3つ目は磐梯山だ。やはり日本百名山。こんかいの旅の本命である。いままでに2度、冬期登山に挑んできたが、いずれも途中撤退している。入山者がすくなく雪が深いためである。去年は緊急事態宣言のため、遠征自体を中止。4年越しの挑戦だ。
前日の天気予報はA判定。ただし、午後までくもり、その後晴、夕方から崩れるというものだった。いままでは南側、猪苗代湖のある側からアプローチしていた。こんかいは、北側、裏磐梯方面からアプローチすることにした。
5時起床、郡山駅を5時55分発の列車で、盤越西線を西に向かう。車窓は雪景色のはずだが暗くて見えない。谷間をぬけると、左手に猪苗代湖があり、右手に白銀の磐梯山が見えてくるはずだが、きょうはガスがかかっていて見えない。南岸低気圧から南風が吹き込んでいるせいだろうか。
タクシーで裏磐梯スキー場へ向かう。除雪がしっかりされている。タクシーの運転手は話好き。ことしの雪の状況、最近のスキー場経営、スキー客の動向など細々と教えてくれる。
7時8分スキー場をスタート。営業は8時30分からで、いまは圧雪中である。ワカンを装着する。ゲレンデの左側をじゃまにならないよう登っていく。
視界は100メートルくらいか、ガスがかかっている。他に登山者は見当たらず、きょうのトップ(先頭)のようだ。
ゲレンデトップまで行くと、標識があり、いよいよ登山道に入っていく。うっすらと雪が積もっているがトレースは分かる。その下の雪はよく締まっていて、踏み抜くということはない。
いちばん上の写真は裏磐梯の写真。むかしは小磐梯という山があったが、爆発で吹っ飛び、いまは火口原になっている。右上が桧原湖、その右が五色沼。その先にきのう登った吾妻連峰が見えている。
ゲレンデトップは写真中央のやや上のあたりだ。しばらくは樹林帯をなだらかに登ったりおりたりする。そして火口原にでる。
行く手には磐梯山の火口北側壁がそびえている(2つ目の写真)。手前側の山体がふっとんだのだから、火山のパワーは半端ではない。左側のギザギザが天狗岩である。
これをまっすぐ登るのは斜度がきつくてできない。左手に尾根があるので、そこから登る。それでもそうとうの急坂である。ワカンをアイゼンに履き替える。
尾根の左手には櫛が峰がそびえている(3つ目の写真)尾根を登っていくと、写真の左側あたりの稜線にでる。先行者がいないため、トレースがはっきりしないところもある。
火口壁にそって稜線を時計回りに4分の1周すると、いよいよ磐梯山の本峰が姿を見せる(4つ目の写真)。右手のトンガリが天狗岩である。
写真をよく見ると分かるのだが、あと4登り必要である。崖や雪原もある。弘法清水という夏小屋があるところからがとりわけ急だ。夏であれば低木の下をくぐるところ、雪がしっかり積もっているので、低木を覆いつくしている。
ようやく山頂だ。4年越しの念願、雪の磐梯山頂を踏むことができた。でもガスガス。本来なら南側に猪苗代湖の絶景がひろがっているのに、この日は見えず。残念。
帰りは来た道を戻る。この日の登山者は4パーティ5人。自分以外は若者たちだった。登り始めはトップだったが、ここらあたりでどんどん抜かれ、弘法清水から先は最後になってしまった。最後というのは非常に不安。なんかあったときに助けてくれる人がいないから。
それでも天気は回復傾向にあり、ときおり青空がのぞく。心も晴れやかだ。夕方から崩れるという予報だったが、なんとかもちそうだ。
猪苗代駅から郡山へ戻る。帰りの電車は会津若松方面からの観光客でやや混雑していた。郡山から東北本線で北上し、福島で宿泊。