2015年12月25日金曜日

法律相談の効果(解決方針について)

 


 法律相談は,相談するだけでも意味があります。
 
 まずカウンセリング効果があります。
 頭のなかや胸のなかに渦巻いていた不要なガスが抜けます。

 いわゆるいっぱいいっぱいの状態だと
 頭が働きません。

 つぎに片付け効果があります。
 部屋のなかのものを持ち出さなくとも整理すればすっきりします。

 整理がつかないと
 おなじところをグルグル回転することになります。

 思考力回復効果。充満するガスが抜け,部屋が片付くと
 自分で考える力が回復します。

 問題によっては
 これで法律相談終了ということもあります。


 法律相談の結果,解決方針をたて
 それを説明(アドバイス)します。
 
 解決方針は,当方の思いどおりに
 その場で一挙解決というわけにはいきません。

 一般的に複数の選択肢になります。
 どの選択肢も一長一短ということになります。
 
 右の道を行くと,遠いけれども比較的安全
 左の道を行くと,近いけれども比較的危険というように。

 クライアントのニーズや意欲に応じて
 どちらかの選択肢を選択していただくことになります。

 
 選択肢のなかには,積極的に攻めるもののほか
 静観する,経過を観察するというものもあります。

 時宜をまつとか,守るほうが楽だとか
 証拠上や,社会・心理的ないろいろな理由があります。

 紛争解決は人生の一部ですから
 クライアントの価値観や意欲・姿勢にも大きく左右されます。


 この点でも数学の問いと答えとは異なるわけです。
 答えは一つではなく,おなじ答えでも満足度が異なりえます。

 いずれにせよ前向きに選択することが
 後の満足度を高めることになります。

2015年12月21日月曜日

法律相談のしかた④




 「バラエティー生活笑百科」や「行列のできる相談所」など
 法律相談に関する番組がいくつか放送されています。

 これらの番組をみていると
 法律相談のイメージをつかみやすいでしょう。

 でも,どちらの番組を主にみているかによって
 法律相談のイメージにズレをしょうじるかもですね。

 前者の番組をみている人は
 正解はひとつと思いやすくなると思います。

 後者の番組をみている人は
 人によって正解が違うと思われるのではないでしょうか。

 これは番組の作り方や
 お題(問題)の選択とも関係しています。

 正解が一つになりやすい問題を出して
 一件落着を狙う予定調和な番組

 議論がわかれそうな問題を出して
 甲論乙駁を狙うダイナミックな番組

 どちらかというと,実際の法律相談は
 後者のダイナミックな感じでしょうか。


 法律問題は法律家のあいだで
 ほぼ意見が一致する問題があります。

 他方,法律家のあいだでも
 意見がわかれそうな問題もあります。

 それでも政治家の議論とはちがい
 見解の相違は比較的ちいさいです。

 それでもやはり人間のすることだから
 裁判官の個性により見解の相違が残ります。

 最高裁まで3回も審理する制度は
 そのような個性の存在を前提としているくらいです。

 
 ときどき○○弁護士に相談したら
 違うことを言われたと言われることがあります。

 それは上記のような理由によります
 算数の答えとはちがうところです。
 
 神ならぬ人間のやることですから,正解は
 実際に裁判をやってみるしかわかりません。

 そんなときは「30年間の弁護士経験と知識に基づく判決予測なので
 どちらの言うことを信用するかですね」と回答するようにしています。

2015年12月18日金曜日

法律相談のしかた③(電話相談)


 
 ときどき電話相談を希望される方がおられます。
 当事務所ではこれをお受けしていません。

 なぜか?
 電話でのやりとりではさらに間違いやすいからです。

 メラビアンの法則というのがあります。
 聞いたことがありますか?

 人の行動が他人にどのように影響を及ぼすか
 ということについての実験に基づく法則です。

 話の内容など言語情報の占める割合は
 どのくらいだと思いますか?

