2022年2月21日月曜日

ある家の明渡し請求事件


  ひさしぶりに家の明渡し請求事件をやっている。家主さん側である。家主さんがあるマンションを賃貸したが、借主さんが賃料を支払わない。そのため契約を解除して出て行ってもらいたいという。

家の明渡しとなると、単なる金銭請求事件より生々しい。まず、明渡しを命ずる判決を取得する。つぎに、執行官にお願いしてこれを強制執行してもらう。

強制執行はたいへんだ。借主さんの引越を強制することになるから。家財を運び出して(引越)、倉庫に保管しなければならない。2度に分けて行われる。1度目は催告。2度目は実際の引越だ。

それでも昔はシンプルだった。しかしいまは高齢化社会の実情を反映していくえにもややこしい。まず、依頼者も高齢であり、依頼中に入院などなさっている。

相手方も高齢で、さらに高齢の母親が同居していたりする。高齢者二人では、引越するにもたいへんである。引越先を探そうにも新たな貸し手や連帯保証人がいなかったりする。

本事件ではないのだけれども、途中で相続が発生したりすると、相続人らが相続放棄したりする。そうなると、相続財産管理人を選任する必要がある。さらに、相続人のなかには後見人の選任が必要だったり、不在者財産管理人の選任が必要な人がいたりもする。いずれの手続も相当の費用と手間と時間がかかる。

テレビCMを見ていると、「わたしも大家さん」などとやっている。不動産投資の勧めなのであるが、リスクの説明はない。しかしかくて、大家さんもなかなかたいへんである。

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