2016年2月23日火曜日

ヤドリギ(寄生木)



 福岡市美術館の裏で寄生木が金色に輝いていた。
 冬枯れの樹に葉を輝かすヤドリギは,強い生命のイメージを喚起するのだろうか。
 社会人類学の古典,フレイザーの『金枝篇』の金枝はヤドリギの枝のことだ。
 
 フランスでは,ヤドリギを新年に飾るらしい。
 先日読み終えた『失われた時を求めて』にも出ていた。
 「木々は固有の生命によって生き続けていて,葉が落ちた後でも,木々の命は幹を包む緑色のビロードの鞘の上や,ポプラの梢に点在する寄生木の球体の白い琺瑯質の中で輝く・・」(光文社・高遠弘美訳)
 
 わが国でも万葉の時代,寄生木を頭にかざすと,いく久しき寿を呼ぶと信じられていたようだ。
  あしびきの 山の木末の 寄生取りて
  挿頭しつらくは 千年寿くとぞ
                   大伴家持

 ケルト神話でも,幸福・安全・幸運をもたらす聖なる木で,非常に縁起がよいのだとか。
 こうして,ヤドリギの下では女子は男子からのキスを断らない風習が生まれたらしい。

 先日BSで,サンドラブロック主演の「あなたが寝ている間に」という映画を放映していた。
 そのなかで,この風習が紹介されていた。
 現代アメリカでもそのように信じられているということだろう。

 ちくし法律事務所も,寄生木のような存在でありたいと思います。

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