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2023年6月8日木曜日

はなれてひとつに奏でる-個人的な体験

 
 
 BSーNHKで草刈正雄の「美の壺」を見ていたら、テーマは「宿」。長野で築70年の古民家を利用した宿が伝統と格式ある・・などとやっていた。

ふんふんと思ってみていたが、ちょっと待てよ(キムタクふう)。若いころはそれでよかった。しかし齢64歳になろうかといういま、70年などは自身とほぼおない歳ではないか。それほど昔のことではないぞ!

最近、こういうことが多い。

あるとき、マヨネーズから迷える子羊の話になり、マヨネーズのことをマヨエルという愛称で呼ぶことになった。それはいい。

それで、迷える子羊といえば、もともとは聖書にでてくるのだろうけど、夏目漱石の『三四郎』のなかにも出てくるよね。三四郎はしょっちゅうストレイシープと言っていたよね。と言うも、会話の相手は知らないという。う~ん。

しかたないから、グーグルさんに訊いてみる。YAHOO!知恵袋で、たしかにそうだと書いてある。どうだ~!というも、相手は興味がなさそうだ。

知恵袋によると、漱石は聖書からダイレクトにもってきたのではなく、当時、一部翻訳もして興味をもっていたヘンリー・フィールディングの『トム・ジョーンズ』からひいてきたようなことまで書いてある。おそるべし、知恵袋。

漱石の『三四郎』を読んだことがないという相手に『トム・ジョーンズ』の話をしても、よけいうざがられるだろうと思い、以下自粛。

だが、グーグルさんはさすがだ。ストレイシープの予測変換のリストに「米津玄師」を提案していた。念のため、検索してみた。

そうすると、彼のアルバムに『STRAY SHEEP』なるものがあるらしい。会話の相手は、『三四郎』は読んだことはないけれども、『STRAY SHEEP』は保有しているらしい。俄然、興味をひきつけることができた。最初から、漱石ではなく、米津にいくべきだった(知らなかったけど)。

念のため、YouTubeで『STRAY SHEEP』を聴いてみた。なんと、自分も知っている曲たちだ!娘の車でドライブした際、車中で流れていたものだ。パプリカももちろん含まれている。

エウレカ! That makes sense!

コロナ期間中、やはりBSーNHKで「はなれてひとつに奏でる~奇跡の〝パプリカ”誕生秘話~」という番組をやっていた。NHKの番組紹介をそのまま引用すると、こういう番組。

「リモートでパプリカやってみるか!」コロナ禍の下、楽団員の一人の掛け声が62人の輪となり、奇跡のオーケストラが実現。離れてるからこそ心が一つに、感動の秘話を描く。

この番組にはとても感動した。本ブログでも以前紹介したと思う。

まとめると、マヨネーズにはじまり→迷える子羊→漱石『三四郎』→ストレイシープ→聖書、あるいは『トム・ジョーンズ』などを漂流しつつ→米津玄師→『STRAY SHEEP』→「パプリカ」→「はなれてひとつに奏でる~奇跡の〝パプリカ”誕生秘話~」で結び。

おおげさにいえば、迷える子羊は、迷い迷いの旅をし、感動の結末に至ったのだった。頭のなかでバラバラに存在していたピースたちが一つにまとまった感じ。脳内で快ホルモンでまくりである。

子どものころ、少なくともグーグルさんやYAHOO!知恵袋さんは存在しなかった。そう思うと、70年前は大昔かもしれない。

※写真は台湾の観光地の売店で絵付けをする店番の子。

2023年2月22日水曜日

ウェルビーイング(3)

 

 ひるがえって、わが事務所はどうだろう。かねがね心配しているのは、若い人たちが会議のみならず雑談でも参加が弱いことだ。

われわれが事務所をスタートさせたときの年齢差は最大7歳だった。いまでは30歳以上離れてしまっている。若い人たちの個性もあるだろうが、さぞや発言しづらいことだろう。

コロナ禍の影響も甚大だ。全員で会議、リクレーションや懇親会をすることが困難になった。コミュニケーションや交流密度が極端に減ってしまっている。

さらにややこしいのはパワハラ、セクハラのインフレーションだ。弁護士会の事務員さんたちによる組織のアンケート調査の結果がある。

一方で、弁護士が最近購入した自動車が何かなどと訊いてくるのは苦痛だという意見がある。他方で、一日中仕事の話ばかりで雑談が一切ないのは苦痛だという意見である。むむむ。事務員さんが購入した自動車の話題に触れずに、仕事以外の雑談をしなければならない。

これまでにも、いくつかの方法は試されてきた。本ブログでも紹介したホメオウタシスもそのひとつだ。月一度、投票箱に投票して、他の人の仕事ぶりを誉めようという試みである。しかし、3度ほどやってあとが続かなかった。

などと思っていたら、NHK「〝幸せ革命”が企業を変える」で、それを打開する方法が紹介されていた。幸せな三角形を増やす、「幸せアプリ」という方法だ。

3人ひと組となってチームを作る。チーム内で誰かが、幸せに関係するお題を提供する。最近幸せを感じたことはなんですか?幸せになるためには何が大切だと思いますか?などなど。

お題に対し、全員が回答を行う。それぞれの回答に対し、他のメンバーが前向きなコメントを寄せる。後ろ向きなコメントは厳禁である。これを続ける。

NHKで紹介されていたのは、文字どおり、アプリを導入する方法。毎日のお題はそのアプリが提供する。わが事務所ではアプリを利用しない。お題の提供は各チームで考える。

事務所全体16人でコミュニケーションをしようと言われても難しい。他の人たちのリアクションが読み切れないからではなかろうか。でも、3人ならなんどかなる。

はじまって2週間。これがなければ出てこなかったかもしれないメンバーの趣味のことや隠れた思いとかも知ることができた。あとどのくらい続けられるか分からないけれども、楽しもう。

