2022年3月30日水曜日

「カムカムエヴリバディ」


  NHKの朝ドラはいよいよ最終回がちかづいてきた。大正時代から現代まで母娘三代(上白石→深津→川栄)の悲喜劇を描く。

深津は回転焼屋を営んでいるが、ライバルとして「団子3兄弟」の曲が流れる。この曲がヒットすると客が回転焼から団子に流れてしまう。でもドラマのほうも曲にあわせて、上白石、深津、川栄の時代のいろんなエピソードが串団子のように一本にまとまる展開になってきた。

「カムカムエヴリバディ」はわが事務所のスローガンとしてもぴったり。昭和の時代、稲村弁護士は裁判所前の門前町を離れ、お客さまのなかに飛び込んた。それまで福岡市内の赤坂や城内に事務所をかまえ、来られる人は来なさいというやり方だった。それを180度転換し、カムカムエヴリバディというやり方に変えたのだ。

虚無蔵さんの名セリフも、若手弁護士に聞かせたい。

「日々鍛錬し、いつ来るとも知れない機会に備えよ」

虚無蔵がこのセリフを言うと、アーヴィングの『オウエンのために祈りを』を思い浮かべてしまう。主人公2人は何の役にたつともしれぬスラムダンクの練習に日々励む。このような日々の鍛錬が意味をもつ日は来るのか。

むかし駆け出しの弁護士だったころ、水俣病の裁判で会場の場所とりや弁当の手配など、弁護士の仕事とも思えぬ下働きをやらされていた。その後、ハンセン病裁判を主導するようになった。下働きを一緒にしていたK弁護士は「この日のためにやっていたんだ。」としみじみと言った。後になって下働きの経験が役にたったのである。

カムカムでは母娘三代にわたり、あんこを作っている。その場合のスタンスが他のあんこ屋さんと違っている。人間側の都合ではなく、徹底してあずきの側に立っている。その呪文。

「あずきの声を聴け、なにゅうしてほしいか、あずきが教えてくれる。
おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ・・・」

当職の弁護士としてのモットーは「人事を尽くして天命を待つ」である。人事を尽くす際には、やはりおなじように祈っている。「よい結果になれ、よい結果になれ、よい結果になれ」。

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