており,裁判所の和解案は判決案とほぼ同じものです。
 それでようやく相手方も納得し,和解が成立しました。

 判決による解決は一刀両断であるのに対し,和解による解決は双方の実情が考慮される利点があります。本件解決も,なかなか妥当なものであると思います。

2018年3月23日金曜日

弁護士会議と研修


(谷川岳,天神尾根から)

 本日は,当事務所の弁護士会議です。
 
 定例の経営会議は,全体会議,弁護士会議,事務局会議にわかれていて,それぞれ月1回開催されます。

 それ以外に,年度初めに「春の研修」があり,理念の共有や年間方針の決定をおこない,あわせて研修をおこないます。また,夏と冬に半期の会議をおこないます。

 わが事務所は弁護士8人,事務局10人,計18人の事務所です。個々の事件は,個々の弁護士と事務局で対応しています。しかし,全体の経営方針などは全員で実情を共有し,全体で議論して決めていきます。

 ただし,全体会議となると,とくに事務局が意見を言いにくいところがあります。なので,弁護士と事務局にわかれて,それぞれの意見をまとめて全体会議で議論するようになっています。

 こうして本日は弁護士会議なわけです。弁護士会議では先月の経営状況(相談件数,収支など)を数字に基づいて共有し,当面の問題について協議します。

 研修もおこない,本日はわたくしが担当になっています。新人弁護士のMくんも入所したことだし,全般的な心構えを話そうと思っています。ベクトルを1度上向きにするだけで,10年,20年,30年弁護士として活動するうちに差が大きくでると思います。そのような話をしようと思います。

雪の谷川岳に登りました。


(谷川岳・トマの耳)

 雪の谷川岳に登りました。
 東京から近く,映画,小説の『クライマーズ・ハイ』等にでてくる有名な山です。

 ロープウェイで天神平まで,そこからは天神尾根づたいに山頂まで。
 快晴の真っ青な空のもと,雪の白さが際立っていました。

 雪山の危険性がいわれています。
 たしかに危険で,装備や技術など夏山とちがう世界ではあります。
 ですが,時期,山域,ルート,天候,雪の状態により,雪山の難しさは千差万別です。
 
 雪山の絶景,美しさを思えば,まったく行かないというのはあまりにももったいない。
 スノーハイクというジャンルがあり,雪上を散歩するかんじです。
 ここらへんからいかがでしょう?

2018年3月15日木曜日

離婚調停が不調に終わりました。



 きのうは離婚調停が不調に終わりました。
 入籍して2か月くらいの破局です。
 当方は夫側です。

 離婚については双方に争いはなく,争点は慰謝料の支払義務があるかどうかだけです。
 世によくある誤解ですが,離婚にともない当然に慰謝料が発生するわけではありません。

 慰謝料は,損害賠償の一部で,精神的な苦痛に関するものです。
 損害賠償請求権は,不法行為あるいは債務不履行といった違法行為の効果として発生するものです。
 不法行為がなければ,慰謝料も発生しません。
 たとえ離婚に至ったとしても,その原因が性格の不一致であれば,慰謝料は発生しないわけです。

 週刊誌などで慰謝料いくらと書かれていても,よく読むと厳密な意味での慰謝料ではなく,手切れ金,解決金,和解金の趣旨であることも少なくありません。
 これらは,一方当事者が不法行為をしたから支払うという性質のものではなく,紛争を早期・穏便に解決したいので,そのために支払うというものです。

 本件ではこれといった不法行為が存在しないけれども,相手方が慰謝料にこだわれたために不成立に終わったものです。
 調停が不調に終わったために,離婚訴訟をおこなうことになります。

2018年3月14日水曜日

遺産分割調停が成立しました。


 ある遺産分割事件の調停が成立しました。
 相続人は,伯父と甥2人の3人です。

 ある相続人の手許で行方不明となった預貯金がありましたが,半分くらい返金することで合意ができました。
 被相続人の生前,死後を問わず,行方不明の預貯金の処理はむずかしい。争いになれば,地方裁判所でその存否を争わなければなりません。
 本件では,地裁での結論予測やそこに至るまでの手間・ヒマ・費用などの衡量をもとに,上記解決ができました。