2022年12月22日木曜日

牧野富太郎博士とNHK朝ドラ「らんまん」

 

 12月14日のブログ「伊良湖岬と椰子の実と鷹とアサギマダラと日本人」に、ちょこっと植物学者の牧野富太郎博士のことを書いた。新婚旅行先の霧島でもただ物見遊山するのではなく、新種のツツジを見つけ、ミヤマキリシマと名付けたと。

そうしたら例のシンクロニシティ。大学時代おなじ部活で、いまは九大の先生をしているIDくんが高知県佐川市へ仏画の調査に行ったところ、そこは牧野富太郎博士の出身地。来年は大河ドラマブームで盛り上がりそう。と、SNSに投稿していた。

あれれ。来年のNHK大河は松潤のなんとか家康じゃなかったっけ?(正式には「どうする家康」だった。)

https://www.nhk.or.jp/ieyasu/

調べたところ、牧野博士は大河ではなく朝ドラ(連続テレビ小説)のほう。ほう。タイトルは「らんまん」。

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=34193

牧野博士役は神木隆之介、妻役は浜辺美波。楽しみ。霧島やミヤマキリシマのエピソードはでてくるのだろうか?いまから楽しみ。

2022年12月21日水曜日

宝満山を登るヒキガエル

 


 先日、NHK「ダーウィンが来た!」「大追跡!謎の登山ガエル」で宝満山を登るヒキガエルをやっていた。

https://www.nhk.jp/p/darwin/ts/8M52YNKXZ4/episode/te/XX81ZJLZV9/

梅雨時期前ころからヒキガエルの子どもたちが登山道にたくさんいることは経験的にわかっていた。踏んでしまいそうで、どちらかというと気持ち悪いという感じだった。

ここ数年になって、あのカエルたちは宝満山を登っているのだといわれるようになった。カエルが山を登るのは宝満山だけなのだとか。そして守る会ができ、知り合いがそれに関わっていることも分かった。

http://nijinonanafusigi.la.coocan.jp/guidebook.pdf

林道から登山道に入ったところ右手に池が二つある。野々池と呼ばれ、そこで卵からオタマジャクシに孵化するらしい。そしてカエルに変態して登り始める。

「大追跡!謎の登山ガエル」では、その様子を大追跡していた。1センチメートル足らずの子ガエルたちが懸命に登っていく。

石段一つ登るのでも、われわれだと穂高の大絶壁をロッククライミングするようなものだ。装備もなく自分の手足だけで、背丈の何十倍もある石段を登っていく。何度も転げ落ちてしまう。

標高829mの山頂まで登るのは、人間でいえばエベレスト9回分に相当するのだとか。山頂まで約1か月を要する。数十万匹が孵化し、山頂に達するのは千匹くらいなのだそう。

ただもう感動的。われわれの仲間からは、もう二度と宝満山で弱音を吐きませんとのつぶやきが漏れた。

それにしてもNHKや取材に協力した研究者たちの調査力や粘り強さにも感銘を受けた。子ガエルの天敵はヤマカガシ(毒ヘビ)なのであるが、カエルがヤマカガシに食べられる瞬間を3度も撮影に成功していた。

宝満山にあれほどヤマカガシがいることにも驚いた。知っていれば、もう少し慎重に登ることになるだろう。

写真は「梅園」さんのお茶菓子。いただきものだ。ありがとうございます!

2022年2月4日金曜日

暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬ歌がある。

 

 きょうは電車のなか、私立受験とおぼしき高校生がたくさんいた。立春の日にふさわしい光景といえよう。立て!高校生たちよ。

さて更科つながりで、『更科日記』から『更科紀行』。

芭蕉の紀行文のなかに、『更科紀行』がある。元禄元年8月、笈の小文の旅の帰りに、更科・姨捨山へ月見に立ち寄ったときの紀行文。同行は名古屋の越人。

 さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすすむる秋風の心に吹きさはぎて、ともに風雲の情をくるはすもの又ひとり、越人と云。

おなじく鹿島詣も月見の旅だったけれども月見えず。しかし『更科紀行』のときにはよく見えた。

 俤や姥ひとりなく月の友

 いざよひもまださらしなの郡哉(こおりかな)

 さらしなや三よさの月見雲もなし 越人

平安朝に美文を集めたアンソロジー『和漢朗詠集』。日本人が雪月花を愛するようになったのは、そこに白居易の次の詩が掲載されたことに由来するらしい。

 琴詩酒の友は皆我を抛つ 雪月花の時最も君を憶ふ

雪や花を求めて信州の山を訪ねることはあっても、月を求めて訪ねることはない。月の価値はうすれつつあると思っていた。

朝ドラを見ている。「カムカムエヴリバディ」。上白石萌音の時代ははんとうに暗かった。深津絵里の時代になって転調、急に明るくなった。

なんじゃこれ、とずっと思っていたのが時代劇シーン。単なる幕間狂言かと思いきや、どうやらドラマのテーマを伝えているようだ。モモケンの決めぜりふ。

 「暗闇でしか見えぬものがある。暗闇でしか聞こえぬ歌がある。」

わが事務所も4月に稲村晴夫弁護士が退所、しばらくはむずかしい時代を迎えるだろう。しかし、それもまた好機。困難な時しか見えぬものがあるだろう、困難な時しか聞こえぬ歌もあるだろう。