2012年12月6日木曜日

『神去なあなあ夜話』





きのうジュンク堂にいったら
驚いた。

奥田英朗,伊坂幸太郎,吉田修一,村上龍ら
各氏の新刊(単行本)が平積みにされていた。

いずれ劣らぬ
好きな作家ばかり。

そのまえにも三浦しをんの新作を買い
読み始めたばかりなのに。

うれしい悲鳴をあげつつ,とりあえず
奥田さんと伊坂さんの新刊を買ってきた。


本の世界にも
クリスマス商戦なるものがあるのだろうか。

映画や音楽ではあったが
本ではなかったような気がする。

ま,12月はだれしも財布のひもがゆるむし
プレゼント月間であることも関係しているのだろうか。

ボクとしては夏枯れ期間をおかないで
みなで話あって出版をならしてほしいと思う。

1月は三浦さん,2月は奥田さん,3月は伊坂さん
…という具合に。

そのほうが
年中楽しめる。


さて,三浦さんの新刊は
『神去なあなあ夜話』(徳間書店)。

題名からあきらかなとおり
『神去なあなあ日常』のつづき。

 
 
 平野勇気,18歳。
 
 高校を出たらフリーターになるつもりが

 
 三重県の山奥・神去村で
 
 なぜか林業をすることに。

 
 なれない林業に悪戦苦闘するうち,いつしか
 なあなあな生活スタイルになじんでいく…。

という話でしたが,期待にたがわず『夜話』でも
それがなあなあとつながっていくのでした。


ちがいといえば,『日常』に対する『夜話』だけあって
セクシー感(広い意味。誤解なく)が加味されていることだろうか。

縦糸に,学校の先生・直紀さんとの
かたつむりの歩みのような遅々とした恋の進展。

横糸に,神去村の創世神話,山の神,ご先祖さまたちの霊
など神秘的・非日常的な世界との交歓が描かれている。

前者は三浦ワールドではめずらしくないが
後者はあれ?

これまで
こんなこと書いてたっけ?


山の神は山にのぼればどこにでもおわすが
その名もオオヤマツミさん。

オオヤマツミというのは,大山の神
大いなる山の神という意味で,そのまんまである。

日本神話(古事記,日本書紀)にでてくる
由緒ただしき神さまだ。


オオヤマツミは
木の花咲くや姫(コノハナサクヤビメ)の父。

彼女は天孫降臨したニニギの妻だから
天孫の義父にあたることになる。

オオヤマツミはコノハナサクヤヒメだけでなく
磐長姫(イワナガヒメ)も妻に差し出した。

ところが,イワナガヒメがブ○だったことから
ニニギは受けとりを拒否。

そのため,天孫の寿命が
磐のようにではなく,花のように短くなったという。


イワナガヒメがブ○だったという神話
神去村では,いまもいきいきと生きている。

実際,これをめぐって
村人が騒動をひきおこす。

ブ○と伏せ字にしておかなければならない理由は
読めばわかります。

ご一読ください。
(つづく)

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