芭蕉一行は二本松より街道を右に切れて安達原・黒塚に行ってしまわれました。われわれは師匠にちょっと待ってもらい、街道を左に切れて安達太良山に向かいましょう。
安達太良山?どこかで聞いたことがある・・でしょ。高村光太郎の詩集『智恵子抄』の「あどけない話」にでてきます。
智恵子は東京に空が無いという
ほんとうの空が見たいという
・・・
智恵子は遠くを見ながら言う
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという・・・
安達太良山には夏2回、冬2回登りました。そのうち晴れていたのは半分の2回。智恵子さんは安達太良山の山の上に青い空が毎日出ているとおっしゃっていますが、僕の経験上は2日に1回というところです。
二本松駅前では、智恵子さんが空を指さしています。詩集のイメージからすると、こころもち体格がよろしいようです。
駅から30分ほどバスに乗ると岳温泉に着きます。温泉は帰りのお楽しみです。そこからさらにバス20分で、奥岳・あだたらスキー場に着きます。そこが登山口です。
智恵子ファンのかたがたでしょうか。こころもち年配のご婦人がたのグループが多いような気がします。
登山口から道は二手に分かれます。右回り、左回り、どちらでもよいのですが、左回りはゴンドラリフト「あだたらエクスプレス」が使えます。が、われわれは右回りで行きましょう。
勢至平を経て2時間ほどで、くろがね小屋に着きます。日程に余裕がある人はぜひ泊まりましょう。温泉につかれます。つかれた体によいです。
翌日、峰の辻、牛の背を経て1時間ほどで山頂に到達。山頂はあるものに見えることで有名です。なにに見えますか。・・・安達太良山は別名、乳首山と呼ばれています。
九州人はシャイなので、九州の山にはそのような呼称はないように思います。でも東北人はきっと大好きなのでしょう、乳頭温泉とかもありますし。
山頂から薬師岳・あだたらエクスプレスの山頂駅まで1時間ほどです。ふきんは五葉松平と呼ばれ、五葉松がたくさん生えています。
五葉松平には「この上の空がほんとの空です」と、二本松市の標識がたてられています。なかなかよいユーモアです。残念ながら、この写真を撮影した日は曇っていて、ほんとの空は見えませんでした。
夏もよいのですが、やはり冬の美しさは絶品です。芭蕉はちょっと苦手という方で、でも智恵子なら好きという方、ぜひ一度どうぞ。
0 件のコメント:
コメントを投稿