 なんと7%
 驚きの結果です。

 口調や話の早さなどの聴覚情報は
 38%

 見た目などの視覚情報が
 55%です。

 
 よくメールやメーリングリストで
 いつもは仲がいい人たちが喧嘩しています。

 なぜかというと,メールは言語情報だけなので
 行き違いや誤解を生じているわけです。

 こちらの意図したことのうち
 7%しか相手に伝わっていません。

 送り手は,笑顔をもって言ったつもりが
 受け手のほうは,批判されたと受け取ることがあります。

 字面だけでいえば
 どちらともとれるからです。

 これを避ける努力が笑っていることを表記したり(笑)
 顔文字をつけることです(^^)/

 
 電話の場合,メールよりはましです。
 言語情報のほか,聴覚情報が加わるからです。

 それでも面談に比べ
 半分以下の情報量になります。

 前回述べたように,法律相談は
 ただでさえ誤解や行き違いを生じがちです。

 それを思うところの45%の情報量でおこなうことは
 至難のわざです。

 資料や写真が必要な事案となれば
 なおさらです。

 また面談であれば,口では「はい。」と回答していても
 不安そうな顔をしていれば,重ねて説明することができます。

 
 そういうわけで,電話相談には原則として応じていません
 悪しからずご了承をお願い申し上げます。
 

2015年12月17日木曜日

法律相談のしかた②


 
 法律相談は算数の問題と答えとはちがって
 アドバイスや見通しについて行き違いが生じがちです。

 法律相談にはいくつも前提条件をおいて回答することになりますが
 前提をとばして「勝つ」という見通しだけが耳に残りがちです。

 裁判では,複数の事実の組合せの結果
 裁判に勝ったり,負けたりします。

 一般に法律相談の際には
 事実の存否を確定できません。

 裁判における主張・立証の結果
 裁判官によって事実の有無が判断されることになります。

 相談者にとっては,ごじぶんの心のなかでは
 それら事実の存在することが明白なのですが

 実際は,争いになりますので
 事実を裏付ける証拠が必要になります。
 
 この点,われわれは,「それらの事実が認められれば」
 勝てるでしょうねと見通しを述べることになります。


 相談される方は,勝ちたいという思いが強く
 前提事実は自明のように考える傾向があります。

 なぜでしょう?
 ぼくはテレビの影響かなと考えています。

 日ごろ,水戸黄門や遠山の金さんを見慣れているせいでしょうか
 たしかにテレビ番組では,毎回かならず正義が実現されます。

 しかし,それは風車の弥七が屋根裏から悪代官の謀議を盗み聞きしたり
 金さんが遊び人として街中を徘徊して現場に居合わせるからでしょう。

 しかし,日本の裁判官が現場に居合わせて
 じぶんで目撃したなどということは100%ありえません。

 その結果,日本の裁判では,立証ができないために
 必ずしも正義が実現されるとは限らないことになります。

 
 法律相談をされるときは,そこに注意して
 弁護士のアドバイスを聞くようにしてみてください。

 もちろん,こちらもできるだけ誤解のないように
 説明するよう努力します。 

2015年12月16日水曜日

法律相談のしかた①



 弁護士の仕事は,サービス業です。
 法的サービスを提供することです。

 サービス業といっても
 美容・理容などとはちょっとちがいます。

 一般にいきなり事件依頼,受任とはなりません。
 まずは法律相談からはじまります。

 法律事務所に行くと,高額な費用を請求される
 敷居がたかいと思われている方がたくさんおられます。

 しかし,まずは法律相談からなので
 相談料5,400円以上を請求されることはありません。

 交通事故,相続や債務整理については
 相談料も無料になっています。

 法律事務所の敷居がたかいのは事実でしょうが
 勇気をもってまずは相談してみてください。

 法律相談ののち,実際に事件を依頼することとなれば
 着手金,報酬という弁護士費用がかかることになります。

 その場で依頼を決める必要はなく
 見積りを依頼されれば,家に帰って落ち着いて判断できます。

 
 法律相談では,事実の有無が重要です。
 ある事実の存否が逆になると,アドバイスも逆になります。

 法的アドバイスは,医師の診断と治療方針のようなものなので
 症状・検査結果がちがっていると,診断もちがってくるようなものです。
 
 そのため,法律相談に来られる際には
 関係資料等を持参されることをお奨めします。

 相続,不動産や境界争いに関することであれば
 登記簿謄本や写真などがあったほうが正確な受け答えになります。

 離婚などあまり証拠がないような事件についても
 時系列で事実関係を整理されるとやはりいいと思います。

 法律は,要件事実といって,複数の事実の組み合わせで
 一定の法律効果が認められたり,認められなかったりします。

 じぶんが聞きたい質問を列挙してこられると
 あとで漏れがなくていいと思います。

2015年12月15日火曜日

法の不知はこれを許さず(顧問企業研修③)


「法の不知はこれを許さず」
あるいは,「法の不知は害する」。
という法格言があります。

主に刑法の分野で議論されます。
「法律を知らなかったとしても,そのことによって,
罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」(刑法38条3項本文)

