能郷白山のつぎは、位山(くらいやま)1529mをめざした。イチイの木が群生し、これを朝廷に献上し、位をさずかったことが名の由来という。山頂部に巨石群がある。その名も天岩戸をはじめ、神の山らしい。
ある会合で、誰かが、『君の名は。』のモデルとなったのは位山だと言っていた。それ以来、いちど訪れてみたいと思っていた。ようやく念願がかなった。
樽見鉄道に乗って大垣に戻った。そこから岐阜へ。岐阜から高山本線に乗った。特急飛騨は飛騨川に沿って北上した。
山峡に入ると、飛水峡だ。ここにはチャートと呼ばれる岩がある。大学受験のときにお世話になった受験参考書とおなじ名前だ。固い層と柔らかい層が幾重にも積み重なっている。岩盤も受験も積み重ねが大切だ。
なんと、ここから1400Km離れたハバロフスクでもおなじ岩がみられる。ということは、どういうことか。日本列島はもともと大陸の一部だった。それが、太平洋プレートが沈みこむ際の引きずりこみ作用により、大陸から引きちぎられたものだ。そう考えられている。・・・とBS-NHKのジオジャパンという番組で紹介されていた。
などと考えているうちに下呂温泉に着いた。若い女性グループがおりていく。ついついついていきそうになる。が、なんとか踏みとどまった。
日本二百名山には小秀山がある。御嶽山がちかくで望めるよい山だ。むかしこの山に登る際に下呂温泉に泊まったことがある。知人の名古屋の弁護士もいちおしのいいお湯だ。が、こんかいはここで降りるわけにはいかぬ。
飛騨高山までがまんして降りた。ここで宿泊だ。春に観光するにはよいところだが、こんかいはおあずけだ。
翌日、ホテルの窓から乗鞍岳をのぞんだが、霧に隠されていた。残念。きょうは曇なのか。
登山口はその名もモンデウススキー場だ。つまり、マウント・ゼウス。神の山。太平洋と日本海の分水嶺になっている。
ゲレンデに沿って登った。ガスが薄れていく。どうもガスは高山盆地を覆っているだけで、山々はだいじょうぶのようだ。
ゲレンデを登り切ったところが1合目だ。いきなり北アルプスの展望がひらける。もう雪化粧をしている。美しい・・・。わーい、来てよかった。しばしときを忘れ、風景に見とれる。
ところで「君の名は?」。それぞれの山の名は?
南のほうは雲がおおい。その合間に、木曽の御嶽山。山から雲が湧き出ている。噴煙なのか、雲なのか分からない。じつはこんかい御嶽山→位山の計画をたてた。ところが、御嶽山は10月中旬までという情報に接し、能郷白山に計画を変更していた。当初の計画どおりであれば、アイゼンが必要だったかもしれない。
北に目をうつすと乗鞍岳。左3分の1あたりの鞍部が畳平、右から二つ目の雲に半分かくれているピークが剣が峰である。夏場は畳平までバスで行け、そこから剣が峰に登るのが一般的だ。冬場は向こう側の乗鞍高原から登りあがらなければならない。右下が野麦峠だ。ああ。
その北が槍穂高連峰だ。三層の雲海上に輝いている。右側が穂高連峰。右から前穂、吊り尾根、奥穂、北穂だ。左側が槍の山塊。左から槍、大喰、中、南。中央が大キレット、残念ながらガスがかかっている。
その北に笠ヶ岳。とても美しい。だが、これはちょっと意外な姿だ。信州側からだと大きな山塊だが、こんなに尖がってはいない。さすが飛騨の名峰と呼ばれるだけあって、飛騨側から見るべき山だろう。左端には今夏登った双六が見えている。
その北には黒部五郎から薬師岳への稜線が優美。薬師にも、黒部五郎にも登ったことがあるが、この稜線を縦走したことはない。ぜひ一度縦走してみたい。
さらに北には薬師、立山、劔(中央)、大日まで望むことができた。こんな遠くからでも、劔がピラミッドのようであることが素晴らしい。
御嶽から劔まで北アルプスの百名山がほとんど見えている(信州側の一部が見えていないだけ。)。ぜいたくだ。
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