2021年5月3日月曜日

鬼滅の契約書

 


先日、いまさらというか、ようやくというか、鬼滅の刃(きめつのやいば)のアニメを見ました。

知らない方のためにざっくりと書くと、「鬼」に家族を殺された主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、鬼殺隊(きさつたい)という組織に入って鬼を倒す話です。

「最近の若い子の間で流行っているやつでしょ」と、おじさん的思考で距離を置いていましたが、巣籠もりのアマゾンプライムで一気に見てしまいました。

 

さて、今回は、契約書の話です。

法律の世界も、簡単に言えば「約束は守りましょう」の世界。どういう「約束」をしたのかを明確にする意味でも、契約書をつくることは大事です。

 

私は、契約書に関して、ずっと疑問に思っていることがあります。

●●●●(以下「甲」という。)と●●●●(以下「乙」という。)とは・・・

のように、契約の当事者をなぜか「甲」、「乙」と表記する慣例についてです。

 

契約書としては、契約の当事者が誰なのかを特定できてさえいればよく、別に「甲」、「乙」でないといけないという決まりはありません。

「乙さん」、なんて、「おっさん」みたいな響きで、なんか嫌です。

それこそ、水戸黄門好きの方であれば、

●●●●(以下「助」という。)と●●●●(以下「格」という。)とは・・・

にしたっていいはずです。

助さん格さんの方が、契約後も争わなさそうですし。

 

それなのに、なぜか「甲」、「乙」にすることが多いです。

そもそも「甲」、「乙」って何でしょうか。

 

「甲」、「乙」は、

「甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)」とつづきます。

「十干(じっかん)」という古代中国の陰陽五行説にのっとった観念なのだそうです。

世界が「木・火・土・金・水」の5つの要素からなり、それぞれ「陰」と「陽」に分かれるという考え方のことなのだとか。

 

十干も、訓読みすると、読み方が変わります。

甲(きのえ)

乙(きのと)

丙(ひのえ)

丁(ひのと)

戊(つちのえ)

己(つちのと)

庚(かのえ)

辛(かのと)

壬(みずのえ)

癸(みずのと)

 

これ、鬼滅の刃の、鬼殺隊(きさつたい)の中の階級に使われています。アニメを見ただけだと、音声でしか聞かないので、「十干」のこととは気付いていませんでした。

主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)も、最初は一番下の階級の癸(みずのと)から始まります。

 

と、いうことですので、慣例に従って契約書をつくる場合、10番目の当事者になれば、炭治郎と同じ、「癸(みずのと)」になれます。

10人も契約の当事者はおらん!という方は、契約書作成の際に「炭治郎と同じがいい!」と一言お声かけください。「癸(みずのと)」をサービスいたします。

 

富永

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