速度違反で捕まったときに,「この道路が時速○○キロメートル規制
ということは知らんかったので・・・」という弁解は許されないということです。


あまり論じられませんが,この問題は刑事法の分野だけでなく
民事法,行政法の分野でも問題になりえます。

膨大な六法全書,弁護士や検察官,裁判官でさえ
おそらく全部知っているということはないでしょう。

お客さんから,すごいですねぇ~と持ちあげられますが
実はぜんぶは知りません。

とくに近時,社会が複雑になり,かつ,変動速度を速めているので
法律も日々制定・改正されていきます。

法律だけでなく,下位の政令・省令や通達まで含めると
とうてい手に負えるものではありません。

社会生活を律するルールはこれら制定法だけでなく
判例法もあります。

裁判所も日々判決を言い渡し
それらが積み重なって判例法を形成しています。

英米法などは
判例法を基本としているぐらいです。


われわれが日ごろ接する例で多いのは
相続・遺産分割や時効に関するルールです。

きょうは相続に関するルールについて紹介し
時効などについてはまたの機会に。


相続に関して,民法の相続編は
2とおりの制度を定めています。

ひとつは法定相続制度
ひとつは遺言制度です。

洋服でいえば,前者はレディメイド
後者はオーダーメイド

食事でいえば,前者は定食(シェフのお薦め)
後者はアラカルトです。

相続発生のきっかけとなる亡くなった人のことを
被相続人といいます。

相続のしかたについて,被相続人があれこれと
指示をするのが,遺言制度です。

それに対して,民法がこのように分けなさいと
指示をするのが,法定相続制度です。

遺言があればこれが優先し
なければ法定相続によることになります。


ただし,遺言があるにせよ,ないにせよ
相続人どうしで,どのように分けるかは決められます。

相続人どうしの仲が悪く,話がつかないのであれば
遺言や法定相続がその解決指針となります。

相続人どうしで話がつかないときには
家裁の裁判官が分け方を決めることになります(審判)。

その際に準拠する解決指針が
遺言や法定相続になります。

配偶者がいて,子ども2人,家庭円満であれば
じぶんたちで話し合って決めればよいです。

法定相続では,夫が亡くなったばあい
妻2分の1,子どもたち4分の1ずつです。

ですが,遺族で話し合い
母親がぜんぶ相続することにすることも多いです。

このような家族であれば
遺言をつくらなければならない必要性も低いです。


逆に,遺言をつくったほうがよい場合があります。
でも往々にしてあまり作られていません。

法定相続制度は,100件の相続が発生したときに
だいたい70~80件くらいはうまくいくように作られています。

しかし,残りの20~30件については
どうかなという感じになります。

たとえば,子の1人が両親と同居して
親の介護を長らくしてきたような場合です。

3人兄弟であれば
他の兄弟と平等に3分の1となります。

介護をしてきたのが長男の嫁であれば
まったく相続分がありません。

寄与分や特別受益という調整規定があるものの
うまく機能していないと思います。

寄与分は,親の商売を長男が手伝って遺産の形成に寄与したような場合
多めに相続できるという制度です。

家裁での遺産分割調停や審判も裁判所でおこなうことなので
争いのある事実を主張するときは証拠の裏付けが必要になります。

親の介護を長年おこなってきたことはともかく
それによって遺産が増加,もしくは減少しなかったことの証明は困難です。

特別受益は,逆に,生前に贈与を受け取っている場合
遺産の先渡しとして勘定されるという制度です。

農家で長男が農業を手伝っているようなとき
田畑を生前贈与している場合があります。

親の意思としては長男に多く相続させるつもりだったと思われますが
特別受益制度によると,遺産をもらえなくなったりします。

このように法定相続をそのまま適用したのでは
不公平感が残る,そのようなケースでは遺言をつくる必要があります。


しかし,被相続人が亡くなってから相談にきたのでは遅すぎる
いまさら,どうもなりません。

その際,ついつい「生前に遺言書をつくってもらっておけば
よかったですねぇ」と言わずもがなのことを言ってしまいます。

その場合,よくある反応が
「そんなことになるとは知りませんでした。」です。

むろん,遺言制度じたいを知らないことはないでしょうが
親の介護を長らくしても報われないことを知らなかったということでしょう。

そんなときに頭をよぎるのが
「法の不知はこれを許さず」,「法の不知は害する」です。

日々変化する膨大な法令をぜんぶ知っていることは不可能でしょうが
相続など基本的なところはセミナーなどで押さえておいたほうがいいでしょうね。

2015年12月14日月曜日

法律は国会(議員)が決めたルール(顧問企業研修②)


