(川合玉堂「早乙女」山種美術館@講談社・日本大歳時記)
現在、福岡でもコロナ禍の緊急安全宣言第3回目の状況下にあります。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
去年、第1回目の宣言で息苦しい状況下にあったとき、NHKーBSで「はなれてひとつに奏でる~奇跡の〝パプリカ”誕生秘話~」という番組が放送されました。ご覧になったでしょうか。
コロナ禍で、新日本フィルハーモニー交響楽団は、コンサート活動がすべて中止になり、危機的状況に陥りました。そうしたなか、有志がオンラインを利用してパプリカの演奏を行いました。これをYouTubeにアップしたところ再生回数200万回。その誕生秘話を伝える番組でした。
はなれてひとつに奏でる。むずかしいですが、心をあわせることができればできる。奇跡だって起こせる。とても感動しました。
というわけで、きょうは「はなれて奏でる」というお題で。信夫の里・しのぶもぢ摺りの石の〆の句はこれ。
早苗とる手もとや昔しのぶ摺り
この句にあう写真を探しましたが、ありません。いまどきは田植機がやってくれますので、神事でもないかぎり、早乙女さんが早苗をとる場面など出会うことはありません。
やむなく、川合先生の「早乙女」のお世話になりました。あれ?どこかで見ましたね。そうです。須賀川(2)句会での交流につづき2回目です。そこでの句は
風流の初めや奥の田植ゑ歌
でした。なにか気づきませんか。2つの句を並べてみましょう。
風流の初めや奥の田植ゑ歌
早苗とる手もとや昔しのぶ摺り
はなれたところに置かれていた2句ですが、ハーモニーを奏でていると思いませんか。
おくのほそ道では、地の文と句が緊密にハーモニーを奏でていることはいうまでもありません。さらに、はなれたとこに置かれた句どうしも、ハーモニーを奏でているようです。推敲に推敲を重ねた芭蕉ですから、その点にも当然気をくばったものと思います。
そういえば、旅立ちの千住のところにあった立春の句と旅の終着地の大垣におかれた立秋の句も対になっていました。つぎの2句です。
行く春や鳥啼き魚の目は涙
蛤(はまぐり)のふたみに別れ行く秋ぞ
この2句が「おくのほそ道」の初めと結びにあって、ハーモニーを奏でていることは明らかだと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