2021年11月8日月曜日

100万回生きたねこ


  昨日は立冬。お仲間と九重黒岳原生林の紅葉を愛でに。終日良いお天気にめぐまれた。季節のめぐりははやい。秋が行くのか、冬が立つのか。

『100万回死んだねこ』のオリジナルタイトルは、『100万回生きたねこ』。百万回生きるには、百万回死なねばならない。おなじ硬貨の裏表。だけど、百万回死ぬより、百万回生きたい。子どもの読み聞かせをなんどもしたものだ。

①恩田陸の『なんとかのカーニバル』は、『夜のピクニック』。恩田陸は怪異物語のようなものもおおいから、別のものを思い浮かべた。正解を聞くと、なんだというかんじ。でも大好きな作品。

②『おい桐島、お前部活やめるのか?』は、『桐島、部活やめるってよ』。これはあまりにも印象的なタイトルなので、みなさんわかったよね。

③カズキ・イシダの『わたしを探さないで』は、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』。これも大好きな一冊。それでも『わたしの手を離さないで』と間違えてしまう。

④ドラマ化した『私、残業しません』は、『わたし、定時で帰ります』。おなじ意味だけれども、対決局面でいうセリフとしては、後者のほうが角が立ちにくいかもね。あれ?漱石先生は「智に働けば角が立つ」とおっしゃってるな。

⑤伊坂幸太郎の『あと全部ホリディ』は、『残り全部バケーション』。これはもうほぼ正解。でもやはり伊坂先生のタイトルのほうが、ユーモアのなかに格調があるんだな。

⑥ねじまがったクロマニヨンみたいな村上春樹の本は、『ねじまき鳥クロニクル』。ギギギギ。カササギが時をまわすってやつ。

⑦フォッカッチャの『バカロマン』は、ボッカッチョの『デカメロン』。これを間違えた人は料理好きで音楽センスのあるかたとお見受けいたす。

⑧『ひやけのひと』は、『火宅の人』。檀ふみのお父上の作。大学に入ってすぐ、堀田善衛をほったぜんべぇと言って笑われたことを思い出す。

⑨『ストラディバリウスはこう言った』は、『ツァラトゥストラはこう言った』。ツァラトゥストラはゾロアスターのドイツ読み。作者はニーチェだから。大学1年のドイツ語テキストはニーチェだった。ニーチェはワーグナーと親交があり、『音楽の精神からのギリシャ悲劇の誕生』という本が第1作。『ストラディバリウスはこういった』というタイトルもそれほど外れていないかも。

⑩『これこれちこうよれ』、これを正解した人はいないだろう。正解は『日々是好日』。茶道をはさんで黒木華と樹木希林のかけあいが面白かった。その背後にかけられた掛け軸の禅語が出典。一日一日を大切に生きよう。たとえ100万回生きようとも。

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