 特別受益・寄与分の主張はなかったので,遺産を3等分することに争いはありませんでした。

 問題は,遺産のなかに不動産が存在し,そこにある相続人の子どもが住んでいることでした。
 関係者のなかに,不動産が欲しくて,かつ,現金が用意できる人がいれば,その人が不動産を取得し,その余の相続人に代償金を支払うという解決ができます。たとえば,3,000万円の不動産をAが取得し,その代償として,AがB,Cに対し1000万円ずつ支払うという方法です。
 本件ではこれによることができなかったので,不動産を売却し,経費を控除した残金を3分の1ずつ分配することになりました。現在,不動産業者に依頼して売却中です。

 というわけで,調停が成立したものの,紛争全体が決着をみるためには不動産の売却をまたなければなりません。が,とまれ一応の中間点は到達です。

2018年3月13日火曜日

似ているけれどちょっとちがう(日本語ってむずかしい)


 筑紫地区の士業交流会でのこと。新人弁護士のMくんがあいさつをした。
 「・・世間知らずですが,よろしくお願いします。」

 う~ん。ふつうは
 「・・まだまだ未熟ですので,ご指導・ご鞭撻をお願いします。」

 似ているけれどちょっとちがう。
 後者だと,新人の強みである,これからの発展可能性やのびしろを強調したことになる。

 また,事務所会議でのこと。交代で1分間スピーチをやっている。その際,彼女とのおつきあいの状況を報告したのはよいが

 「・・先輩からも,女性とのおつきあいはいろんな経験ができると助言してもらいました。」

 しかし,実際のアドバイスは
 「・・女性と交際すると,世界が広がるよ」

 これも似ているけれどちょっとちがう。
 どこがどうちがうかはこの場では説明しづらい。みなさんで考えてください。
 でも先輩のアドバイスとしては後者のほうがすぐれていると思うが,どうだろう。

 日本語ってむずかしい。
 弁護士はその難しい日本語を相手にする職業のひとつだ。
 言葉に対する敏感な感性が要求される。
 文脈に対する配慮,対話相手の気持ちへの配慮がなくてはならないなぁと,あらためて自戒。

2018年3月12日月曜日

平家の太宰府落


 土曜日は玄海ロイヤルホテルで薬害C型肝炎の九州原告団総会と懇親会でした。

 日曜日は,同ホテルを出発して,宗像四塚(湯川山471m,孔大寺山499m,金山317m,城山369m)を縦走しました。
 300~400mの山なので,すこしなめてかかったら,たいへんな縦走でした。
 よく考えたら,標高を全部足すと1656m,上高地から槍ヶ岳なみの標高差があります。しかも,アップ・ダウンするので,上高地から槍に登って降りてくるのと同じ。たいへんなはずです。きょうは足がぱんぱんです。

 湯川山と孔大寺山をわかつ峠を垂水峠といいます。垂水峠は由緒あるところです。屋島の戦いに敗れた平家は,太宰府(親平家)に身を寄せていました。ところが源氏の意を受けた緒方三郎が攻めてくると聞いて,北九州方面へ落ちていきました。その際,通ったのがこの峠だとされています。

 「平家は,緒方三郎維義が三万余騎の勢にて既に寄すと聞こえしかば,取る物も取りあへず,太宰府をこそ落ち給へ。さしも頼もしかりつる天満天神の注連の辺を,心細くも立ち離れ,
 ・・・
 住吉,箱崎,宗像伏し拝み,ただ主上,旧都の還幸とのみぞ祈られける。
 垂水山,鶉浜などという,険しくそびえる難所を乗り越え,広く果てしない砂原へ赴きなさる。」(平家物語巻八)。

 峠から孔大寺山にむかって登っていると,「五位の石」があります。なんでしょう?
 やはり平家物語のなかに,醍醐天皇の宣旨にしたがい取らえられたサギが正五位を授けられたという五位鷺の由来が紹介されています(巻第五)。その類でしょうか?