顧問企業の従業員さんに対する研修の
つづきです(しばらくつづきます)。


法律は,人間関係のルール
とくに紛争解決のルールです。

裁判や交渉では,このルールを事案にあてはめて
紛争を解決します。

いわゆる3段論法というもの
大前提→小前提→前者の後者への,あてはめ。

法律は大前提,事案は小前提
前者を後者にあてはめることにより解決指針が導かれます。


法律は,衆議院475人,参議院242人の国会議員が
決めたルールです。

事案によっては,解決指針が不都合と思われることもあります
が,一般的にいえば,法適用の「現場」ではルール変更ができません。

裁判官も(つまり弁護士も),多少不合理だなと思っても
一般的には,法律にしばられることになります。

三権分立や民主主義の原理から導かれる結論です
裁判官が法律にしたがわないと問題です。

法律相談にこられた際,結論に納得されず
われわれと議論しようとする方がおられます。

しかし,万一その場で議論に勝ったとしても
法律が変わるわけではなく,結論は変わりません。

みなさんにとって,法律適用の結果が不都合に感じられても
基本的にはそれに従っていただくしかありません。


ただし,なにごとにも例外があるように
法律の適用にも例外があります。


法律は同種事案が100件あったとして
90件くらいはそれで妥当というルールになっています。

10件くらいの例外はあるということです。
特段の事情があるときは,例外がありえます。

最高裁判決もよく読むと,特段の事情のないかぎり
別異に解釈すべきだという判断になっています。

だから10%くらいの例外がないわけではない。ただし
なにごともそうかと思いますが,例外を言うほうがハードルが高い。

例外を言うほうが証明責任を負います。
特段の事情を証明しなければなりません。

「立証責任あるところに敗訴あり」と言われます。
例外を言う方が,「原則として」敗訴するということです。


法律のなかには古いものもあって
その条文じたいが時代にそぐわない場合もあります。

その場合は,解釈によって条文の読み替えをおこなうことがあります。
これも判例上確立されていなければ,例外を言うより高いハードルです。


これらの説明を十分に説明し,理解していただいたうえで
それでもトライアルしたい,その場合はお手伝いさせていただきます。

一般に,紛争の初期においては,だれもがかっかしているので
裁判を希望しがちです。

ですが,紛争の終期においてはクールダウンしているので
それを後悔しがちです。

先をみとおして
冷静に判断することが必要です。

どうしてもやるとなった場合,事前の予想と説明どおりに
負けたとしても,文句を言うのはなしですよ。


2015年12月11日金曜日

法は最低限の道徳(顧問先企業研修①)


 (丹沢から富士山)

 先日,顧問先企業の従業員さんたちに対し
 研修をおこないました。

 おおむね好評・・
 だったと思います,お世辞を差しひいても。

 法と法律にまつわる色んな話をしました。
 しばらくそのときの話から。
 
 まずは,「法は最低限の道徳である。」
 いろんな意味があるでしょうが,私はこう説明しています。

 社会にはたくさんの人間が暮らしています
 ときには不和や争いごとが生じます。

 そうした紛争を解決するルールが社会には必要で
 ルールは法にかぎらず,道徳や宗教などもそうです。

 そのため,道徳や宗教と法との関係が問題になります。
 それに対する答えが「最低限の道徳」というわけです。

 たとえば,有名な「モーゼの十戒」のうち
 1~5は宗教・道徳的で,6~10は法とかぶっています。
 
  1. 主が唯一の神であること
  2. 偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
  3. 神の名をみだりに唱えてはならないこと
  4. 安息日を守ること
  5. を敬うこと
  6. 殺人をしてはいけないこと(汝、殺す無かれ)
  7. 姦淫をしてはいけないこと
  8. 盗んではいけないこと
  9. 偽証してはいけないこと
  10. 隣人の家をむさぼってはいけないこと

