2021年7月16日金曜日

平泉(3)-光を求めて

 

(経堂)


(光堂の旧覆堂)


(光堂@新覆堂前にて)

 かねて耳驚かしたる二堂開帳す。経堂は三将の像を残し、光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す。七宝散り失せて、珠の屏風に破れ、金の柱霜雪に朽ちて、すでに頽廃空虚の叢になるべきを、四面新たに囲みて、甍を覆ひて風雨を凌ぎ、しばらく千歳の記念とはなれり。

 五月雨の降り残してや光堂

光堂は中尊寺金色堂。数字の列挙がリズミカル。そして高館のくだりとの暗/明の対比が鮮やか。

 ・・・功名一時の叢となる。「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」と笠うち敷きて、時の移るまで涙を落としはべりぬ。

 夏草や兵どもが夢の跡

かたや時が移るなか草むらとなってしまい、かたやいまも黄金色に燦然と光輝いている。流行と不易。かたや戦の結果、かたや仏教による平和希求の結果。長い長い梅雨の五月雨さえ、光堂を避けて通ったのだろうか。

光堂は柳之御所から北西の山上に光輝いて見えていたという。石の巻の金華山、金鶏山につづき光堂。「光」は奥州藤原三代が祈念して求めた平和の象徴なのでしょう。わが事務所も、五月雨が降り残しますように。

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