顧問会社のA社長がSNSに投稿していた。内容は、他の人が投稿したTik Tok動画の引用。
動画のテーマは、血液型B型の人と長くつきあう利点。1週間つきあうと、世界が広がる。1か月つきあうと、いろんな視点がもてるようになる。1年つきあうと、趣味や関心が増える。3年つきあうと、忍耐力が増す。・・・
B型の人とおぼしき人たちが、たくさんのコメントを寄せている。「初めて誉められた。」「そうか、俺にもいいところあるじゃん。」などなど。
A社長もおそらくB型で、これらコメントに賛同して、この動画を引用したものと思われる(A社長なのにB型)。
しかし「ちょっと待てよ。」(例のキムタクふうに)そんなに手放しで喜んで良いのだろうか。
果たして、この動画はB型の人の性格を誉めているのだろうか。疑問。やはりそこで描かれているB型の性格は、「自己中心で、その時その時の関心に応じて自由に生きている。」ということではないのだろうか。
そういう性格のB型の人と「長くつきあうことができれば」、そりゃ、世界が広がるし、いろんな視点がもてるようになるし、趣味や関心も増え、忍耐力も増すだろう。納得。
この議論は我妻・有地先生のダットサンを思い出させる。受験生の友、膨大な民法を最小限の労力で読破できるのがダットサンだ(それでも3冊。普通は総則、物件、債権総論、債権各論、親族・相続の5冊。)。コンパクトなのに滋味あふれる文章であった。
我妻・有地先生は親族編の夫婦のところで、こう書かれていた。夫婦というのは、川に網を張って魚を捕るようなものだ。網の幅が狭ければ、安定するかわりに、捕れる魚の量はすくない。他方、幅が広ければ、不安定になるかわりに、捕れる魚の量は多い。
似たもの夫婦は、仲がよいかわりに、新しい景色をみることが少ない。性格が真反対な夫婦は、しょっちゅう喧嘩(いよいよとなれば離婚)しているかもしれないが、新しい景色・体験をすることが多い。ということだ。なるほど。
夫婦とまでいかずとも、友人、同僚についても同じことが言えよう。
この動画は人への対しかた、褒め方の点でも参考になる。「あんたは自己中だから、つきあいにくいねぇ。」などと言うなかれ。「あなたと長く付き合ったおかげで、いろんな世界をみせてもらえたねぇ。感謝感謝。」というべし。
追伸1。わが事務所の採用面接では血液型を訊くことが伝統。もちろんジョークなのだが、さいきんではハラスメントの臭いがしないではない。
追伸2。旧来の占いふうの関係ありという説に対し、血液型と性格は無関係という説あり。前者について、科学的な装いを新たにした説もあり。人類はもともとO型から出発し(だから、おおらかな性格)、農耕をはじめた人からA型が(だから、几帳面な性格)、狩猟をはじめた人からB型が(だから自由奔放な性格)それぞれ派生し、AB型の出現はAとBのミックスによるものだから新しい(だから、複雑な性格)など。
追伸3。血液型は感染症への強弱や自己免疫疾患へのかかりやすさと関係しているという説あり。ABO型の分類は抗原抗体反応によるもののようだから、この説は科学的根拠がありそう。