2011年6月13日月曜日

 賃料の増減をめぐる紛争



 この間、賃貸借をめぐるご相談がおおかったので
 すこし解説させていただきます。

 家を知人や親族に無料で家(あるいは土地)をお貸しするのが
 使用貸借です。

 さらに月々7万円とかの賃料をいただくのが
 賃貸借です。

 どちらも借主に居住権が生じますが
 賃貸借の借主の権利のほうが強いです。

 必ずしも契約書は必要ありません。
 現に居住していて月々の賃料を支払っていれば、賃貸借の存在ありです。

 賃貸借は民法のほか、借地借家法により
 その大きな柱が決められています。

 契約書に定めがなければ民法の規定によりますし
 契約書に定めがあっても借地借家法により修正を受けます。 

 桃や梅は天然果実というのに対し
 賃料は法定果実といいます(民法88条)。

 賃料は契約のときに決めるわけですが
 年月がたつうつに実情とあわなくなってきます。

 そうなると、大家さんのほうから賃料の増額を請求したり
 店子さんのほうから賃料の減額を請求したりします。

 経済と土地価格と固定資産税が右肩上がりの時代は
 賃料増額請求が一般的でした。

 こんにち、デフレで右肩下がりの時代となり
 賃料減額請求のご相談も増えています。

 さてここからが少しややこしいのですが
 店子さんから賃料減額請求のご相談を受けたとします。

 いままで月額7万円の家賃を支払ってきたものの
 近所では5万円のところがほとんどだから減額したいというものです。

 このばあい、まず、家主さんに来月分から5万円にする旨通告します。
 家主さんがOKしてくれれば、それで減額になります。 

 でも家主さんがOKしてくれなければ
 当面、賃料は7万円ずつ支払っていく必要があります。

 そうしないと、賃料不払いで
 契約を解除され、建物の明け渡しを要求されてしまいます。

 そのときは、賃料増額の調停・裁判を起こす必要があります。
 調停・裁判の結果、増額となれば通告のときにさかのぼって減額に。

 いくらが適正賃料なのかは、最後は不動産鑑定士が決めます。
 不動産の投資価値や近隣賃料との比較などを材料にします。

 最近では一棟のアパートでも、入居の時期によって賃料が違ったり
 するので、素人にも賃料の違いが見えるようになっています。

 昨今のように景気が悪くなると
 大家(貸主)さんも店子(借主)さんも賃料にセンシティブになっています。

 それが賃料の増減をめぐる紛争に関する
 ご相談が増えている原因です。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