2021年10月21日木曜日

歩く瞑想(2)

 

 歩く瞑想といっても、目をつぶって歩くわけではない。五感をフル稼働させて、自然と交流しよう。大宰府政庁跡、空も大地も開放感がすばらしい。背後は四王寺山である。日本が白村江の戦いに敗れたあと、古代山城である大野城が築かれた。

 政庁の左奥には、令和の里として有名になった坂本神社がある。梅花の宴が催された大宰府長官邸跡と推定される場所の一つである。坂本神社の裏手には、古木が一つ残されている。蔦類にまとわりつかれているのか、間貸ししているのか。


 政庁のまわりは水路があり、セキレイのカップルが仲良く遊んでいる。ご先祖はイザナギとイザナミに性交の仕方を教えたという栄誉を与えられている。夫婦仲がよいのとしぐさが由来だろう。

 
 坂本神社のまえを四王寺山に向かうと登山口がある。しばらくいくとクサギの実がなっている。森の宝石のようだ。だが名前のとおり、葉をさわると臭い。美しいけれども臭い、人間でもそういう人がいる。つきあいが難しい。

 四王寺山は円錐ではなく、お鉢のようになっている。ぐるっと一周しよう。お鉢めぐりという。稜線にはツワブキがたくさん咲いている。ツワブキを見ると、いつも妻夫木聡→ロトセブンを連想してしまう。もうちょっと仕事を選べないものか。

 などと考えていたら、アサギマダラが優雅に飛来した。南は南西諸島から北は新潟あたりまで、長距離の渡りをすることで知られている。2~3週間まえには、フジバカマに群れていた。もうみな南の島に渡ってしまったのではないか。迷子かな。

 お鉢のうえには、たくさんの石仏がまつられている。三十三の観音様だ。観音様は三十三のお姿に変化し、迷えるわれわれを救ってくださる。こちらは千手観音様。
 
 山頂稜線からの眺め。正面は天拝山。道真公が都への帰還を祈った。すぐ下に大宰府政庁跡も見えている。よく見れば、左手にわが事務所も見えているはずだ。
 
 すこし下ると、岩屋城跡がある。高橋紹運が島津軍を迎え撃ち、玉砕した場所。兵どもが夢の跡だ。街中にある緑が水城跡だ。大野城から延びる尾根に接続している。右手の博多湾から攻めてくるであろう、新羅・唐の連合軍に対する備えだ。

 下山すると、観世音寺・戒壇院の裏に戻る。コスモスが揺れている。コスモスは秩序と調和の象徴だ。歩く瞑想により、心にコスモスを回復できれば、ありがたい。

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