思いは石山寺にとんだけれども、身はいまだ近江神宮。からくれないの紅葉が美しい。
ところで、あのかるた漫画のタイトルはなぜ『ちはやふる』なのか。漫画のタイトルなので『秋の田の』ではいまいちなことはわかるが・・・。
ちはやふるといえば、むかしおとこ在原業平の百人一首歌が思い浮かぶ。
ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 在原業平
(荒々しい神々の時代でも聞いたことないぜ、竜田川がこんなに唐紅色に水くくるなんて)
ちはやぶるに訳してみたが、ちはやぶるは神にかかる枕詞、勢いが激しいという意味。漫画『ちはやふる』は、ちはやぶるの意味を主人公たちが知り表現し尽くしていくものがたりなのだそう。
かるたの聖地を訪れただけではちはやぶるの意味を知り尽くすことはできなかったが、その日は時間切れ。ホテルに戻る。
窓から京都駅や稲荷山が見えている。深草少将が小野小町のもとへ通ったという道はあのあたりだろうか。
花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町
わが見窓からながめせしまにマジックアワーの色はうつりにけりて、いなり山に日が昇った。
この日の行動はまず革堂(こうどう)行願寺へ。地下鉄で丸太町まで、あとは歩いて行く。そして世界平和を願う。早朝の冷涼な空気が気持ちをひきしめる。尼寺。本尊は千手観音。
九州出身の行円が創建。かれはもと猟師。鹿を射殺したところ、腹から子鹿がうまれるのを見、殺生の非を悟って仏門へ。その後も鹿革をまとっていたことから革聖と呼ばれ、寺の名も革堂に。日本の洗礼者ヨハネといったところ。
西国三十三所第19番札所。西国三十三所は観音巡礼。観音菩薩が衆生を救うとき33の姿に変化することから。その功徳にあずかるため三十三の霊場を巡拝する。コンプリートすると、あらゆる罪業が消滅し、極楽往生できる。
きのうも登場した花山院が那智山で参籠していたところ、熊野権現が示現し、その指示で三十三霊場を巡礼したことから、やがて人々にも広まっていったという。
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