2021年10月27日水曜日

週末の旅


  先週末はまた旅にでた。その反芻。

宣言が解除された。でもまたいつ宣言がだされるかわからない。冬にはまた感染者数がふえるだろう。いまのうちだ。

こんかいはどちらも日本二百名山の、能郷白山と位山に登った。当初は御嶽山と位山の計画だったが、御嶽山は10月中旬までとのことだったので。

金曜日の仕事を午前中で切り上げて、JR二日市駅へむかった。キップ売り場には女性が二人並んでいた。

聞くともなく聞いていると、先頭の女性のキップの確認をしている。11月○日・・・白河、一関、・・・金沢・・・。どうも東北から北陸をめぐる1週間くらいの旅らしい。いいなぁ、うらやましいなぁ。やはりコロナ明けだなぁ。

そのときはよく分からなかったが、あとでよく考えると、おくのほそ道の旅なのかもしれない。30代くらいだったので、単なる旅行かもしれないが。

きょうは大垣までである。名古屋に泊まるか迷ったが、おくのほそ道の旅、大垣は未踏であった。それで、あえて大垣に泊まり、観光することにした。

新幹線のぞみ車内はすいている。新大阪をすぎ、左手から山﨑、天王山が迫ってくる。寸暇、秀吉と光秀のたたかいに思いをはせる。兵どもが夢のあとだ。

京都でおりる。北東に比叡山、北西に高雄のあたりの山がみえている。紅葉は来週、再来週あたりか。まもなく、こだまがやってきた。これに乗り換え、鴨川をわたる。

山科の盆地をへて、逢坂山のトンネルを通過。小野小町、深草少将、蝉丸にいそがしく思いをはせる。

大津、琵琶湖畔がひろびろと開ける。しばらく行くと、左手に安土城跡。信長の偉業に思いをはせる。

またしばらく行くと、小丘のうえに彦根城。ひこにゃんは見えない。あたりまえだ。トミーの実家も見えない。見えるのかもしれないが、どこらへんにあるか知らない。

しばし佐和山城跡に視界を遮られる、石田三成の居城跡だ。

と思うまに米原。在来線プラットホームへ。北側から特急しらさぎが入ってくる。懐かしい。子どもが小松で働いていたころ、よく見かけた。金沢からの特急は、しらさぎとサンダーバードの2種類がはしっている。名古屋方面へむかうのがしらさぎ、大阪方面へむかうのがサンダーバードだ。

特急をやりすごして、新快速に乗る。高校生がいっぱいだ。開けていた近江の地がすぼまっていく。醒ヶ井、近江長岡・・・。左手に伊吹山が大きくなる。

伊吹山は、西側が削られて醜くなっている。だからシロウトにもすぐわかる。新幹線に乗って京都から名古屋へいく際には、いちど見つけてくだされ。

伊吹山が削られているのは、石灰岩を採掘するから。セメントの原料になるためだ。日本百名山である伊吹山が醜くなるのはこまるが、じゃ、セメントは要らないのかと問われると答えに窮する。

石灰岩の原料はサンゴ礁である。つまり、むかしは太平洋の海中にあったわけだ。それが太平洋プレートに乗って、遠路はるばる運ばれてきた。そして大陸プレートにこそぎとられて日本列島の一部になったわけだ。などと、見てきたようなことを想起する。

と思うまにトンネルを通過し、関ヶ原にでる。ここでもしばし、石田三成と徳川家康の天下分け目のたたかいに思いをはせる。

濃尾平野が開ける、とても大きな平野だ、平野にはいくつもの大河が流れている。垂井、荒尾、そして大垣だ。こんなことを書くと、鉄ちゃんと誤解されそうだ。山歩きをする山ちゃんは、不可避的に鉄ちゃんの仲間入りをすることがある。山歩きをするためには、ローカル線で山奥にわけいる必要があるから。

大垣駅の陸橋から西をのぞむ。伊吹山が個性的で美しい。たくさんの山のなかで、ひときわ目立つ存在だ。緑に覆われず、カクカクしている。石灰岩は植物が育ちにくく、浸食に強いためである。

駅舎を1階におりると、世界の山ちゃんが誘っている。

                                    (つづく)

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