2010年11月23日火曜日

 ヒメシャラ~祖母山の樹~



 祖母山中を歩いていると
 あちこちに目をひくオブジェが…
 とおもいきや
 ヒメシャラ。

 ほんとうに惹きつけられる樹影です。
 山中あちこちに床柱がたっているような。
 山の神の床の間でしょうか?
 
 ヒメシャラは姫・沙羅。
 沙羅は、あの沙羅双樹の沙羅。

 平家物語の冒頭に

 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす
 驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し
 猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ

 と出てくるやつです。
 (再来年の大河は平清盛)

 日本では沙羅はナツツバキのこととされています。
 (インドではちがうようです)

 お釈迦さまの入滅の舞台にふさわしい
 おごそかな雰囲気をかもしています。 

 ナツツバキより葉も花も小さいため「姫」沙羅。
 でも樹はごらんのとおりの大きさです。

 樹皮がすべすべしているためにサルスベリとも呼ばれます。
 さわるとひんやりとします。

 ふつう百日紅がサルスベリと呼ばれてますよね。
 考えてみれば
 百日も紅いきれいな花をさかせる美人に
 猿もすべるような近寄りがたい女とあだ名をつけるのは
 いかがなものでしょう?

 宝満でもみられるリョウブの樹もにていて
 やはりサルスベリと呼ばれることがあるものの
 ヒメシャラの方がお肌のすべすべ感が強いようです。

 豊玉姫がお肌のケアを怠らないせいでしょうか
 それともヒアルロン酸の多寡でしょうか? 

 そういうヒメシャラですが
 パイオニア的な性質を持ち
 やや荒れた森林によく出現するのだとか。

 ほろびの美をたたえた花をさかせ
 おごそかな雰囲気をかもし
 すべすべのひんやりとした肌をもち
 しかもパイオニア精神をもつ…。

 「ほれてまうやろ~」
  
 

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