 法は道徳や宗教とかぶることもあるけれども全部ではない
 法はむしろ人間関係の最低限のルールを定めているにすぎない。

 しかも,法はあまり内面に関知しない
 外形的な行動さえ律することができればよいとの立場です。

 これは大きくいえばわれわれの自由を守るため
 日常生活の細かなこと,内面のことまで法律に干渉されないためです。

 そのためではありますが,われわれが顧客から叱られることもしばしば
 その要求水準に答えられないことにもなるからです。

 交通事故を起こしたばあい
 過失があるほうは謝罪して当然です,道徳的には。

 しかし,民事事件の不法行為,損害賠償の場面では
 謝罪しなかったからといって,賠償額が高くなることはまずない。

 ここらへんが一般人の感覚とズレを生じることになる
 でも法は「最低限の道徳」だから,やむをえないんですねぇ。 
 

2015年12月10日木曜日

離婚事件イロハ



 離婚事件の相談に親御さんがこられること
 これけっこうあります。

 親御さんの年齢はどうも
 60歳は越えているかな。

 子どもの年齢をおききすると
 案の定,40歳過ぎ。

 たとえ20歳前でも
 結婚すれば成人とみなされます(民法753条)。

 さて,どうしたものか・・・

 夫婦3組に1組は離婚しているので
 離婚相談はすくなくない。

 3人で酒を飲みにいけば
 1人は離婚経験者です。

 それでも家庭裁判所の手を経た離婚は
 1割にみたないらしい(司法統計)。

 9割の夫婦はじぶんたちで協議して,つまり
 裁判所の手をかりないで離婚しているわけです。

 じぶんたちの手におえないときに
 他者に相談したり,手をかしてもらうことになる。

 その際,親に相談する人とそうでない人にわかれ
 前者のなかから,親が相談にこられるわけです。

 そもそも調停や裁判は手術のようなもの
 本人の了解なしにはおこなえません。

 人を介した相談は事実とアドバイスの両面で
 行き違いを生じがちです。

 前提となる事実が異なれば
 解決方針も異なります。

 法的なアドバイスはいくつかの前提をおいています
 前提をすっとばすと,違う話になってしまいます。

 ふつうの会話でも生じがちなこうした齟齬は
 法律相談ではさらにリスクがたかまります。

 どっちみち家裁の調停には
 親ははいれないことになっています。

 もめごとの解決は本人の決断にかかっているので
 関係者がおおくなると,いつまでも解決しないからです。

 それに親がつきそっていると
 どうしても自立を疑われてしまいます(離婚原因とも関係)。

 そういう理由で,とりあえず親御さんの不安や悩みの相談にのるものの
 あらためて本人に来てもらうことになります。

 離婚することじたいが高度のストレスです
 法律事務所のたかい敷居をまたぎたくない気持ちもわかります。

 でも離婚も人生の一部なら
 その解決も人生の一部です。

 じぶんの人生ですから,じぶんで切り開くしかありません
 やはりまず,じぶんで相談にこられてください。勇気をだして。

2015年12月8日火曜日

人間だもの


 
 フェイスブック(FB)の功罪はあろうが,すくなくとも
 高校時代の恩師・友人と交流を楽しんでいる。

 友だちのOくんからこういう投稿があった,
 なぞなぞである。

 小伝馬町のビルに「ま」の字が書いてある
 なぜ「ま」なのか?他にひらがもなく不思議である,と。

 小伝馬町といえば,東京日本橋の北にあり
 時代劇にでてくる牢屋敷で有名

 吉田松陰も安政の大獄のときに
 ここで斬首刑に処されている。

 さて,Oくんのなぞかけに対する
 恩師・友人らの反応は? 

 ま~なんでしょ? とか
 間が悪い とかの反応のほか

 ビル内のスペースが広いので
 「せ」が外された,とか

 社員が多忙なので,「ひ」が外された
 など,いくつかのなぞときがなされた。

 ぼくのなぞときは
 むかって左手がおでん屋,右手が町屋なのでは?

 わかります?
 いつものだじゃれです。

 恩師からのコメントをいただいた。
 意味がわからず,夫に教えてもらました(^^)

 こでんま,で,
 おでんまではないだろうとは思いますが(^^)

 すかさず,友だちのYくんから
 つぎのようなアシストが

 上方落語『くっしゃみ講釈』で,〈吉祥寺の小姓の吉三〉が
 覗きカラクリを歌う場面があり,小伝馬町がでてくる。

 米朝師匠の録音を確認したら「おでんまちょう」と歌っており
 昔はそういう読み方もあったらしい,と。

 恩師のまとめ
 FBは皆の叡智が集まって賢なりますなあ(*^_^*)

 人と人とのあいだに「ま(間)」があって
 人間になるということでしょうか。

 おあとがよろしいようで。

                                浦田

2015年12月7日月曜日

中小企業家同友会・役員会



 先週金曜は福岡県中小企業家同友会の役員会でした,
 午後5時から,筑紫野市生涯学習センターにて。

 今期は筑紫支部の支部長をおおせつかっているので
 なかなか休めません。

 同友会は,よい会社をつくろう,よい経営者になろう,よい経営環境をつくろう
 という,3つの目的をめざす中小企業経営者の団体です。

 筑紫支部は筑紫地区に事務所・住所をおく経営者で組織され
 いま96社の経営者が集っています。

 弁護士業界だけの仲間うちの集まりとちがい
 みな異業種であり,1国1城の主だけに,気をつかいます。

 しかしそれだけに,たくさんの刺激と出会いにあふれ
 経営者として,あるいは,人間的として成長ができそうです。

                                       浦田
 

2015年12月3日木曜日

宝満山~三郡山~若杉山縦走




 「スターウォーズ/フォースの覚醒」というわけではないけれど
 またブログを書きはじめようと思い立ちました(前よりスローペースで)。

 いつまでつづくか分かりませんが
 よろしくお願いします。


 あいかわらず山ネタから
 先日,宝満山から若杉山まで縦走しました。


 薬害C型肝炎の九州訴訟(福岡地方裁判所)に取り組んだ弁護士を中心に
 山歩きの同行会をつくり,怪鳥会と呼んでいます。

 後輩弁護士が去秋,黒岳の原生林を散策しているとき
 怪我をして,ヒザの前十字靱帯を断裂してしまいました。

 この一年,かれはリタイヤ
 かれがいない山行は寂しいかぎり。

 治療とリハビリがようやく終わったため
 快気祝いと納会をかねての山歩き会です。

 快気祝いなのでみんなは若杉登山だったところ
 せっかくだから宝満山からひとり縦走することにしました。

 若杉山の山頂に昼12時に集合。たどりつけるかなぁ?
 コースタイム6時間35分のロングコースなので心配。

 朝7時,竈門神社(太宰府市内山http://kamadojinja.or.jp/を出発
 1合目,2合目,3合目・・・

 早い時間のせいか
 健脚者がおおい。

 宝満山頂(829.6m)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9D%E6%BA%80%E5%B1%B1
 についたのは8時20分,よく晴れていた。

 体調もヒザにやや違和感があるくらいで
 だいじょうぶそう。

 からの仏頂山,からの三郡山(935.9m)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%83%A1%E5%B1%B1
 いきかう登山者も多く,心づよい。

