2021年11月18日木曜日

エベレスト


  きのうは事務所の写真撮影会だった。ホームページやパンフレット用に、ときどきカメラマンに来てもらい、プロフィール、執務風景、集合写真などを撮影してもらっている。

今月の事務所会議の際、いつでも写真撮影ができるよう散髪に行くべしと、田中弁護士がY弁護士に指令をとばした。ぼくは即日、散髪へ行った。指令を受けた当人が散髪へ行ったのは、それからずいぶん経ってからだ。

そして17日午前、カメラマンたちが来訪するので、予定を空けておくようさらなる指令があった。ぼくら年配弁護士のスケジュールボートには「予定を入れない」と書き込まれ、午前中は予定が入れられないようになっていた。

ところがである。きのう来てみると、M弁護士は午前中の予定がいっぱいである。なんでやと訊くと(ぼくが訊いたのではないが)、「入れられてたんです。」との答え(ぼくが聞いたのではないが)。これはいただけない。雨が降っても経営者の責任。自覚が足りない。「すみません。」と素直に謝ろう。

その他の若手も、これほどではないけれども、スケジュールボートが埋まっている。Y弁護士は10~11時相談、11時半から裁判所とのウェブ会議。T弁護士は午前中いっぱいオンラインによる高齢者名簿登録研修となっている。なんでこうなってしまっているのか。

ぼくなどは田中弁護士から指令がくると、あとで叱られるのが怖いから必ずこれに従うようにしている。しかしながら、若手たちのこの傍若無人ぶりはどうだろう。怖くないのだろうか。

そういえば最近、若手たちが断ったヤミ金相談が複数ぼくのところへ回ってくるようになった。わが事務所は年長者から若手まで、平等を建前としている。たとえ35年以上のキャリアの差があってもである。風通しがよい、ホワイトであると世間からも評価されている。しかし、そこにも礼儀はあるのであって、これは行きすぎではなかろうか。

若いころ弁護団会議に遅れていくと、「遅刻者は他者の大切な時間を奪う者である、他者をないがしろにする者である。」と、先輩弁護士からきつく叱られたものである。

時間は刻々とすぎていく。カメラマンたちは、午後から別の予定を入れているらしい。それを知っている田中弁護士がピリピリしている。

12時を過ぎても、集合写真の撮影がまだだった。カメラマンたちに約束した午前中の時間が過ぎ、ずいぶん押していた。1人を除いて全員が待機するなか、Y弁護士がウエブ会議をまだやっていた。漏れ聞こえてくる内容からすると、そう簡単に終わりそうにない。

ぼくの頭の中では、映画『エベレスト』の映像が流れはじめた。1996年にエベレストで起きた大量遭難事故を映画化したものだ。

エベレスト登山は冒険の時代を過ぎ、ツアー登山の時代になっていた。600万円くらいだったかお金さえ払えば、槍や劔のようにガイドが山頂まで連れて行ってくれるのである。

とはいいながら、そこはやはり世界最高峰エベレストである。時には人類が生存できない過酷な環境となる。その日も天候悪化が予想され、14時までには絶対引き返さないといけないことになっていた。

ツアー参加者9名、ガイド3名の12名のパーティ。かれらの何人かは個人的な問題を抱えていた。それぞれはそれほど大きな問題ではなく、遭難につながるようなものではない。しかし、それらが複合的に作用したとき、ツアー参加者全員の足を引っ張り、結局のところ8人もの死者を出すことになった。

というわけで、気が気でない。ぼく自身も午後から予定を入れていた。ある審議会への参加であり、その委員長を拝命していることから、遅刻は絶対に許されない。どうなることやら。

担当秘書さんが機転をきかせて弁当を購入してきてくれた。そのためぼくの場合、なんとか時間に遅れることなく到着することができた(ま、昼食を抜けばいいだけではないかとのご批判はありましょうが、笑)。

かくてハラハラドキドキの写真撮影会であった。

※上記写真は前回のもの。きのうのものはまだ写真屋さんからいただいていません。トミーファンのみなさま、あしからず。

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