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2024年3月27日水曜日

弁護士の使命(1)

 

 ことし、わが事務所に新進気鋭の岡田弁護士が参画した。これで8人の弁護士、うち3人が女性という構成(37.5%)になった。まだまだというご意見もあろうが、社会一般、弁護士会全体の女性参画割合に比しまずまずの達成だろうと思う。

いまいろんな研修を受けてもらっている。思えばむかしは荒っぽかった。新人弁護士の研修制度など存在しなかった。「事件に飛び込んで自分で覚えろ」という感じ。

時代状況もある。ある先輩など、初めての仕事が2,000人の人々に対して演説をすることだったらしい。

自分が入ったころ、唯ひとりの先輩弁護士である稲村弁護士は事務所にいなかった。長崎じん肺訴訟をはじめとする数々の困難訴訟に取り組み、全国各地を飛び回っていたからである。

当職がはじめて手がけた事件は、近所の工務店の社長さんから依頼を受けた動産執行事件だった。動産執行とは建築資材等の差押えだ。

ご多分にもれず稲村弁護士は事務所にいない。事件処理の方法ほか、費用をいくらにするのかなどまったく五里霧中であった。弁護士費用を告げたときには、声がふるえた気がした。

それに比し、いまは研修制度が手厚く存在する。まずもって弁護士会が新人弁護士に対して多くの講座を用意している。わが事務所としても、多数のメニューを用意している。

まずすべての事件について、先輩弁護士と共同受任する。そして相談の仕方、受任の仕方、職務の遂行の仕方について、個別具体的な事件を通じて学ぶことになっている。On the Job Training(OJT)だ。そして少しずつ自立・自律をはかることになる。

あわせて座学も用意している。7人の先輩弁護士からのマンツーマン教育だ。4人の若い弁護士からは、交通事故事件や離婚事件のノウハウの話がなされる。こうして秘伝の必殺技も伝授される(かもしれない)。

残る3人の先輩弁護士からなされるのは、もうすこし高尚な話だ(いや、そのはずだ)。当職に振られた話題は「大規模集団訴訟について」。このことはすなわち「弁護士の使命」について話すということだ。

                                  つづく

2022年3月9日水曜日

『桐竹勘十郎が魅せる人形浄瑠璃 文楽の世界』

 

 昨夕は『桐竹勘十郎が魅せる人形浄瑠璃 文楽の世界』@博多座。昨年10月重要無形文化財(人間国宝)に認定された桐竹勘十郎さんの語りや人形遣い。

①文楽の三業とは。②桐竹勘十郎インタヴュー。③「二人三番叟」の三部構成。会場と一体となるよう気配りがなされていた。

文楽は太夫、三味線、人形遣いの三業から成る。それぞれの芸の見せどころ、見どころの解説。太夫は多様な登場人物の声の使い分け、三味線は喜怒哀楽の音の違い、人形遣いは3人で操作するのでそれぞれの勘所とは。

つぎに桐竹勘十郎さんのインタヴュー。1953年生まれだから、稲村弁護士と同世代。1967年中学2年のときにデビュー。当時は人手不足で、若いというだけでいろいろやらされたとの昔話が興味深い。

やはり人間国宝だった父の名跡を襲名。披露公演は『絵本太功記』。師匠や兄弟子らもバランスよく活躍できるのがよい演目なのだそうだ。なるほど。

関西人らしく、いろいろ笑える企画にチャレンジされている。コロナ禍対応の動画づくりはその一つ。人形が器械に向かって検温する場はいちばん笑えた。

〆の演目は二人三番叟。これは二つの人形が並んで演技することになるので、人形遣いのうまい/下手が左右対比しながら観察できる。比らべられる若手のほうもたいへんなプレッシャーだ。

われわれの仕事もこのようにして年配者と若手が競うようになれば、互いによい刺激になるだろう。そういう場がないわけではない。集団訴訟の証人尋問や意見陳述などがそう。だから、若手はどんどん集団訴訟に参加し、そこで鍛われればよいのだ。

2021年12月13日月曜日

和歌山講演

 


 メトロポリタン美術館展をみたあとは和歌山へむかった。高校までは岸和田、泉佐野で育ったので懐かしかった。天王寺、堺、三国ヶ丘、東岸和田、日根野・・・。思い出ぶかい地名ばかりだ。

ご依頼はある法律家団体幹部の全国ミーティングにおける特別講演、名誉なことだ。これまでの弁護士経験を踏まえて、大規模被害からの権利回復に関する訴訟・運動論を話した。

