29日は大津に宿泊。翌朝は、ホテルの窓から日の出がみえた。前面道を右にのぼっていくと国道1号線となり、近江と山城の境にある逢坂の関跡がある。百人一首・蝉丸の歌で有名。
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関
芭蕉が「野ざらし紀行」で「大津に出る道、山路をこへて」つぎの句を詠んだのも、このあたり。
山路来て何やらゆかしすみれ草
大津から新快速で東に戻って近江八幡駅で下車。前日にひきつづき西武バスの外観の湖国バスに乗る。近江八幡やヴォーリズ建築など観光スポットをスルーして長命寺をめざす。
車窓から東のほう、安土山をのぞむことができた。むかしの巡礼者は長命寺からここらへんを歩いて観音正寺に向かったはずだ。
終点・長命寺港のバス停で降りる。琵琶湖が美しい。湾をはさんで遠く三上山がこれまた美しい円錐形をみせている。
そこからは長い長い長い石段。808段もあるらしい。宝満山の難所に百段ガンギという石階段があるが、その8倍である。末広がりというより、末バテしそうだ。
前日のような雪はないが、なかなかな急勾配である。ちかくの大学生たちが5人ほど後ろから追いついてきた。こちらも負けじとペースをあげる。むこうが先に根をあげて途中休憩した。よし、勝った。いやいや、勝ち負けじゃないから。
長命寺は西国31番札所。やはり聖徳太子が開基。太子が刻んだという千手十一面観音が本尊。秘仏である。
本堂脇には「琵琶湖周航の歌」碑がある。
西国十番 長命寺
汚れの現世 遠く去りて
黄金の波に いざ漕がん
語れ我が友 熱き心
今津や彦根など湖畔で歌碑をみたことがあったが、このような山中にあるとは意外だった。ま、歌詞が長命寺のことを歌っているから当然といえばそうであるが。
境内の奥にすすむと太郎坊権現社がある。太郎坊は大天狗である。先ほどの大学生たちもあがってきた。拝殿の左手前に大きな石がある。むかしの磐座だろう。大学生のひとりが腰掛けて、雄大な琵琶湖の絶景をながめている。おそらく熱き心で。
0 件のコメント:
コメントを投稿