2018年3月2日金曜日
財産分与
(上福根山。ところどころ雪が残っていた。)
いまようやく起案が終了しました。
起案とは,裁判所に提出する文書案等を作成することです。
離婚事件で,財産分与がおおきな争点になっています。
財産分与。遺産分割のことを財産分与と呼ぶ人もいるけれど,離婚に際し,潜在的な夫婦の共有財産を清算することです。
民法768条はこう定めています。
1 離婚をし者の一方は,相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について,当事者間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,当事者は,家庭裁判所に対して協議に代わる請求をすることができる。ただし,離婚の時から2年を経過したときは,この限りでない。
3 前項の場合には,家庭裁判所は,当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して,分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
潜在的な夫婦の共有財産というと分かりにくい。けれども,たとえば,夫が働きに出て,妻が専業主婦の家庭などで,家や預貯金の名義が夫になっていることはよくあります。このような場合,たとえ夫名義ではあっても,いわゆる妻の内助の功により形成・維持されてきた財産なので,離婚に際し清算する必要があります。
清算の対象は,あくまで夫婦で形成・維持してきた財産です。なので,婚姻前からの定期預金や,婚姻中の相続財産は,特有財産として,財産分与の対象とはなりません(民法762条1項)。
ただし,夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は,その共有に属するものと推定されます(同2項)。なので,特有財産を主張する者は,この推定を破る立証が求められます。
起案が終わった夫婦の場合,たくさんの不動産,金融資産をおもちです。そのような財産を形成できた原因としては実家の援助も大きい。なので,特有財産の主張が多くなされることになっています。
そうなると,銀行取引の履歴を過去にさかのぼってお金の流れを主張・立証していくことにならざるをえない。それを文章で表現するので,なかなかにたいへんなのです。ふう。
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