さいきんの労働相談で顕著なのは○○ハラに関する相談が増えていることだ。セクハラ、パワハラ、モラハラ・・・。
そんななか、4月から中小企業でもパワハラ防止対策が義務化される。パワハラとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいう。
具体的には
(1)身体的な攻撃 暴行や傷害など
(2)精神的な攻撃 人格を否定するような言動、名誉毀損や侮辱、暴言など
(3)人間関係からの切り離し 仲間外しや無視など、職場での孤立を招くもの
(4)過大な要求 業務上不要なことや不可能なことの強制など
(5)過小な要求 程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること。
古典的な不法行為、あるいは違法行為は(1)身体的な攻撃、暴行や傷害などであった。しかし、その後、このような物理的・身体的なものではないけれども、やはり違法だという態様が認識されてきた。
これを見て思いつくのはマズローの法則だ。人間の欲求には生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求(所属と愛の欲求)、承認欲求、自己実現の欲求の5段階がある。
(5)などは一見、たいして働かなくても給料をもらえるのであればよいように思える。国鉄が民営化される際、国労の組合員に草むしりなど意義のない仕事を強制させたという。しかし人間やはり働きがいも大切だ。意義の見いだせない仕事は苦痛以外のなにものでもない。
わが事務所でも、パワハラは絶対禁止だ。まずは相談窓口を明らかにし、就業規則の改正を改正し、5月には研修(啓発)を行うことになった。
研修(啓発)にあたっては、コミュニケーションの希薄化などといったパワハラの発生原因や背景についての理解を深めることが重要であるという。
うちの職場は弁護士9人、うち男性7人、事務局(秘書)11人、全員が女性である。こうした職場で、われわれ男性年長者が難しく思うのは、(6)の私的なことに過度に立ち入るなという要請と、このコミュニケーションの希薄化を避けよという要請のバランスというか境界だ。
どこからが「過度」なのか、よく見えない。ついつい地雷原には足を踏み入れないよう萎縮してしまう。すると、コミュニケーションが希薄化してしまい・・・。だれかうまいこと教えてくだされ。
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