 調べたら,安徳天皇を擁する平家の一行が難儀してこの岩陰で雨宿りすると,たちまち晴れたことから五位の位が授けられたらしい。なるほど。

 そう思って平家物語をもういちど読むと,峠をとおったのではなく,山越えをしたのかもしれないなぁと思いました。孔大寺山はむかし垂水山と呼ばれていたのかも。

 というわけで,バテバテながら楽しい山歩きでした。

 湯川山苦吟したるや初音かな

2018年3月5日月曜日

曲水の宴・参宴


 きのうは太宰府天満宮で「曲水の宴」でした。
 太宰府ロータリークラブの会長としてご招待を受けました。

 前日の午前中くらいまで雨予報,それが午後くらいから急遽,晴予報に。さすが天神さま,天気を左右することはお得意なのでしょう。

 汗ばむくらいの陽気のなか,まずは衣冠束帯の着付けから。
 十二単がたいへんだとはよく聞きますが,衣冠束帯の着付けもなかなかに。いちど着たら手洗いに行けないとのことで,参宴もさることながらそちらのほうが気になりました。

 着替え終えたころ,松本幸四郎さんが参宴されることが判明。
 いつもというわけではなさそうで,ラッキーでした。

 社務所を出発,裏道から参道にでて,太鼓橋から本殿参拝。それから文書館,曲水の庭へ。
 あちこちで高麗屋!のかけ声と女性たちの熱い視線が。

 曲水の宴の由来や作法などは他の機会に。
 自作の和歌を詠み上げていただくときはドキドキでした。

 非常に貴重な体験,よい思い出になりました。
 いろいろとご援助いただいた皆さま,ありがとうございました。

 せっかくだから,和歌のご紹介

 被災地の復興を祈念して

   遥けくも飛びきたるとふ梅の花
       匂ひおこせよ被災の地まで


 (春3月11日がまためぐってくるけれども,
被災地の復興はいまだ道遠いようだ。
  遥か遠く都から太宰府へ,そして千年の時を超えてきているという飛び梅の花よ,その超自然的なパワーでもって,東北,熊本・大分,福岡,台湾などの被災地まで,花を咲かせ,匂ひおこせよ,
そうして匂ひやかな故郷がふたたび興りますように。)

            平成30年3月4日・曲水の宴にて
太宰府ロータリークラブ会長  浦田 秀徳

2018年3月2日金曜日

財産分与



     (上福根山。ところどころ雪が残っていた。)

 いまようやく起案が終了しました。
 起案とは,裁判所に提出する文書案等を作成することです。
 離婚事件で,財産分与がおおきな争点になっています。

 財産分与。遺産分割のことを財産分与と呼ぶ人もいるけれど,離婚に際し,潜在的な夫婦の共有財産を清算することです。

 民法768条はこう定めています。
1 離婚をし者の一方は,相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について,当事者間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,当事者は,家庭裁判所に対して協議に代わる請求をすることができる。ただし,離婚の時から2年を経過したときは,この限りでない。
3 前項の場合には,家庭裁判所は,当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。 

 潜在的な夫婦の共有財産というと分かりにくい。けれども,たとえば,夫が働きに出て,妻が専業主婦の家庭などで,家や預貯金の名義が夫になっていることはよくあります。このような場合,たとえ夫名義ではあっても,いわゆる妻の内助の功により形成・維持されてきた財産なので,離婚に際し清算する必要があります。

 清算の対象は,あくまで夫婦で形成・維持してきた財産です。なので,婚姻前からの定期預金や,婚姻中の相続財産は,特有財産として,財産分与の対象とはなりません(民法762条1項)。

 ただし,夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は,その共有に属するものと推定されます(同2項)。なので,特有財産を主張する者は,この推定を破る立証が求められます。

 起案が終わった夫婦の場合,たくさんの不動産,金融資産をおもちです。そのような財産を形成できた原因としては実家の援助も大きい。なので,特有財産の主張が多くなされることになっています。
 そうなると,銀行取引の履歴を過去にさかのぼってお金の流れを主張・立証していくことにならざるをえない。それを文章で表現するので,なかなかにたいへんなのです。ふう。

2018年3月1日木曜日

はや弥生・3月



         (久連子山の洞穴中の氷筍)

 はや弥生・3月です。
 2月は昨夜の突風とともに過ぎ去っていきました。

 各地から梅の開花の便りがとどき
 ようやく春のおとずれです。

 先日は,一足はやく春のおとずれを楽しむために
 フクジュソウをたずねていきました。

 山のなかは,春と冬が同居しています。
 里にはフクジュソウが咲いていますが
 稜線に上がると雪が残っています。

 また久連子山頂ちかくの洞穴のなかには
 氷筍がいっぱい。
 ムーミンにでてくるニョロニョロのようでした。

 洞穴の天井から水滴がしたたり
 気温が氷点下になれば,筍のように成長します。
 気温が氷点上になれば,水滴が氷筍の先端を穿ちます。
 かくて写真のウツボのような不思議なオブジェが。