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2022年3月3日木曜日

白銀の安達太良山

 




 東北遠征の最終日は、安達太良山。やはり日本百名山である。

ひとくちに雪山といっても、厳冬期なのか残雪期なのか、日本海側か太平洋側かなど条件により、難しさはさまざまである。

2月は厳冬期なので、一般には天候が安定せず、むずかしい。東北遠征はいちおう4峰を計画しているものの、まあ2峰に登れれば御の字と考えていた。蔵王、西吾妻、磐梯と3日連続で登り、疲れもたまってきていた。

天気は、前々日まではC判定であった。ところが、前日夕方になってA判定に急変した。これはもう呼ばれているにちがいない。

山は高村光太郎の『智恵子抄』で有名である。駅前には智恵子の像がたち、青空を指さしている。途中、「この上の空がほんとの空です」と書かれた道標もある。夏場には女性に人気の山である。

智恵子のお告げのおかげか、快晴になった。青が濃く、安達太良ブルーである。山頂付近は西風の厳しさをうかがわせるエビのしっぽだらけだった。道標もエビのしっぽに襲来されて、判読できない。

安達太良山は別名、乳首山という。由来は、山頂部の形状にある。最後の写真を参照してほしい。解説は省略。東北には乳頭温泉もある。よほど好きなのだろう。

2022年2月25日金曜日

白銀の磐梯山


 



 3つ目は磐梯山だ。やはり日本百名山。こんかいの旅の本命である。いままでに2度、冬期登山に挑んできたが、いずれも途中撤退している。入山者がすくなく雪が深いためである。去年は緊急事態宣言のため、遠征自体を中止。4年越しの挑戦だ。

前日の天気予報はA判定。ただし、午後までくもり、その後晴、夕方から崩れるというものだった。いままでは南側、猪苗代湖のある側からアプローチしていた。こんかいは、北側、裏磐梯方面からアプローチすることにした。

5時起床、郡山駅を5時55分発の列車で、盤越西線を西に向かう。車窓は雪景色のはずだが暗くて見えない。谷間をぬけると、左手に猪苗代湖があり、右手に白銀の磐梯山が見えてくるはずだが、きょうはガスがかかっていて見えない。南岸低気圧から南風が吹き込んでいるせいだろうか。

タクシーで裏磐梯スキー場へ向かう。除雪がしっかりされている。タクシーの運転手は話好き。ことしの雪の状況、最近のスキー場経営、スキー客の動向など細々と教えてくれる。

7時8分スキー場をスタート。営業は8時30分からで、いまは圧雪中である。ワカンを装着する。ゲレンデの左側をじゃまにならないよう登っていく。

視界は100メートルくらいか、ガスがかかっている。他に登山者は見当たらず、きょうのトップ(先頭)のようだ。

ゲレンデトップまで行くと、標識があり、いよいよ登山道に入っていく。うっすらと雪が積もっているがトレースは分かる。その下の雪はよく締まっていて、踏み抜くということはない。

いちばん上の写真は裏磐梯の写真。むかしは小磐梯という山があったが、爆発で吹っ飛び、いまは火口原になっている。右上が桧原湖、その右が五色沼。その先にきのう登った吾妻連峰が見えている。

ゲレンデトップは写真中央のやや上のあたりだ。しばらくは樹林帯をなだらかに登ったりおりたりする。そして火口原にでる。

行く手には磐梯山の火口北側壁がそびえている(2つ目の写真)。手前側の山体がふっとんだのだから、火山のパワーは半端ではない。左側のギザギザが天狗岩である。

これをまっすぐ登るのは斜度がきつくてできない。左手に尾根があるので、そこから登る。それでもそうとうの急坂である。ワカンをアイゼンに履き替える。

尾根の左手には櫛が峰がそびえている(3つ目の写真)尾根を登っていくと、写真の左側あたりの稜線にでる。先行者がいないため、トレースがはっきりしないところもある。

火口壁にそって稜線を時計回りに4分の1周すると、いよいよ磐梯山の本峰が姿を見せる(4つ目の写真)。右手のトンガリが天狗岩である。

写真をよく見ると分かるのだが、あと4登り必要である。崖や雪原もある。弘法清水という夏小屋があるところからがとりわけ急だ。夏であれば低木の下をくぐるところ、雪がしっかり積もっているので、低木を覆いつくしている。