 三郡山は文字どおり飯塚市,糟屋郡宇美町,筑紫野市の境界
 各町から人が集まってくるところです。
 
 山頂には男女8人くらいの高校生のグループがいました。
 高校時代の山歩き,どんなかなぁ,もう想像するのもむずかしい。

 そこから先,きゅうに登山者が減り
 広葉樹の落葉もちり終わり,もう冬の風情

 夏とちがい
 下草もなく,快適な縦走路

 左側からは宇美町,昭和の森からの登山道
 右側からは飯塚市方面からの登山道が集まってきます。

 小ピークを繰り返しながら
 ようやく砥石山,思わず「遠いし・・」と声が漏れました。

 雲行きもあやしくなり,バックパックのなかの携帯電話も
 さっきからプー,プーと着信をつげています。

 すわ,みんなはもう若杉山頂か?
 と思いながら足どりをはやめました。

 高度をぐんぐんさげて,しょうけ越し(峠です)
 そこから若杉山へ登り返し。

 これが登山者の心を折ります
 せっかく登ったのに,くだって,また登り・・・

 そこをぐっと歯をくいしばって
 山頂に。

 な,なんと11時30分!
 竈門神社から4時間30分で着きました。

 ことし50うん歳
 まだまだ行けるね,としばし余韻にひたりました。

 他のメンバーが登ってきたのは
 予定どおり12時ちょうど。

 それから奥の院,太祖神社を経て
 http://www.sasagurikanko.com/temple/wakasugi_okunoin/
 大和の森巨木探索路を散策して下山。

 若杉の湯http://www.wakasuginoyu.com/でまったりしたあと
 怪鳥宅で酒盛り,またまた盛りあがって夜は更けていったのでした。

                                       浦田

2015年10月5日月曜日

期待していたのは。。。

地域奉仕のいっかんとして
F中学校の職場体験授業に協力したことがあった。

中学生のころからいろいろな職業に触れ
将来の進路を明確にするという趣旨だ。

消防署や店舗などいろいろな業種の人が集まった。そのなかで
法律事務所を希望した子たち6人のめんどうをみることになった。

事務所で座学をしても分かりにくいので
法廷傍聴をしてもらうことにした。

地域の民生委員の先生たちなどを法廷傍聴にお連れすることがある。
いちばんの悩みは,博多座のように前もって演目がはっきりしないことだ。

いつ分かるかというと当日,法廷の前の掲示板を見るまでわからない。
そこに10時~貸金請求事件,原告○○,被告△△などと書いてある

こちらの気持ちとしては,できればわかりやすい事件を傍聴してもらいたい。
長くつづいている事件のうちの1期日だと,なんとことやら分からない。

そこで集合時間の15分前くらいに裁判所へ行き
裁判所のなかを行ったり来たりしながら手ごろな事件を探し回ることになる。

民事事件より刑事事件のほうがわかりやすい。民事は
「訴状のとおり陳述します。」などと書面中心だから。

刑事事件の場合,起訴状を朗読したりして
被告人だけでなく傍聴人にも事件の内容がわかりやすい。

なかでも,自動車運転過失致傷事件や覚せい剤事件は手ごろだ。
1時間のうちに最初から結審までぜんぶやることが多いから。

その日も,自動車運転過失致傷事件を選んだ。
中学生にも分かりやすく,勉強になるであろうことを期待した。

中学生たちと傍聴席につくと,被告人は男性だったけれども
裁判官も,検察官も,弁護人もみな女性であった。

中学生のうち3人は女子だったので
彼女たちにも励みになるなぁとにんまりした。

ぼくが中学生を6人連れて法廷に入っていったのだから
裁判官たちにも当然状況はのみこめたはずである。

中学生にもわかる,わかりやすい法廷
ぼくはそれを期待した。

ところがである。
審理が進むにつれ,たいへんな事態に。

自動車事故の原因は,抽象的にいえば前方不注視だった。しかし
その実態は,助手席の女性が運転手の男性にいかがわしい・・(以下省略)。

中学生たちが傍聴しているわけだから,法律家たちは
いかがわしい話をさらりと流すやり方もあったはず。

だが,検察官も,弁護人も,裁判官もいかがわしい内容について
微に入り細を穿ち,何度も何度も,尋問を繰り返したのである。

傍聴人を意識してであろう
これでもかこれでもかの大サービスだった。

でも中学生なんだから
そういうことを期待したわけじゃないんだよね。

そういうわけで
とんだ法廷傍聴になったのでした。

2015年8月27日木曜日

そこですか、こだわりは?

