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2018年3月28日水曜日

当番弁護士出動


(谷川岳天神尾根から尾瀬方面をのぞむ。
中央が燧ヶ岳。その手前右が至仏山。
その間が尾瀬。
左手,ピークがわかりにくいけれども会津駒ヶ岳。)

 昨夕は,当番弁護士として出動し,博多警察署で接見してきました。
 当番弁護士は,身柄を拘束された容疑者(被疑者)の刑事手続上の権利を擁護し,弁護士の援助を受けるために,1度だけ無料で弁護士の派遣を依頼・相談できる制度です。

 きのうは昼間ロータリークラブの例会から福岡地方裁判所で和解協議をして,事務所に戻ったところ,当番弁護士の派遣要請が来ました。

 県条例違反の容疑でした。
 刑法違反とか覚せい剤取締法違反とか,いっぱんに刑事事件といえば法律違反が多いのですが,軽微な犯罪について条例による取締対象となっていることがあります。
 (守秘義務により,以下省略。)

 夕方は5時と6時から打合せが入っていたので,明日早朝に面会に行こうと思いましたが,6時からの打合せが早く終わったので,昨日のうちに行きました。

 昼間は一般面会(弁護士以外の家族等との面会)も行われるので,弁護士は早朝,夕方以降に接見することが多いです。

 手続の見通し(勾留が10日か20日か),処分の見通し(罰金か公判請求か,罰金だといくらくらいか)や,家族面会・差入れの希望の有無などを聴いたり,アドバイスしたりしました。

 夕方,西鉄電車で帰る際には,お腹がぺこぺこでした。

2012年12月12日水曜日

ひさしぶりの少年事件





ひさしぶりの少年事件
当番付添人だ。

成人のばあい当番弁護士だが
少年のばあいは付添人だ。

中学生の男子で
ぐ犯だ。

ぐ犯というのは,ほおっておくと
非行(犯罪)を犯す可能性が高いということだ。

成人とちがって,そういう少年も
立ちなおりのため,矯正が必要かどうか判断される。

といっても,メニューはすくなく
主に少年院か保護観察かだ。

(あと一時的に
試験観察という処置がある。)

少年院となると,半年か1年自由を奪われるので
おおきな違いがある。

もうすこしメニューが増やせないものだろうか
いつも思う。


南区にある少年鑑別所まで
面会にいく。

少年マンガでの描かれかたと異なり
鑑別所は必ずしも矯正施設ではない。

読んで字のとおり
少年の性格等を鑑(み)て,判別する施設だ。

それでも逃亡防止のため
ものものしい場所であることにちがいない。

窓口で申込書を書き
待合室でまつ。

職員が呼びにきて
2か所の鉄の扉の鍵を開け,面会室へ。

面会室で待っていると,さらに鉄の扉のむこうにある
収容棟から少年が連れられてきた。


非行少年といっても
当然のことながら,まだまだおさない。

語尾もはっきりせず
コミュニケーションがむずかしい。

発達の遅れ
だろうか?

