2022年1月24日月曜日

シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々


  『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』(J・マーサー著、市川恵里訳・河出書房新社刊)。カナダ人のもと新聞記者(犯罪記事担当)による同書店滞在記である。

シェイクスピア・アンド・カンパニーはこのブログでも2度ほど紹介した。1つはジョイスの『ユリシーズ』のことで。各地で発禁処分となるなか、書店主シルビア・ビーチは勇気をもってこれを出版した。

2つはヘミングウェイの『移動祝祭日』で。ヘミングウェイのパリでの修業時代、やはりいろいろと支援の手を差し伸べた。

書店は、パリはセーヌ川左岸にある。1920年代から1930年代にかけて、ガートルード・スタイン、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ジッド、ヴァレリーら名だたる作家や芸術家が出入りした。

『移動祝祭日』のブログ記事のなかで、すこし戸惑ったことがあった。上記書店はオデオン通りにあったとされる。しかしヘミングウェイが歩き回ったパリ左岸を案内した際、ストリートビュー上ではセーヌ河岸からすぐ、ノートルダム大聖堂の南にあったから。

とはいっても近くなので、そのときは、ジュンク堂が建物の建替により仮店舗への移動を余儀なくされているように、なんらかの事情で本書店も移動を余儀なくされたのだろうと考えた。

しかし本書を読むと、じつはそうではないことが分かった。春日に「千太」という店がある。天神にもむかし「千太」という店があった(スポーツセンターのちかくにあり、センターシネマなどとおなじ由来の店だ。)。ま、この両「千太」の関係に似ているとだけ言っておこう。

でもタイトルにあるとおり、新書店においても、シルビア・ビーチ時代をほうふつとさせる「優しき日々」が続いている。欧米人だけでなく、アルゼンチン人や中国人にたいしても、わけへだてなく優しい。やたらと美人が登場するのも魅力だ。いちどお世話になってみたい。それにはまずフランス語会話の習得が必要だろうけど。

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