 ちくし法律事務所の日常ということで
 ひさしぶりに原稿を2本書いてみた。

 いきなりブログにアップすると
 関係者から訴えられる可能性がある。

 そこでまず事務所内のメーリングリストに流して
 他の弁護士の反応をうかがってみた。

 まず,「なぜあの味に惹かれるのか?」だが
 ぼくについては,自分で書いた記事だから否やはない。
 
 Iさんについても,よいことが書いてあるだけなので
 文句のつけようがない。
 
 問題はMくんとYくんだが
 家族が悲しむかもしれないという反応だった。

 そこで,この2人については次のとおり訂正したい。
 Mくん→Mくん(匿名希望),Yくん→Yくん(匿名希望)

 これで問題は解決だ。
 めでたし,めでたし。


 問題は「被害者の会の会長はきみだろ?」のほうだ。
 これについては強い反発が予想された。

 しかし,意外なことに,I弁護士の反応は
 「これは、おもしろい。笑」だった。

 この反応は意外,拍子抜け,ま,いっか。
 ただし,意外なところに注文がついた。いわく。

 タクシーのなかは,苦しかっただけじゃなく,楽しくもあった
 そこを正確に書いてくれというのである。

 たしかに,タクシーの窓から首を出し,「うっ,気持ち悪っ」
 というだけではなく,高歌放吟していた場面もあった。

 タクシーの運転主のにがりきった顔は
 むしろその場面のほうが強かったかもしれない。

 これはたいそう意外な反応である。
 そこですか,つっこみどころは?

 さすが芸術家の家系である,センスがちがう。
 ぼくのまとめはそういうことであった。しかし,・・

 きょうランチの際,その話をしたら
 Yくんから意外な謎解きがなされた。

 「先生,それは酒に全面的に負けたことを
 認めたくないだけなんじゃないですかね?」

 なるほど,たしかに。
 
 そう考えれば,合理的な解になる。
 こうしてきょうも真相が明らかにされたのであった。
 
 めでたし,めでたし。

2015年8月21日金曜日

被害者の会の会長はきみだろ?

 I弁護士のダンナの話を覚えておいでだろうか?
 「3人とも不幸になった話」の,あの足が短いAくん。

 といっても,覚えてないでしょうから,
 当ブログの2013年6月21日の記事をご覧ください。
 http://blog.chikushi-lo.jp/2013/06/blog-post_21.html

 Aくんとぼくは誕生日が近い。
 ともに8月上旬である。

 かれの誕生日にメッセージを送った。
 会長,誕生日おめでとうございます,と。

 かれは返してきた。
 会長は先生のほうでしょ,と。

 ぼくもここはゆずれない。
 いやいや,ぼくは事務局長だから。

 この問題に決着をつけるために
 まず会の歴史をふりかえっておきたい。

 むかしある飲み会があった。I弁護士が酔っぱらってしまい,
 ぼくがI弁護士の自宅マンションまでタクシーで送ることになった。

 I弁護士は後部座席の窓を全開にし,「うっ,気持ち悪っ」
 などといいながら,ずっと窓から首を出していた。

 おりしも真冬である。車内にはぴゅーぴゅー寒風がふきすさんだ。
 タクシーの運転主さんはもちろん,にがりきっている。

 マンション前に着くと,寒空のもと
 Aくんがガタガタふるえながら待っていた。

 先輩弁護士に送ってもらったといって
 とても恐縮していた。

 ぼくも被害者だったが
 Aくんを見たとたん,そんな小さな気持ちもふっとんだ。

 Aくんはこれが日常なんだ。たまにタクシーで送って
 寒いおもいをするぐらい,なにほどのこともない,と。

 それ以来,ぼくとAくんは心の友だちである。
 ふたりの関係はいつしか,被害者の会へと発展していった。

 ぼくもAくんも,この被害者の会の構成員であることに争いない。
 しかし,会長の座をめぐっては先にみたとおり争いがある。

 ぜったいに会長にだけはなりたくないという
 逆権力闘争,いわば権力逃走である。

 会長の座はどうやって決めるのか?規約が存在しないため
 いつもAくんとどうどうめぐりの議論になってしまう。

 1対1である。
 多数決で決められない。

 しかし,Aくんは役場に例の届を出している。
 これは世間様に対して,被害者代表と宣言しているようなものだ。

 ここから,会長はAくん以外に考えられない。
 ぼくが先輩であるがゆえに,Aくんが遠慮しているにすぎないのである。
 
 なお,この会の名称をめぐっても争いがある。
 ぼくらの理解では「I弁護士の被害者の会」。

 ところが,I弁護士はただひとり
 「I弁護士を支える会」でしょ,と言いはってゆずらない。

 この点は,先の成り立ちからしてあきらかだと思うのだが
 みなさんは,どう思います?

 なお,8月上旬生まれの人間は被害者になりやすい。
 これは疫学的事実だ。

 8月上旬生まれのあなた
 被害に遭わないよう気をつけてね。

2015年8月18日火曜日

なぜあの味に惹かれるのか?

