顧問先の社長からたくさんの「ぬいぐるみ」をいただいた。クレーンゲームが好きで、あちこちのゲームセンターを荒らしているらしい(笑)。
あまりにもたいさんいただいたので、うちの孫だけでなく、秘書さんたちともわけさせていただいた。
秘書さんの子どもがぬいぐるみを抱きしめて寝ている画像がラインに送られてきた。うちの孫もぬいぐるみを抱きしめて寝ている写真があったので、それを送り返した。
すると、それに対する秘書さんのコメントは「ぬいぐるみの運命」だった。これはちょっと意外だった。自分ならまず思いつかないコメントである。秘書さんはなぜ、このようなコメントを書いたのだろうか。
そのような見解に触れたことはないのであるが、ぬいぐるみは自立への一里塚、自立への杖だと思う。生まれてからしばらく子どもは母親にべったりと依存している。母子一体。
やがて、ぬいぐるみが大好きに。いつも引き連れてまわるようになり、夜は一緒に抱きしめて寝るようになる。そしてそのうちぬいぐるみがなくても独り寝ができるようになる。このような発達段階をなしているのではなかろうか。
弁護士をしていると、自立に失敗し、なにかに依存している方々に接する機会が多い。覚醒剤や大麻等の違法薬物、パチンコ等のギャンブル、アルコール・飲酒。いずれもやっかいな対象に依存されている。
子ども時代をやり直せるのなら、彼ら彼女らにぬいぐるみを差し上げたい。そうして、うまく自立への道を歩んでほしいと願う。
話変わって、どこかで書いた気がするが、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』。中年の映画監督が、映画に魅せられた少年時代の経験と青春時代の恋愛を回想するストーリー。少年のワクワクドキドキ感がすばらしい。各所にちりばめられた名言もよいし、背景を流れる音楽もすばらしい。
もちろん、映画の主役は、映画監督である。冒頭からその監督が出てくるし、少年時代も、青年時代もその監督の若いころである。映画を見る者、その監督に感情移入するよう作られている。
ところがである。息子さんがいらっしゃる別の秘書さんとこの映画のことを話し合ったとき。彼女は、監督の母親に感情移入してしまうという。
なるほど。たとえ、この映画を作った人が映画監督を主人公とし、彼に感情移入するように作ったとしても、観るほうの立場の磁力が強ければ、そちらに引き寄せられて感情移入してしまうということも十分にありうるわけだ。
さて、ぬいぐるみの話。子どもがぬいぐるみを抱きしめて寝ているところを見れば、ふつう幸せな夢でも見ているのだろうなと子どもの立場になって考えるものだと思っていた。
しかし日々子育てに追われる母親からすれば、ぬいぐるみのほうに感情移入してしまうこともあるのかもしれない。それが「ぬいぐるみの運命」。
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