何の発達が遅れているかというと
状況の認識や対人関係に関する能力だ。

状況の認識とか対人関係能力とは
場の空気を読み,うまくコミュニケーションするということだ。

先輩と話すときは
へりくだる。

話相手が自分や身内の病気の話をするときは
同情する。

等々,ときと場合によって
多様な対応が要求される。

この「ときと場合」を読み分けるのが
状況の認識能力だ。

このような認識ができないと
対人関係に支障をきたす。

どうしても
他人に不快な思いや困惑をさせてしまうから。

友人は減り
ますます社会生活が困難になる。

こういうケースで出くわすと
人間というのは実に精妙にできていると痛感する。

ふだんなにげなく生活しているが
そこでは実に複雑な情報処理がなされているのだ。


ひるがえって考えると
これは彼らだけの問題ではない。

一時,KY(ケーワイ)
という言葉がはやった。

K=空気が,Y=読めない
ということだ。

名のとおった大学を卒業しても
KYな大人はいる。

むしろ名のとおった大学ほど
KY度がたかいような気もする。

大学入試で問われるのは
筆記試験の成績だけだ。

空気を読んだり,対人関係能力を
問われることはない。

だから…


あ~きのうにひきつづき
きょうもグチになりそう。

このへんで
やめときます。

2012年3月7日水曜日

言霊の力 by.刑事事件にも取り組む福岡の弁護士



 例の寝言の研究をおこなった
 先月のパートナー会議でのこと(2月24日)。

 受任事件の一覧表をみながら,事務局Aさんが
 「さいきん,刑事事件がありませねぇ。」とぽつり。

 「ちょっと,待ったぁ,その一言!」
 と止めましたが,時すでに遅し。

 こういう一言が言霊のちからで
 刑事事件を呼んでしまいます。

 民事事件と異なり刑事事件,特に身柄事件は
 逮捕・勾留されていることから時間制限があります。

 また事務所まで来ていただいて打合せできませんから
 警察の留置場や少年鑑別所などに面会に行く必要があります。

 民事はお金の問題ですが
 刑事は自由が問題となります。

 さらに刑事事件は被害者がおられて
 謝罪や被害弁償も課題です。

 これらのことから
 刑事事件は一般的に気がおもいのです。

 そうしたなか,パートナー会議の翌25日は
 当番弁護士の担当でした。

 2件電話がかかってきました。1件は例の
 『ドラゴン・タトゥーの女』の最中にかかってきたやつです。

 2件とも受任することになったうえ
 翌26日にはもう1件,私選で受任することになりました。

 覚せい剤事件,道路交通法違反(酒気帯び)・窃盗の成人事件と
 道路交通法違反(共同危険行為)の少年事件です。

 筑紫野署,博多署と
 少年鑑別所。

 『ドラゴン・タトゥーの女』の最中にかかってきたやつは
 覚せい剤事件で否認していました。

 否認の理由は,自分で使用するつもりはなく
 他人から知らないうちに使用されたというものです。

 覚せい剤使用事案の場合
 尿の検査をして覚せい剤反応が出たことが前提となります。

 なので,無罪を主張するときは
 知らないうちにとか,無理にとかいう否認になります。

 おおくの否認はあまり説得力がないのが実情ですが
 本件は前後の事情からして真実と思われました。

 捜査機関としては,覚せい剤使用について故意があった旨の
 自白を獲得しようとしていました。

 こういう場合,弁護人としてできることは
 実はあまりおおくありません。やれることは

 面会回数を適宜増やして,事実と異なる自白をしないよう
 被疑者を励ますことに尽きます。

 結局は被疑者の言葉が
 捜査官の心をとらえることができるかどうかです。

 弁護人にできるのは
 それを信じて励ますことだけです。

 無実の罪に泣くことになるのかと心配しつつ面会をしていたところ
 先日,無事釈放されました。

 ひと安心。
 もう2件あります…。

                 ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳

2010年11月12日金曜日

 鑑真の末裔



 中国がいまよりずっと貧しかったころ
 数百人の中国人が船底に隠れて東シナ海をわたり
 福岡に大量密入国した事件がありました。
 (念のためネットで検索してみましたが検出できません。
 それくらい古いはなし)

 当番弁護士として出動しました。

 ふつうは1人を担当すればいいところ
 あまりに多人数なため福岡県弁の人手がたりず
 宇美刑務所に勾留されていた3人を担当。

 刑務所は、三郡山の麓・昭和の森手前を右に入ったところ
 酷暑下、ただでさえ狭い面会室で、通訳さんとともに面会。

 私の質問を通訳さんが中国語に翻訳して質問するので
 通常の2倍の時間がかかります。

 さらに3人を担当したので6倍の時間がかかりました。
 終わったときはもうくたくた。

 蛇頭から騙された人たちで、法外な渡航料を払っていました。
 密入国者といっても騙されたかわいそうな被害者。

 「ワイルドソウル」の衛藤一家
 「山椒大夫」の安寿と厨子王のような。
 (イメージ映像です)

 どうせ強制送還するのなら
 裁判などしない(処分保留)で
 強制送還すればいいではないか?
 といいましたが、検察官は聞き入れません。

 上陸する前ならそれでいいけれども
 上陸した以上は裁判で有罪にする必要があるのだとか。
 なんという形式主義。これぞ秋霜烈日。

 裁判を受けさせるとなると
 すくなくとも2か月は刑務所に未決勾留されたうえ
 有罪となれば前科者として帰国することになります。

 蛇頭に騙されたのだから密航とは知らなかったと
 密入国の犯意を争いましたが
 あっさりと有罪(その後、強制送還)。

 そんな経験に照らし
 今回の中国船による公務執行妨害事件の対応は
 なんたることかと思います。
 秋霜烈日どころか周章狼狽。

 那覇地検は船長をなぜ処分保留で釈放してしまったのか?
 まったく解せません。
 ちゃんと国民にわかるように説明してほしいと思います。

 たとえばパトカーに自分の車をぶつけるなど
 われわれ日本国民が公務執行妨害罪でつかまったとすると
 想像を絶するくらい厳しく刑事責任を追及されます。
 公務執行妨害は権力の沽券にかかわる問題だからです。

 私のような一介の弁護人の立場からすると
 弱者とみればどこまでも厳しく
 強者とみればあっさりと腰砕け
 検察権力の運用のあり方に強い義憤をおぼえます。

 中国とむやみに争えといっているわけでありません。
 友好は友好でちゃんとしてほしいと思います。
 隣国であり2000年以上のつきあいなのですから。  

 そういえば彼ら密航中国人の1300年ほど先輩
 鑑真和上も船底にかくれて東シナ海をわたる密航でした。
 密入国ではなく密出国でしたが(「天平の甍」)
 ときの政府は大歓迎したそうです。