2022年1月12日水曜日

冬の旅(3)ー樽見線

 



 戻りも樽見線を利用する。谷汲口駅。もとはここから門前町までも列車が走っていたようだ。でも廃線になっている。

駅周辺はいまだ除雪されていない。南には雁俣山がのぞめる。例の石灰岩の山だ。伊吹山とおなじころ太平洋の海底でサンゴ礁だったのだろう。ここを削って住友がセメントをつくっていた。

駅の東側にはヤドリギがいっぱいの樹。ヤドリギは寒いのに青々としている。強く旺盛な生命力を感じさせる。むかしから人はこの生命力に感じいってきたのだろう。

ヤドリギはフレイザーの『金枝篇』でいう金枝のこと。大学教養部時代、社会人類学のサブテキストになっていた。王殺しを許されるのは逃亡奴隷だけ、そして金枝を所持していなければならなかったという。

クリスマスにNetflixで「ラブアクチュアリー」をみていたら、西洋ではやはりこの木の下でキスをしてもよいらしい。バレンタインデーとおなじく、いま一歩踏み出せないカップルの背中を押すための仕きたりだろう。生命力の不足をヤドリギに援助してもらうのだろうか。

などと考えていたら北から車両が接近してきた。往きとおなじものだ。終点の樽見まで行って折り返してきたようだ。にわか鉄ちゃんに変身して激写する。

乗車してつぎの駅は木知原(こちぼら)。そこをすぎると車窓右手に根尾川が流れている。福井県は能郷白山を水源とし、東大垣で揖斐川と合流する。正面は雁俣山。河原に雪を残した風景が美しい。右奥の谷を詰めたところが谷汲寺だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