2012年12月12日水曜日
ひさしぶりの少年事件
ひさしぶりの少年事件
当番付添人だ。
成人のばあい当番弁護士だが
少年のばあいは付添人だ。
中学生の男子で
ぐ犯だ。
ぐ犯というのは,ほおっておくと
非行(犯罪)を犯す可能性が高いということだ。
成人とちがって,そういう少年も
立ちなおりのため,矯正が必要かどうか判断される。
といっても,メニューはすくなく
主に少年院か保護観察かだ。
(あと一時的に
試験観察という処置がある。)
少年院となると,半年か1年自由を奪われるので
おおきな違いがある。
もうすこしメニューが増やせないものだろうか
いつも思う。
南区にある少年鑑別所まで
面会にいく。
少年マンガでの描かれかたと異なり
鑑別所は必ずしも矯正施設ではない。
読んで字のとおり
少年の性格等を鑑(み)て,判別する施設だ。
それでも逃亡防止のため
ものものしい場所であることにちがいない。
窓口で申込書を書き
待合室でまつ。
職員が呼びにきて
2か所の鉄の扉の鍵を開け,面会室へ。
面会室で待っていると,さらに鉄の扉のむこうにある
収容棟から少年が連れられてきた。
非行少年といっても
当然のことながら,まだまだおさない。
語尾もはっきりせず
コミュニケーションがむずかしい。
発達の遅れ
だろうか?
何の発達が遅れているかというと
状況の認識や対人関係に関する能力だ。
状況の認識とか対人関係能力とは
場の空気を読み,うまくコミュニケーションするということだ。
先輩と話すときは
へりくだる。
話相手が自分や身内の病気の話をするときは
同情する。
等々,ときと場合によって
多様な対応が要求される。
この「ときと場合」を読み分けるのが
状況の認識能力だ。
このような認識ができないと
対人関係に支障をきたす。
どうしても
他人に不快な思いや困惑をさせてしまうから。
友人は減り
ますます社会生活が困難になる。
こういうケースで出くわすと
人間というのは実に精妙にできていると痛感する。
ふだんなにげなく生活しているが
そこでは実に複雑な情報処理がなされているのだ。
ひるがえって考えると
これは彼らだけの問題ではない。
一時,KY(ケーワイ)
という言葉がはやった。
K=空気が,Y=読めない
ということだ。
名のとおった大学を卒業しても
KYな大人はいる。
むしろ名のとおった大学ほど
KY度がたかいような気もする。
大学入試で問われるのは
筆記試験の成績だけだ。
空気を読んだり,対人関係能力を
問われることはない。
だから…
あ~きのうにひきつづき
きょうもグチになりそう。
このへんで
やめときます。
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