ようやく山頂だ。4年越しの念願、雪の磐梯山頂を踏むことができた。でもガスガス。本来なら南側に猪苗代湖の絶景がひろがっているのに、この日は見えず。残念。

帰りは来た道を戻る。この日の登山者は4パーティ5人。自分以外は若者たちだった。登り始めはトップだったが、ここらあたりでどんどん抜かれ、弘法清水から先は最後になってしまった。最後というのは非常に不安。なんかあったときに助けてくれる人がいないから。

それでも天気は回復傾向にあり、ときおり青空がのぞく。心も晴れやかだ。夕方から崩れるという予報だったが、なんとかもちそうだ。

猪苗代駅から郡山へ戻る。帰りの電車は会津若松方面からの観光客でやや混雑していた。郡山から東北本線で北上し、福島で宿泊。

2022年2月24日木曜日

白銀の西吾妻

 




 2日目は西吾妻をめざした。吾妻連峰はやはり日本百名山である。

翌日も天気予報はB→A判定だった。東北の雪山の天気が二日つづけて良いというのも珍しい。事前の天気予報では週末、南岸低気圧が通過し、東京には雪が降るだろうという予報だったが。

米沢駅前から上杉神社前を経由してバスで湯元駅をめざす。車窓はすでに雪景色だ。車中は10人ほど。米沢の人が3人、その他が7人である。

ロープウエイ前にはもう列ができている。列に並ぶ。キップを購入。30分以上待った。いちどに15人しか進まない。30人乗りのロープウエイだが、人数制限されている。

天元台高原駅でロープウエイを降りる。そこからゲレンデのリフトを乗り継いで北展望台駅。2つ目のリフトは一時故障で停まっていたが10分ほどで運転再開。降りると、10人ほどがワカンやスノウシューを装着している。

雪山は危険であると忠告してくれる人がいる。でもスノウモンスターを見てみたいという人もいる。西吾妻のばあい、ここまでは雪山の装備がなくても来られる。帰りもリフトを利用することができるからだ。

とりあえずつぼ足で登ってみる。樹林帯。中大テンの急坂。しばらく行くも、つぼ足では無理。ワカンを装着する。雪はよく締まっていたので、アイゼンのほうがよかったかもしれない。

稜線に出る。地図によれば、西吾妻山方面に展望が開けるはず。だがガスガスである。1人先行している。その人に付いて行く。すこし下ると樹氷原。両側にリトルスノウモンスターが出迎えてくれる。蔵王はスノウモンスター。西吾妻は低木なので、リトルスノウモンスターなのである。

小ピークを超すとまた樹氷原。梵天岩にとうちゃこ。おじさんが3人休んでいる。なまりから地元の人である。しばらく休んで再出発。おじさんたちの一人についていく。GPSを頼りに先行する2人とは違うコース。まっすぐピークをめざす。

山頂がちかくなり、直登はきつい。左側に巻く。するとなんと、天気が回復していく。ガスガスだったのに、ときおりピークが見える。先行者が手を振っている。

西吾妻のピークは尖っておらず、平原状である。どこがピークかなとぐるりと回ると、5人ぐらいのグループが集合写真を撮っている。きっとあそこがピークにちがいない。山頂は雪に埋もれて、標識も見えない。

さらに南側でみな記念写真を撮っている。スノウモンスターがガスガスの向こうに見えている。じぶんも撮ってもらう。ほんとうであれば磐梯山が見えるはずだが、見えない。

そうこうしていると、なんと晴れてきた。すごい。歓声があがる。あっというまに青空がひろがる。山は早立ち、早着きが基本だが、こういうときは先行者は損をする。仕方がない。