参加は20~30人くらい、あとはオンライン参加だ。難しい訴訟と運動をたたかっている人たちだから、とても熱心。話していて気持ちがいい。質疑も要点をついていて、日ごろの苦労がしのばれる。

講演後は和歌山城を散策した。大きなイチョウの樹が黄葉している。地元の人たちが行く秋をしのんでいた。

その後、岩出へ向かった。岩出といわれても知らないだろう。和歌山から紀ノ川を東(高野山)の方に10キロメートル余、遡上したところにある。紀ノ川は有吉佐和子の小説の題名でもある。夕陽に映え、輝の川になっていた。

そこで高校の同級生がフレンチの店を経営している。和歌山での講演がきまったときに、いちど顔をだしたいと連絡した。そうしたら、同級生に声をかけてくれて、ミニ同窓会を開いてくれることになった。

岸和田から岩出まで車で1時間くらい。そう近くもないが、集まってくれた。遠く枚方や茨木からも参加してくれた。オミクロン株の感染拡大がいわれつつも、感染者数が落ち着いていることもあり、美味しく楽しいひとときを過ごすことができた。ありがたい。

2021年1月25日月曜日

「弁護士生活40年を振り返って」連続学習会

 


ちくし法律事務所では現在、所長の稲村晴夫弁護士を講師として連続講座・勉強会を開催中です。題して「弁護士生活40年を振り返って」。弁護士9人、事務局11人が参加して学習しています。

第1回は、昨年12月11日「私と集団訴訟活動」。筑豊じん肺、長崎北松じん肺訴訟について話がありました。

第2回は、「私と地域における弁護士活動」。筑紫民商会員に対する筑紫税務署の不当課税取消訴訟、甘木市における産業廃棄物最終処分場建設反対訴訟、春日市長に対する住民訴訟、県営山神ダム上流の産業廃棄物処分場操業停止と許可取消を求める住民運動、筑紫野市山家地区における汚泥の処理施設の建設差止・操業停止・許可取消を求める住民運動、筑紫野市山家・御笠地区における産業廃棄物の中間処理施設(焼却施設が主)の建設に反対する住民運動について話がありました。

第3回は、2月19日に予定しています。テーマは一般事件のたたかい方。一般事件においても、暴力団、総合病院・専門医、行政や裁判所・裁判官に対しても敢然とたたかいを挑み、依頼人とは徹底的につきあう姿について話があります。

当事務所も弁護士9人、事務局11人の事務所となり、地域のニーズに応えつつ、大規模訴訟にも参加して活躍することが要請されています。学習会をきっかけに、さらにこれらニーズに応えていきたいと思います。

2012年2月15日水曜日

『薬害肝炎裁判史』



 (霧氷。ライオンの親子にみえませんか?)

 きょうは午前10時30分から福岡地裁で
 薬害肝炎の個別救済に関する期日があります。

 私が担当していた原告さんの和解も
 成立する予定です。

 ながくかかりました。
 その理由はこうです。

 被害者はある大学病院で心臓の手術を受け
 その際に、フィブリノゲン製剤の投与を受けました。

 いわゆる糊としての使用で
 臓器の接着剤として使用されたケースです。

 おなじようなケースが
 その時期にもう一例ありました。

 問題は、これらの使用時期が新製品の販売時期と
 かさなっていたことです。

 新製品では加熱処理がなされていたため
 肝炎ウイルスに感染する危険性は少なかったとされます。

 そのため、被告の国と企業から
 新製品が使われたとの反論がなされました。

 当時の執刀医の大学教授も
 国や企業側に立って、新製品だったと証言しました。

 執刀医がそう証言したのですから
 絶体絶命の危機です。

 でもわれわれは、執刀医の証言が他のカルテの記載と
 矛盾することをつぎつぎに明らかにしました。

 その結果、裁判所から和解勧告がなされ
 本日、無事に和解が成立する運びとなったわけです。

 というわけで手前味噌ですが、きょうのお奨めは
 薬害肝炎全国弁護団による『薬害肝炎裁判史』(日本評論社)。

 私もⅢ 運動、第1章 全面解決を求めて
 第1節 集団訴訟における運動の意義(218頁以下)

 第2章 薬害肝炎救済法の制定(298頁以下)
 を書いていますし

 Ⅵ 座談会(366頁以下)にも参加していますので
 興味のある方はご一読くださいませ。