2021年6月24日木曜日

松島ー造化の天工

 塩竈でおもいのほか長居してしまいました。つぎはいよいよ日本三景の一つ、松島。

 日すでに午に近し。船を借りて松島に渡る。その間二里余。
 そもそも、ことふりにたれど、松島は扶桑第一の好風にして、およそ洞庭・西湖を恥ぢず。東南より海を入れて、江の中三里、浙江の潮を湛ふ。


島々の数を尽くして、聳つものは天を指さし、伏すものは波に匍匐ふ。


あるは二重に重なり三重に畳みて、左に分かれ右に連なる。


負へるあり、抱けるあり。児孫愛すがごとし。松の緑こまやかに、枝葉潮風に吹きたわめて、屈曲おのづから矯めるがごとし。

その気色窅然として、美人の顔を粧ふ。ちはやぶる神の昔、大山祇のなせるわざにや。造化の天工、いづれの人か筆をふるひ、詞を尽くさむ。

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