2024年2月2日金曜日

~からの、近江神宮

 


 ここで時間を巻き戻して京都・滋賀旅行に戻ろう。昨年末、幻住庵まで報告していた。

 http://blog.chikushi-lo.jp/2023/

 幻住庵から京阪石山駅に戻った。さてその後はどうしよう?2つの選択肢の間で悩んだ。一つは石山寺、ふたつは近江神宮である。京阪石山坂本線を北へ向かえば近江神宮であるし、南へ向かえば石山寺である。

駅のポスターは石山寺へ誘っていた。来年(もう今年だが)のNHK大河が「光る君へ」なので、地元は観光客誘致に熱心である。むろん、石山寺は紫式部が『源氏物語』を執筆したところとして名高い。

かなり悩んだが、北へ向かうことにした。芭蕉ゆかりの膳所があることや、さいきん光秀ゆかりの坂本城の「幻の石垣」が琵琶湖の水位低下によって現れたなどのニュースに接していたことから、なんとなく北恋しかったから。

石山から粟津、瓦ケ浜、中ノ庄、膳所本町、錦、膳所、石場、島ノ関、三井寺を経て近江神宮前である。右手に琵琶湖が見え隠れする。

駅から西北へ10分ほど歩く。途中右手に、近江大津宮跡遺跡(史跡)がある。

 近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ 柿本人麻呂

 楽浪の志賀の唐崎幸くあれど大宮人の船待ちかねつ 同

まもなく近江神宮の広大な敷地に到着する。そこからさらに参道をしばらく歩くと、美しい紅葉と響き合う紅い楼門がでむかえてくれた。

天智天皇が祭神。天皇が近江に都を移したことにちなみ、昭和になって創建されている。

天智天皇といえば、なにを思い浮かべるか。われわれ筑紫人としては、百済救援のため斉明天皇とともに九州にやってこられたこと、白村江の戦いで唐・新羅に敗れたこと、その後の防衛のため水城・大野城・基肄城等を築いたこと、斉明天皇の追善のため大宰府観世音寺を創建したこと等が思い浮かぶ。

歴史的・教科書的には、中大兄皇子として中臣鎌足とともに蘇我氏を倒したこと(大化の改新)が有名で、国語教科書・文学的には、大海人皇子とともに額田王に恋したことが有名だろうか。この件は額田王の次の歌で知られている。

 あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 

しかし、一般人にはやはりこの和歌の作者として有名でしょう。

 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ

百人一首の巻頭歌。為政者として農民たちの辛苦を思いやる主題であるとして、藤原定家が巻頭に置いたとされる。

こうして近江神宮は、百人一首かるたの聖地となっている。毎年1月、競技かるたの「名人位・クイーン位決定戦」がおこなわれている。

ここから漫画『ちはやふる』(末次由紀著)の舞台にもなっている。競技かるたに青春を燃焼させる綾瀬千早たち・・・。

テレビアニメにもなり、広瀬すず主演の映画にもなった。かくて漫画も読み、映画のDVDも見た、そして来た(2回目)。というわけです。

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