 ある日,弁護士4人(ぼく,I,M,Y)でランチへ。
 どの店に行くかなぁ,むかしは二日市にもMSとかMcとかもあったなぁ・・・。
 というところから,ハンバーガーの銘柄選びの話になりました。

 MS派とMc派のまっぷたつに分かれました。
 ぼくとIさんがMS派,MくんとYくんがMc派に。
 よくよく聞くと,Mcはリーゾナブルだからというので,MくんはいちおうMS派のお仲間にいれてあげました。

 YくんはそれでもMcのほうが美味しいというので,味の分からんヤツということになりました(Mcだって,自分ところが経営戦略として「安かろう,味はそこそこだろう」路線をとっていて,味はMSに及ばないことは認めると思いますよ。)。

 つぎの話題は,Yくんだけが,なぜそうなのか?
 みなさん,分かりますか?
 Yくんは,子どものころからよくMcへ家族で外食に連れていってもらっていたらしい。そのためMcの味をおいしく感じるように慣らされてしまったよう。
 Mcの長期ファミリー戦略おそるべし。

 それでは,なぜ,他の3人はそうならなかったのか?(ふつうの味覚のままなのか?)
 まず,Iさん。
 Iさんの家は母親が料理上手で外食なんてしなかったらしい。そのためやはりMcの味に慣らされる余地がなかったようだ。なるほど。

 つぎに,Mくん。
 世代的にはYくん,Iさんとほぼ同じ。それなのに,なぜ?
 答えはMくんの出身地のようだ。信州の北部で,Mcの進出が遅れた。そのため,やはり子ども時代にMcの味に慣らされることがなかったらしい。なるほど。
 
 問題は,ぼく。
 大阪育ちだから,Mcの進出が遅れたわけではなからろう。
 しかし,50代のぼくのばあい,子ども時代にMcなんてなかった。だからMcの味に慣らされる余地がなかった。なんかくやしい。

  こうして弁護士たちは,ハンバーガーに対する嗜好の違いという,どうでもいい謎についても原因を追求し,真相を明らかにしたのであった。
 めでたし,めでたし。

2015年8月6日木曜日

卒業




事務局の原さんが定年を迎え、7月末に退職されました。


原さんは昭和63年に入所。

平成10年まで事務局長として事務所全体の仕事もしていただきました。


スイミングでからだを鍛えてあるからでしょう。

原さんが風邪や体調不良で事務所を休まれたことはほとんどありません。

28年間体型もちっとも変わらず、若々しい。


原さんといえば、

負債事件が多かったころ、

サラ金に電話して、

ひるむことなく値切り交渉をしていた頼もしい姿を思い出します。


我が事務所では少数派のA型(血液型)で、

真面目で几帳面な原さんですが、

事務所旅行の飛行機に1人だけ乗り遅れたことがありました。

でもその後の行動力はさすがでした。

ちゃんと追いついてこられましたから。

海外だったのに。


元気はつらつ、明るく楽しく、事務所のムードメーカー。

食事会や旅先でいつも場を盛り上げてくれました。


先日原さんの送別会が開かれました。

後輩たちが、

思い出のアルバム帳や、

事務所OBからのビデオレターを製作編集してくれて、

原さんに贈りました。


自分の送別会なのにやっぱり原さんは盛り上げ役で、

みんなの前では最後まで笑顔でした。


さっそくマチュピチュとイグアスの滝を観に行かれるとのこと。

原さんは事務局としても人生の先輩としても、見習いたい人です。


原さん、28年間お疲れ様でした。

そして、ありがとうございました。
旅から戻られたら、土産話を聴かせて下さいね☆(^o^)

2015年6月30日火曜日

おすすめのメニューは?


今日は、法律相談について思うところを書きたいと思います。

弁護士の仕事は、法律相談を受けるところから始まります。
法律相談では、事実を丁寧にお聞きして相談者の方が何を求めているのかを把握し、解決方法として考えられるメニューをいくつか提示します。そのメニューの中からどれを選択するかは、最終的には相談者の方の決定にゆだねることが多いですが、このとき弁護士としておすすめするメニューも伝えます。

例えば、ABCと3つのメニューが考えられる場合、事案の特徴、解決までに予想される期間、費用などを総合的に考慮して、今回はAがいいと思いますよとか、今回はBがいいと思いますよと伝えます。

もちろん弁護士がどう解決するのかを示すのが原則ですが、知識さえ得れば相談者の方がご自分で解決可能な事案であれば、弁護士費用の負担等を考慮して、まずは今ご自分でできることを丁寧に説明することが「おすすめメニュー」である場合もあります。

ただ、「おすすめメニュー」を提示しても、飲食店と同じように、今日は他の料理が食べたいというお客さんもいますし、「おすすめメニュー」の中に苦手な食材が入っているので避けるお客さんもいます。

例えば、この人にはお世話になったから巻き込みたくない、今回のことは職場には知られたくないといったことです。

このような相談者ごとの特徴を把握した上で、「おすすめメニュー」を提示できるのが弁護士としての力量の1つだと考えています。

当事務所は、それぞれの相談者の方に最善の「おすすめメニュー」を示すため、日々研鑽を重ねております。



弁護士 山野和也