2011年6月8日水曜日

 一粒の麦が地に落ちて



 長男ドミトリー「あるがままのロシア」、次男イワン「ヨーロッパ主義」
 三男アレクセイ「民衆の原理」をそれぞれ表現しているとされました。

 そしてこの3つの思潮=トロイカについての検事の論告の結びの部分は
 こうです。

 「われわれの宿命的なトロイカは、ことによると破滅に向かって
 まっしぐらに突き進んでいるのかもしれません。そして、すでに

 久しい以前からロシア全土で、この気違いじみたがむしゃらな疾走を
 止めようと、手がさしのべられ、訴えがなされているのです。」

 この後におこったロシア革命という歴史的事実を知っているので
 どうしてもこの論告をそれと結びつけてしまいます。

 「ヨーロッパ主義」のイワンが語った「大審問官」の世界も
 その後にやってくるファシズム・全体主義を予見しています。

 キリストが荒野で悪魔から守りきった良心の自由、その重さに耐えかねて
 人間はこれを放り出して大審問官の手に委ねてしまいます。

 エーリッヒ・フロムのいう「自由からの逃走」という現象でしょう。

 それから半世紀後、ロシアでペレストロイカが起きます。
 ひょっとしてカラマーゾフのトロイカ論はそこまで予見していたのか!?

 これは誤解。ペレストロイカは、ペレス・トロイカではなく
 ペレ・ストロイカ(=リ・ストラクチャ)なので。

 現在、日本では大連立が議論されています。これが自由の重さに
 耐えかねたわれわれの自由からの逃走でなければよいのですが。
 

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