2024年2月28日水曜日

芦雪@九州国立博物館

 


 事務所のみなで九州国立博物館を訪れた日は残念ながら特別展をやっていなかった。常設展だけ見学した。常設展には、観世音寺で見そこねた梵鐘も展示されている。

九博ではしばらくして「長沢芦雪」の特別展がはじまった。「生誕270年、若冲、応挙につづく天才画家」というサブタイトルがついている。たしかに、若冲と応挙をたして2で割ったかんじか。

18世紀後半、京都で活躍。円山応挙の弟子。伊藤若冲、池大雅、与謝蕪村らと同時代人。泰平の江戸時代もほぼ200年が経ち、日本画も熟してきている。

円山応挙と異なり、大胆な構図、クローズアップを用い、奇抜で機知に富んだ画風。「奇想の絵師」の一人。奇想の絵師とは、美術史家辻惟雄が『奇想の系譜』で紹介。若冲、蕭白、国芳ら6人のこと。

芦雪は最初はもちろん応挙のような絵を描いていた。途中、師の代わりに、南国和歌山に派遣されて腕を振るった。そして無量寺で描いたのが龍・虎図の襖絵。

作者と作品の関係については、切り離して考える見解と相関的に考える見解とがある。マルセル・プルーストは、作品は作品として作者とは切り離して鑑賞すべきだと論じている。

ほとんど一作しか書かなかった作者などそのほうがよいと思える場合もある。が、作者が節目ごとに成長し、それにつれて作品も成長するとなると、どうしても両者を相関的に観て論じたくなる。芦雪はそんな画家だ。

九博は、昼は混雑しているが、金・土の夜間展示はすいている。夜の博物館。昼とは違う異世界が広がっている。作品たちも昼とは違うことを語り始める。かもね。

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