同じ途を戻る。来る際にはガスガスで見えなかったが、東のほうも見え始める。北には米沢の盆地が見えている。その向こうは朝日連峰か。素晴らしい。来て良かった。

吾妻も連峰である。夏なら東のほうから西へ縦走するのがお奨めだ。雪山では難しいので、西吾妻だけを楽しむのがお奨めだ。ただし、西吾妻はのっぺりしているので、道迷いをしやすいと言われる。無理は禁物だ。

米沢駅に戻り、郡山に向かう。在来線は不便である。山形新幹線を利用する。新幹線と言っても、在来線を利用し、特急に毛がはえたようなものである。右手に吾妻連峰、左手に蔵王連峰の谷を抜けていく。福島で東北新幹線と合流する。西に吾妻連峰が輝いていた。

2022年2月22日火曜日

白銀の蔵王連峰

 


 先週末の連休は東北遠征にでかけた。いずれも日本百名山の蔵王、西吾妻、磐梯、安達太良の4峰を冬期いちどに登ろうという贅沢な計画だ。

天気予報はめまぐるしく変わり、3日前はC判定、2日前はB~A判定、前日はA判定という具合。

他方、新型コロナの蔓防も気になった。ピークを過ぎ、前週の感染者数より減少傾向をみせていた。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長とは意見を異にすることが多い。だが、「人流制限から人数制限へ」と言われたときは、わが意を得たりと思った。

雪山じたいは人がすくなく、感染の機会はほぼゼロ。問題は途中であるが、飛行機や公共交通機関において感染対策がなされているのであれば、感染の機会はほとんどない。などと心のなかで葛藤しつつ出かけた。飛行機はずいぶん前に早割で購入しているので、解約がむずかしいし(解約手数料をとられるときと、とられないときがある。ややこしい。)。

さて、福岡空港から仙台空港へ飛ぶ。JRの空港線、仙山線を乗り継いで、前日は山形泊。駅を降りると雪が舞っていた。

翌朝、バスで蔵王温泉をめざす。家族連れなどまずまずな人出である。スキーヤー、スノーボーダー、登山者が各3分の1という割合か。

小1時間でバス停。そこからロープウエイ乗り場まで10分ほど歩く。スキー場が複数あり、間違わないようにしないといけない。列になっている。30分ほど並ぶ。

ロープウエイを乗り継ぐと、車窓からスノウモンスターたちが見えた。むかし樹氷、いまスノウモンスター。ここはムーミン谷か。いちどニョロニョロにみえてしまうと、もうそれ以外にはみえない。

山頂駅に着いた。ガスガスだ。でもスノウモンスターたちの迫力はすごい。登山者のグループがつぎつぎと出発していく。あわててワカンを装着する。

30分ほど登ると地蔵山に着いた。1736メートル。やはりガスガスだ。それでもみな快哉をさけび、たがいに写真撮影に興じている。

さてここからどうするか。ガスガスだし、道迷いしないだろうか。でもみなつぎを目指して出発していく。天気は回復傾向にあるとの天気予報を信じて出発する。

地蔵山から先しばらくは稜線になっている。しばらく行くと、どんどんガスが晴れていった。真っ青な空が広がった。ひゃっほー。あちこちで歓声があがる。蔵王ブルー。高山では空気が澄んでいるので、青が濃い。スノウモンスターたちも青く輝く。

そこからいったん下って登りかえすと熊野岳。蔵王連峰の最高峰1840メートル。日本百名山である。

天気はめまぐるしく変化した。山頂ではやはりガスガス。御釜も見えない。刈田岳へ行くのはやめて引き返す。

山形駅から米沢をめざす。車窓左手に蔵王連峰が輝いている。しばし行くと平野が広がる。米沢だ。大河ドラマ「天地人」で、妻夫木くんたちが転封されたところ。

夕食は米沢牛でもいただこうと街を散策した。店頭でメニューを拝見するとけっこうなお値段である。なんちゃってですませることにした。