三浦しをんさんの最新刊「木暮荘物語」
『まほろ駅前多田便利軒』
『風が強く吹いている』
『きみはポラリス』
『仏果を得ず』
『神去なあなあ日常』
(とくに、『風が強く吹いている』は大好き。
映画も観ました。)
これらさわやか青春系にくらべると
「木暮荘物語」は小暮れています。
小暮れた木暮荘における
生きるのに不器用な小暮れた人たちの恋愛に関する連作短編集。
宮部みゆきさんの「小暮写真館」は建物が小暮れていましたが
本作は登場人物たちも小暮れています。
「けっこう長引いた同居でしたけど、やっとお互い、清々しますね」
と、ニジコは言った。箸は忙しく、おかずと口を往復している。
ニジコの顔を正面から眺め、並木は尋ねた。
「本当に?」
「なにが?」
私たちの学生時代はこんな老朽木造建物がまだまだありました。
「ヘルハウス」がその極北(ポラリスとは真逆の意味)。
天井の破れ目から雪がちらつき、猫さえも凍死していた!
という都市伝説すらあります(箱崎で、都市ではありませんが)。
いまでは福岡県弁護士会をしょってたつ?
おおくの先輩受験生が溜まっていました。
その生態は堀良一弁護士の手になる
『ぼくらの司法試験おもしろ受験記』に活写されています。
(しかし、いまやこの本、アマゾンでも入手できないかも。)
私の借家はこれよりすこしマシ。
農家の納屋を改造したもので家賃9000円。
福岡空港の防音対策のおかげで防音サッシがとりつけられていたものの
窓以外のところは何らの対策もおこなわれておらず
おおくのすき間から騒音が苦もなく部屋に侵入してきていました。
(にもかかわらず女性が進入したという噂は聞いたことがありません。)
その改造納屋建築物では私が合格したあと
実力はないけど縁起だけは担ぎたい受験生が集まり
(あいつでも合格ったのだから縁起がいい!)
「第2のヘルハウス」と化したとか…。
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